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詩歌

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2019年3月の記事一覧

ライナースリップ

詰所と宿舎を往復するバイクが無免許、アクセルが切り裂く快感にアメリカは、と。

カーブするのって、牧草地のたまてばこだってこと右手しか配列されてない。詩歌だって隙間を埋められたがっているんだし、かくかくの保定枠が暴れだした。仕方なく放してやったのがいけなかった。縫合のあと武蔵境まですぐに帰らなかったわけで、飛行機の窓や座席の見取り図は切れ切れの記憶のよう、壁があるかないかのところで削ぎ落す。時計台

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岬まで行かなかった

詰所と宿舎を往復するバイクが無免許
アクセルを、切り裂く快感にアメリカは、と
カーブは牧草地のたまてばこへ、知らない
保定枠は軽く、暴れたりして仕方なかった
縫合のあと武蔵境まで一気に帰らなかったわけで
飛行機の中の窓や座席の記憶だけが軽い
壁があるかないかの違いだけで削ぎ落とした
時計台は改装工事中で
窓二重で、北国ならではと新鮮だ
抜糸は江島さんにしてもらった
体温を足指にかざせば崇教真光

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最後の日のつぎの日

うたをおもうままにおおもわないことと、し
喩はさくいにみちてゆれるいぜんのときめ、き
自傷は自慰の熱量を横たえて黙りこ、む
発語しない音をわりきれなくなるまでわりつづ、け
板戸から漏れでるあまりを響かせて放つ、と
閾値を超えた人生ってさそわれて支えきれない
液体のなかでみるせかいの最後の日のつぎの日の
芽吹きのあおはあおでないとおしえられ
おしえつたえる反芻に泣いた
みちるものはいつもむずがゆくす

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春先から

春先から

すうじつの雨をすきとおるように過ごせばそらの余白がみえる
時計はお腹のあたりでゆっくりになりすこし休まった気がした
あなたが在、不在を確認するかのように窓を開ければ詩はひかりのまま
主語を欠落させた庭のまんなかあたりで巡り会う音楽の手触りを鼻歌交じりにうたいながら
運ばれていく雨水の音を重ねつつみらいまでいのちを運ぶからだを椅子に落とした
病んでゆく臓器の心地よさをあたためつつ外気に

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