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小さな海

あなたが目から落としたものはこの紫色の鱗ですか。それとも小さな海ですか。

記憶がまちまちなんだよ。一度も記憶したことのない日々が香り付きで襲ってくる。銀色の色鉛筆がただのねずみ色になっちゃうみたいな、現実にしたらいけない思い出。

確かに好きだった気がする。すごく好きだった気がする。「気がする」メインの恋愛。君の住む街で育った野菜をわざわざ買うような僕だったね。

僕はどこまで変わっても僕のままなの。もらった言葉は忘れたよ。どうやって好きって伝える人だったっけ。3回引っ越したよ。結婚しちゃったよ。名前さえ変わったよ。一緒に見た瀬戸内海を吸い込んで、ろ過して目から流さないでよ。今は東京湾を眺めているよ。さよなら

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