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新型感染症に揺れるスポーツ興行の「夜明け」はいつか?

改めて説明する必要もないほど大変な状況になっています。新型感染症(新型コロナウイルス・COVID-19)への対応により、世界中でとてつもない規模の影響が起きています。

難しい舵取りを求められるスポーツ興行

スポーツ興行も例外ではなく、Jリーグが試合延期を決定したのを皮切りに、Bリーグも試合延期、プロ野球はオープン戦を無観客試合として行うという対応を発表しました。

また、日本ハンドボールリーグはレギュラーシーズンを打ち切り、プレーオフも行わないということになりました。プレーオフを行わないのは東日本大震災が起きた2011年以来のことということで、苦渋の決断だったと思います。

しかし、日本に訪れた国難というべき今回の事態にあたっては、スポーツに限らず大規模な集まりは延期・中止という結論にならざるを得ないと考えます。東京オリンピック・パラリンピックが行われる年ということで、開催期間中に興行をスライドしづらいのも不運なめぐり合わせと言えるでしょう。
(リーグ・クラブのスケジュールを調整してスライドしても、中継スタッフや警備関係者などが足りない)

試合を延期するとなると、基本的には土・日・祝日での開催を平日にスライドすることになりますから、入場者数がグッと減ってしまう。
無観客試合を行うことになれば、その試合の入場料収入やグッズ・飲食収入はゼロとなります。露出減による広告料収入への影響もあるでしょう。試合中止となればさらにダメージは大きい。

延期・中止も難しい決断でしたが、では「どのような基準で再開するのか?」はさらに難しい決断になります。新型感染症がいつ終息に向かうかについては、まだ専門家によっても意見が異なるところです。
それぞれのリーグやクラブは、最悪の場合を想定し、もしそうなっても再起不能のダメージを受けないようにするためにいま頑張っています。

スポーツ興行の「夜明け」はいつか? というタイトルにしましたが、「まだわからない」というのが現在の状況です。もちろん、わからないからわからないままにしておくわけではありません。感染症などを含めた災害対策の世界の「正しく恐れる」という言葉通り、正確な情報に基づいて判断できる状態を作らないのです。

一丸となりつつあるスポーツ業界

NPBとJリーグは共同で「新型コロナウイルス対策連絡会議」を設立しました。

https://www.jleague.jp/news/article/16784/

同じスポーツ興行ということで、情報共有することは非常に有益です。(Bリーグも情報交換しています)全体としての感染ピークのこと以外にも、スポーツ興行ならではの事象がいくつもあるわけです。

「お客様の応援・声援を制限させてもらった場合、どれだけ感染確率は下がるのか?」「選手が試合前後に握手することはどうなのか?」「観客席の間隔をこれだけ空けた場合は?」「試合前後のイベントに関しては?」「飲食物の提供の仕方は?」「交通機関や導線の工夫ができるか?」

考えることはまだまだあるでしょうが、それぞれの組織が検証するよりも、情報収集の速度も精度も高まるはずです。

そして、NPBとJリーグがタッグを組むというのは社会的なインパクトも相当大きい。スポーツ界は一丸となってこの危機に立ち向かっていくんだ、ということも伝わりますし、スポーツ興行に関わる飲食・宿泊・交通など幅広いすべての関係者に向けてのメッセージにもなります。

競技の垣根を超えて、このように協力できることは素晴らしいことです。「災い転じて福となす」ではないですが、新型感染症の広がりが一段落してからも、良い部分は良いものとして今後に活かしていきたいものですね。

このような時期にこそ「いま、何をするか?」が大事

とはいえ、各スポーツ競技の試合再開までに時間がかかることには変わりないわけです。この期間、いかにファンの方々とつながりを絶やさずにいられるか? 試合がなくても楽しんでいただけるか? というのを、各リーグ・クラブは真剣に考えています。そのためにはやはりネットの活用というのがカギになる。家でネットを見ている分には、どんなに強力なウイルスにも感染しようがないですからね。

千葉ジェッツの場合は、ツイッターやインスタグラムで、練習風景や蔵出し写真を積極的に発信しています。コロナに笑利のハッシュタグはブースターのみなさんや他スポーツクラブの方々にも広がり、こういったとき暗くなりがちな気分を明るくしてくれます。マスコットであるジャンボくんも頑張っていますね。

ファンサイドからもさまざまな発信が行われています。Jリーグのサポーターがツイッターで「延期された試合を実際行われているかのように実況する」#エアJリーグのムーブメントにリーグ・クラブも乗っかり、これにBリーグ・クラブも追随。

この流れもあるのか、サッカーゲーム中心にeスポーツとの連携を深めているJリーグは、フライデーナイトeJリーグとして各クラブの代表選手がオンライン対戦を行いました。現在、動画の再生回数は2万回を超えようとしており、リアルの試合を渇望していて、いままでeスポーツに興味がなかった層が一気に注目する可能性もあります。

他にも、スポンサーへの感謝を伝えたり、過去の名場面動画などを配信したり、ネットを使ってさまざまなファンムーブメントが起こったりクラブの施策が行われています。どんな困難な状況でも、それぞれの立場でいまできること、やるべきことをやる。それが一番大事なのは共通していますよね。

スポーツ界含めた社会全体で前に進もう

なんだかまとめ記事的なものになりましたが、私としてもいまやるべきことを1つ1つやっています。講演会の予定がなくなるなどの影響がありましたので、その分のエネルギーを別の部分に使っています。

社会全体でもそういった動きは進んでいて、テレワーク・リモートワークの推奨などはその最たるものでしょう。最強の感染症対策は、人と接しないことなわけですから。時差出勤の推奨なども行われていますよね。

これはある種のチャンスでもあります。スポーツ界の連携と同じように、良いものは今後も社会に残していけばいい。サイボウズさんがテレワークに関する情報を公開されていますが、こういったナレッジシェアもどんどん行われていますよね。もしかしたら新型感染症が落ち着いたあと、社会は劇的な変化を迎えるかもしれません。

日本は困難を乗り越えて成長してきた国です。この機会を使って良い方向に向かい、良き春を迎えられるよう、いまこそみんなで頑張りましょう。

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