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【エッセイ】一隻の舟になれ

誰も波を立てないレーンをひとり一隻の舟になった心地でぐんぐん泳いでゆくのが好きだ。

(実際の速度はとても遅い)

平日昼間のジムのプールはこどもの水泳教室がなければレーンの多くが空いていることが多い。
なぜって区民プールの方が圧倒的に料金が安いし、通常の勤務をしている人間は平日の昼間には訪れるのは難しいだろうから。

私が区民プールではなくジムのプールに通うのは、ワイヤレスイヤホンをつけて音楽を聴きながら泳ぎたいという強い要望があるからだ。
今まで区民プールに通っていたことはあるけれど、単調な動きに飽きてしまい、ひとシーズン通い続けられた覚えがない。

飽き性の私でも好きな音楽があれば水泳の強い味方になってくれるだろう、そんな憶測でそこそこの値が張る完全防水イヤホンを手に入れた。

実際の使用感はどうかと言えば、ごきげんな音楽を聴きながら手をかき脚を蹴りしていると1時間の水泳時間はあっという間に過ぎていく。

この1時間の内訳は20分間水泳、20分間ウォーキング、20分間水泳で構成されており、この長さが丁度いいことをnoteクリエーターのおろちさんに教えて頂いてから大体週2回のペースで泳ぐようにしている。

音楽を聴きながらの1時間はすぐに過ぎるのであともうちょっと泳ぎたい気持ちになるのだが、ぐっとこらえて次の回のたのしみとしてとっておく。
水泳に限らず物事を続けたかったら100パーの力を出しきらないことは大切らしい。

「俺まだ本気出してないだけなんで」

このセリフも継続することに関してはそれほど外れていないのかもしれない。

泳いでいる時、私は一隻の舟のようだなあと感じる時がある。
中でも「舟感」を覚えるのは背泳ぎをしているときだ。
背泳ぎはうっかりしてると泳ぐ線が曲がってしまうので、プールの天井を見ながらずれて泳いでいないかを確認しながら進んでいく。

手を回すとき、脚を動かすとき、どう漕げばこの小さな舟が速く進むかを試行錯誤しながら進んでいく。

イメージする。
風の穏やかな海の上を一隻の舟が浮かんでいる。帆もモーターも付いていない極シンプルなこの舟を無事に岸までたどり着かせてみよう。
そして、素晴らしいことにこの舟にはラジオが積んであって、次から次へと陽気な音楽が流れてくる。
ラジオのボリュームをちょっとあげて、気持ちをもうちょっと高めて舟を漕いでみよう。

そんな感じの妄想をしながら、今日もあともうちょっと泳ぎたい、のところで終わらせてジャグジーへと向かった。

#日記 #エッセイ  
目標:文章が途切れないように意識して書く。

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