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詩歌

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2024年6月の記事一覧

「すべては引用から始まる」

いつわりの襞、煌びやかに、うみの思い出が、物語の、毒を盛る。
定義できる、と右手から左手へゆける、うみの接触、失敗だ。
鏡のせいだ。甘やかなきみの死が、その度ごとにきみよりおくれる。
鏡、それはエクリチュールのなかに組み込まれた手続きでもあって、
ページのうえに、「すべては引用から始まる」、あの切先のせいだ。
きみの右手からぼくの左手がうみへ行ける、といつもきみから遅れる。
「ぼくはこのうみ(この

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回転運動

(音読しては)侵略され増殖するテクスト、へ「々(同の字点」(:楔)を打ちこむ

風景と呼ぶそれの、無傷のまま残ったものなどなにひとつもない。テクストも同じではなかったか。万人が一様にイメージを抱くものへと集まるように集団や体系が生まれた。そうした慣習、アスファルト、句読点、マクドナルド、肺臓、傷のあるものを持ち帰り、津波のように押し流し浄化する必要があった。句読点や引き抜かれたテクストが毒を持ちは

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流れから抜け出す点、を語る。

ことば、が燃えていた。語られたあとの、燃焼の法則により歪められ、一羽のとり、が投影される、彼女へ手を伸ばそうとしてなにも確かめられない鏡の、歌い終えたあと縁(外、背景)へ戻り、まわりのすべてが重くなってしまう、灰になった、語りえなくなった外面の、貼り付けられていた部屋、いくつかの線や色が見出される、僕たちの「始まらずに済んだであろう増殖*」、そして「比較」により、「無数の精液の計りしれぬカミソリを

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ぼくが生まれる前の生涯に

砂州のなかを、ははのほうへ歩いてゆく。遠く乾いた振動だけを
足もとの性(セックス)に手をかける。うみのなかに浮かび出るため、に
うみ、の腕は吸いとられなにも始められない。まるで布衣のような
余白に ははのぶんのうみ、の死んでしまう死、柔らかく浮き沈む瓶
      *
うみにいる(うみはここにある)、の切りぬかれたぼく。湾曲する岬までの路が、ぼくのぶん、その途切れたところから、ぼくを繋げる。世界が

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