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白井健康
2019年8月7日 12:52
さくざ から 収縮するだけの体に 引かれてゆく筋のようなありふれた運命を 自傷する女のかなしみを 重ねる終わりちかくで切り取られる 片見の その対(つい)の果実のあかあかと芳香の 糜爛のように 美しいと 祈ったことがあった 海岸の家で生まれた猪鼻湖をひとまわりして 湿気(しっけ)た風に吹かれながら明るい陽射しのなか 眠ろうとする何かをほのかに思う獣毛をさ