スリー・ロウズ・オブ・ロボティクス・コンプレックス

 お前も知っているだろう。ロボット三原則。

 強くなくてはならない。
 デカくなくてはならない。
 カッコよくなくてはならない。

 最近のヤツは「人型である必然性がない」「自動操縦でいいのに人が乗せる意味がない」と小さくまとまろうとする。ケータイもパソコンも小型化も進んだ。それはそれでいい。しかし浪漫まで矮小化させるこの風潮を私は許せなかった。

 ここまで一息で言い切り、決め顔で私は告げた。

「そこでだ。君にはパイロットをやってもらう」

 拘束された冴えない青年の答えは私の予想を大きく裏切った。

「すいません。意味が分かりません」
「何故だ!」
「えっと、何を、するんですか?」
「テロだ」

 ロボット三原則を認めさせるため、世間にどうアプローチするか。私が出した答えは「最強の犯罪者になり、有用性を示す」だった。わざわざ「彼がそんなことをするなんて」と言われそうな冴えない若者を拉致したのも、それらしい雰囲気を出すためだ。

【続く】

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