見出し画像

一生物の楽器は存在しない


 より良い物を探して試行錯誤し売り買いを繰り返すことを私は旅と呼んでいる。その旅の中で人生の答えとなるベース、一生モノのベースが欲しいのだ。我が人生の中で一生モノのベースを手に入れたと思う機会は5回あった。5回もあった。

 1度目はSugi NB5 pop/amber。ココボロ指板、9pcオールアクアティンバーブルーneck、ashボディ。ネックが堅牢でトラスロッドは回したことがなかった。アンプでは良い音だったが、ラインで聴いた時の音があまりに硬く手放す。今何故が地元のプレイヤーが持ってる。

 2度目はFodera monarch4 new standard
欲しい全てが手に入ったと思った。派手な木目、長いサステイン、家に在るだけで充実していた。蝶の周りの塗装が浮いてるのと簡単にトップに打痕がつくベースだった。プリアンプの電池の消費が激しく、プリアンプをフレックスコアに換え…PUも壊れて新しいEMGに換え…最終的には別物になってしまった感はある。だがいいベースだった。フォデラの音がした。どうして手放したのか忘れてしまったな。アンサンブルでひたすら浮いてたんだったか…フレットも良く浮いてたんだったか、あとちょっと派手すぎたかな。一生モノだったろうに。売った後激しく後悔。これを売った後に買ったベースが良くなかったのもあり精神的に病む。

こんなセットだったね

 3度目はfreedom RHINO5。実はモナークを売るきっかけになったかもしれないベース。モナークに比べてあまりに実用的だった。
 このベースでアッシュメイプルの固定観念が壊れる。どのシーンで弾いても評判が良く、音や弾き心地はとてもバランスが良かった。ただジョイントの部分の調整が難しく同じ設定を保てなかった。弱いという程ではないがネックの挙動、調整も少し難しかった。売却後激しく後悔。売った後に買ったベースにも問題があり精神が乱れる。

 4度目はfodera standard emperor5 classic BLACK。モナークの反省から少しオーソドックスな音が出るフォデラが欲しいと思い購入。   
 freedomの特徴も取り入れアッシュメイプルの5弦にした。この選択が超絶正解で、まさに理想のベースが来たと思った。長いサステイン、ちょっとキラッとしたハイと濃厚なローミッドはちゃんとフォデラ、でもオーソドックスな音。毎日弾いていて楽しかった。他のベースを試奏してもコイツには敵わない。しかし…
 とにかく重い、5.2kgは半端じゃない。ギグバッグの底は重さで潰れて、皮のストラップはどんどん伸びた。このベースを担ぐため筋トレに励んだ。しかし、仕事中転倒しアバラを折り筋トレが出来なくなってから急速に担ぐのが日々辛くなっていった。
 そして電池問題、プリアンプない方が音良くね?から始まり、電池入れない方がハイミッド出るな!と思いセッティングに悩み始める。そしてPUのノイズ…これがちょっと酷かった。原因はわかりません。重さ、セッティング、ノイズ、これらが重なり手放してしまう。放出後、かなり病む。もうこんな思いはするまい…売却後買った代わりのベースにかなり問題がry

売ったらだめでしょ

 5度目、Miura Guitars MB1。
 今年の年始ぐらいだったか変なタイミングで突然市場に現れた中古のMB1。このベースが新品で売られていたのを見ていたし、当時ずっと売れ残っているのも知っていた。その時はまさかウチに来ることになるとは思ってもいなかった。
 購入後、D.G弦のピッチが合わないのと、なんだか音がミョーンと鳴る。ジョイントのネジ穴も怪しい。直ぐにリペアに出し帰ってきたMB1を触って過去の4本を軽く越える個体だと確信した。コイツに関しての話はまた別の機会にする。 

 ここで旅は終わりにしたいと思った。これ以上の価値観を知りたくない。

色はまぁそんなに…本当はナチュラルがいい。

 一生モノのベースを探す旅はなかなか終わらない。何かの拍子でより良い楽器を触って覚醒してしまう可能性がある。薬物とかマジでこんな感じなんだろうね。

 だから旅は自分で終わらせるしかない。一生モノのベースなど存在せず、自分で一生モノにするしかないのだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?