立冬の詩

逆らえない浮かんでいる
文字を読む
僕には見える

悲しいときだけ見える景色が
文字が色が
雰囲気が匂いが
僕はとても好きだった

それは幼い頃からずっと

悲しいときだけ見える景色
匂いがすごく好きだった
そのときしか会えない天使

悲しいときだけ会える天使がいた
笑ってるときは見えない
誰かといるときも見えない

一人ぼっちで泣いてるときだけ会える天使がいた
会える頻度は減ってって
いつの間にか見えなくなってた
ことすら僕は気付かなかった

悲しみに似た景色があった
天使に似た匂いがした
それはキンモクセイみたいに
すごく短い季節

季節追いかけて堂々巡り
それも嫌いじゃないから
古いアパートみたいな寂しさ
君と分け合って生きていきたい
と思ったときのきらめきと
しけた花火に灯る立冬

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