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詩歌

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2023年11月の記事一覧

決して現在になることのない未来のなかで

マリのうまはしなやかにみずをはかっては蔓のさきへと羞恥を尖らせ、しろく熟したウリ科の性器が折れ込んでいるのを見出したが、半球の島々へと漕ぎ出すとき波の期待を調律することもなくなり、音叉はつぎつぎに感動を喚び起こす。露を媚びるような朝、うっかりして充血したまま粘膜が甘い動物臭を発散するので、とりの囀りはカーテンそのままに長く風向きが変わるまで競走馬のたてがみよろしく終わりたがらない。自由の選択によっ

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ミツバチの眸のなかうたいだすうま

「対自トハ身体ノ仕上ゲデアル」(『知覚の現象学2』p338)/然シ アルトキハ〈自〉ヲ欠ク/(カラダ)の洞(ウツロ) つうおん装置へと踏み迷う テクストは既に書き込まれ「ボクタチハ、コノ街(コノ詩)ニ住ンデイル」) いっとうにとうよんとう ウマをじじょう(二乗=自浄)しながら 以前にもまして 反復(=詩)はわたしから逃れるための邪(ヨコシマ)なナイフ、「花そう 破投そう 波るかす流」 みずなつへと

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播種

かさならない、ひとつの模倣可能態
が、署名であって 反復を繰り返し
くびきが揺れる と、うまをめざし 
て外出する、うまになることの迂回 
「いいえ」から始めるしかないが、 
まったきあなたの責任でしかない         

あなたのひろがる火がこわい
「はい」と穴のさきで炎を伸ばす 
狂わないのは刻みではなくときだ
(と、落人の逃げるあしもと、の
あかい記号のまま終うことを 行
きつかない思考

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