敬称略の形で

11月はもうずっとあと
二十四節気が３周したころ
メリーゴーランドで
できるだけ丁寧に運ばれてきた出会い

なんの意味も持たず
ただキラキラしているだけのもの
価値を計れないから価値があるのだと
信じたいと思えば信じられる
純粋な気持ちで生きていた

後回しにされる気の毒が
雪になって落ちるころ
何度目かの一人ぼっちで
楽になれたね
寂しさから生まれる強い芯が出てきた

敬称略のまま仲良くしてください
そしていつか
名前すら省略した形で
肉体のない僕ときみで
簡単に笑い合える
ひとつだけの空間を守っていよう

ひとつだけの空間
見えるけれど全ての家具が透明
見えるけれど見えない
さてどっち
見えているごっこの空間
安易に幸せを目指せた空間