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キラープロダクトはなぜ生まれたか?

どうも10YCです。

今回は5/24に配信した10YC Podcast#5の書き起こしを公開。
第5回は初のゲストを呼んでの開催でした!

10YC Podcast #5 キラープロダクトはなぜ生まれたか?
話し手:加藤信吾(左ききの道具店)、岡山史興(70seeds)、下田将太(10YC)

聴きながら読んでもいいし、聴けない人は書き起こしだけ読んでもいいね。
それではどうぞ!

過去の回はこちら >
#1「10年選手になる洋服とは?」
#2「わかりやすいだけがデザインなのか?」
#3「束縛しない。自由でいい。人見知り10YCのユーザーとの付き合い方。」
#4 「作っているのは「服」じゃなくて「生活」。10YCが考える洋服の価値。」

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下田「10YCPodcast第5回目の収録をやっていきたいと思います。
今回もパーソナリティーは変わらず70seedsの岡山さんです。よろしくお願いします。」

岡山「よろしくお願いします。」

下田「前回は10YCユーザーはどうして10YCを買うのか?というところで、値引きだったりとか物の売り方だったりとか色々話してきましたよね。」

岡山「そうですね。色々話してきましたね。」

下田「そんな中、普段は10YCの話をよくしてるんですけれども、他のブランドでも販促を値段に頼らずにやっているというところの話を聞いてみたいねと。他のブランドがどうやって、どういう思いでブランドを運営しているのかというところについて聞きたいよねということで、今回ゲストをお呼びした訳ですね。」

岡山「そうですね。」

下田「Podcastで初のゲストを呼んだんですけど、楽しみですね。」

岡山「楽しみですね。」

下田「ということで、今回は左ききの道具店の加藤信吾さんにゲストで登場していただきます。よろしくお願いします。」

加藤「左ききの道具店の加藤です。初のゲストということで恐縮ですがよろしくお願いします。」

下田「ありがとうございます。まずリスナーの方で左ききの道具店のことを知らない方もいらっしゃるかもしれないので、自己紹介をしていただけたらなと思うんですけれども。」

加藤「はい、分かりました。”左ききの道具店”は説明をしなくてもいいぐらいの店名ではあるんですけど(笑)左きき専門の文具やキッチン用品や日用品を扱うオンラインショップです。
私自身は元々コピーライターという形で、広告やクリエイティブの方をさせていただいていたんですけども、妻が左ききで、左ききに対してずっと『なんとかしたいね』って思いをどこかで抱いていて。それをちょうど2018年の夏にやってみようと始めたのがこの左ききの道具店というお店です。
下田さんとは昨年末に名古屋でやったポップアップショップでご一緒させていただいて、そのご縁で今回お声掛けいただきました。」

岡山「ありがとうございます。」

下田「元々は10YCのユーザーさんだったんです、加藤さんは。」

加藤「はい。これも10YCのシャツです。」

下田「ありがとうございます(笑)そこから実は、僕の友人と加藤さんの友人が繋がっていて、一緒にポップアップやりましょうって感じで昨年やらせていただいたんですけど。」

岡山「そこからの縁でっていう感じですよね。」

下田「はい。すごく素敵なブランドで、僕はもう生まれ変わったら左ききの道具店の店主になりたいってこの間岡山さんと話していましたけど。もう目の付けどころというか、たまたま自然に生まれた道具店だとは思うんですけど、すごくいいなと思って。」

加藤「ありがとうございます。」

岡山「なんかもう、やらない理由がないというか。『欲しいからやる』みたいな感じですよね。」

加藤「もうその通りで、元々は左ききだった妻が『欲しいからやりたい』っていうのがあって。やっぱり自分が欲しいからやりたいっていうところが僕はすごくいいなと思って。彼女自身が30年以上ずっと左ききであることでどこかで不便を感じていたわけですが、なんかいやだなと思うところがプラスになっていくのはすごくいい。
事業としても長くやりたかったので、長くやる意味でもすごくいいなと思って始めました。ありがたいことに見てくれる人が増えてきている状況ですね。」

岡山「いいですね。今は3つのテーマを話していこうと思っているんですけど、最初のテーマがまさに今の『どうして始めたか』とか、『キラープロダクトはなぜ生まれたか』みたいなところを聞いていきたいなと思っていて。左ききの道具店は店名自体がそもそも全てを表していますね。」

加藤「はい、全てを表しています。」

岡山「左ききの道具店って、最初は奥さんがやりたいと思ったけど、信吾さんが『いや、違うんじゃないかな』と言ったと。それで1年ぐらいして、やっぱりもう1回やろうみたいな話になったって聞いたんですけど。」

加藤「はい。」

岡山「最初奥さんがやろうと言った時にやらなかった理由って何だったんですか?」

加藤「2017年に僕自身が独立をしてコピーライターとして一人でやっていたんですけど、立ち上げた時から会社にして、夫婦で一応やってはいたんですね。
僕が広告を作ったりとかウェブサイトを作ったりしながら、妻はそのアシスタントとしてテープ起こしとかをしてもらっていたんですけど。僕が外に出てお金を稼ぐ、彼女がアシスタントっていうような立ち位置がちょっと不自然というか、長くやっていくことを考えたら良くないなって思ったんです。
その中で、僕自身は本業としてやっているのでイニシアチブを持って仕事ができるじゃないですか。でも妻はあくまでもアシスタントなので、僕がイニシアチブを持ってしまっている。仕事と家庭が一緒なのに、その中で僕がイニシアチブを持ちすぎるのは良くないなと思っていて、ずっと『なにかやろうよ』って言っていたんですね。
それでアイデアを出している時に『左ききのグッズとか集めたらいいよね』みたいな話をチラっとされて、『へー』と思ったんですけど、小売りの時点でちょっとどうかなと思っちゃったんですね。」

岡山「なるほど。」

加藤「3年前は手元にそんなに現金もない状態で。新しく始めるなら在庫も持たずに、なるべくリスクが低いものがいいんじゃないの?って思ってしまったんですね。」

下田「はいはい。」

加藤「なので、『いやいや、ユーザーも少ないだろうし、リスクもあるし、どうなのよそれ』っていうところで1度NGを出してしまったっていうのが3年前でした。」

岡山「なるほど。」

加藤「1年経って、もう少し僕の売上も上がってきて、もうちょっとなにかできるなってタイミングで、改めて妻から『やっぱり左ききのお店をやりたい』という話が出て。
僕自身も、コピーライターという仕事は基本的には受託仕事なので、仕事の依頼を受けて作るってことを繰り返しているうちに『これは長くはできないな』と思ったんですね。広告の仕事とかはどうしても、ある種若さのエネルギーだったりとか、時流に乗ってるとかが必要で。それにやり続けていると、どこか疲弊していく自分が見つかるというか。」

岡山「うんうん。」

加藤「自分たちで発信できるなにかが欲しいと思っていて。その中で、妻が出した案を検証してみようと思って探してみたんですね。『そんなのあるんじゃないの』と思ったんですよ。めちゃくちゃありそうじゃないですか。左ききの専門店って。」

下田「確かにね。」

加藤「ありそうだなと思ったんですけど、本当になくて。」

岡山「なかったんですね。」

加藤「驚くほど。探したけど2個しかなかったんですよ。ひとつはオンラインショップで、もうひとつがリアル店舗で。『これは本当にない』と思って、ないんだったら僕らみたいな小さなところが駆け出しで始めていく上ではすごくチャンスがあるかなと思ったんですね。
だからその時は『左ききの人たちのために』みたいな大義というよりは、妻が責任を持って動かせる事業を始めることや、夫婦でお互いが事業を持つことをしたかったっていうのが最初のきっかけとして大きいものでした。

下田「なるほどね。」

岡山「面白いですね。”左ききの道具店”って名前を初めて聞いたときに、『世の中の人のためにやろう』みたいなイメージを持ちがちだと思うんですね。ソーシャルグッドなことやってるんだみたいな。全然そうじゃなくてっていうところがすごく面白いなと思いました。

加藤「うんうん。マイナスというか、不都合に思っている人たちをサポートするような道具を扱う、みたいな印象が僕も最初はあったんです。
でも妻と話をしていると、左ききの人って矯正もされているし、右ききがほとんどの社会の中に適応しているんですね。普段そんなに困っていないんです。だから実際、左ききのグッズをメーカーさんが出してもそんなに売れないんですよ。」

岡山「うんうん。」

加藤「売れないから世の中にあんまりないんですね。
困ってないものを『助けてあげる』というよりは、彼女自身はおもしろグッズや便利グッズのように扱われている道具は使いたくなくて、本当に自分が使いたいもので左きき用のものがあったら素敵じゃないかっていうところが大事だった。
なので僕らが扱うものとしては、左きき用の道具ならなんでもいいというよりは、『本当に持ちたい』っていう前提があった上で選んでいます。」

岡山「なるほど。どちらかというと必需品を何とかするっていうよりは、趣味に近い感覚で左ききの人を楽しませようとか、自分たちが楽しんでいこうとか、そんな感じでやっているってことですね。」

加藤「まさにそこで。楽しんでもらうっていうか、『生活がちょっと嬉しくなる』みたいなところがすごく大きいなと思っていて。
うちで今1番売れているのって万年筆なんですけど、左ききの万年筆ってあんまりイメージ湧かないじゃないですか。」

下田「全然湧かない。」

加藤「ボールペンとか鉛筆は特に関係ないんですが、万年筆ってペン先の角度の問題で右きき用と左きき用があるんです。それで左ききの人が書いてみると、すごく滑らかで書きやすいっていう、ある種の快感みたいなものがあるんですよ。

岡山「角度なんですか。」

加藤「そうです。ペン先の角度なんです。だから左ききの人ってあんまり万年筆を使わなかったんです。引っかかったりするから。万年筆を使う人ってそもそも書くことが好きだったりとか文具が好きみたいな、趣味嗜好として使う方が多いんですけど、そういう人がより楽しめる。書いた時に『めちゃくちゃスッと書けるやん!』って、書くのが嬉しくなるようなものを届けたいし、僕らとしても作っていきたいなって思ってます。」

下田「なるほど。」

岡山「そういう感覚で、ちょっと嬉しくなるようなものをどんどん取り扱って万年筆筆頭に広げていったんですね。」

加藤「そうですね。今はなるべくオリジナルのものを少しずつ増やしていこうとしています。」

岡山「うんうん。」

加藤「ちょうど昨年末に左ききの手帳を出したんですよ。これもほとんど市場になくて。一般的なものと逆の右開きで、右側に1週間のカレンダーがあって左側にメモがある。だから左手で右から左に書けるっていうものなんです。
そういった今までなかったものだったりとか、自分たちでこれだったら欲しいよねっていうものを増やしていく。もちろんセレクトでいいなって思う道具を、特に左きき専門だったり、両ききどちらでも使えるユニバーサル色の強いものを取り扱いつつ、自分たちが『これが欲しかったけど世の中になかった』みたいなものをちょっとずつ増やしている最中です。」

岡山「面白い。ありがとうございます。そういう意味では10YCも、もともと自分たちが欲しいものを作っているっていう感覚でやってますよね。」

下田「そうですね。うちもどちらかというと始まりが趣味に近いんですよね。商売じゃなくて、とりあえずTシャツ作ろうぜみたいなところから始まっているのですごく近いなと思って聞かせていただきました。」

岡山「なるほど。10YCってなんでTシャツからだったんですか?」

下田「Tシャツに苛立つ創業者のひとりがいて(笑)うちは創業者が3人いるんですけど、その男が『なんだこのTシャツ』って言ったところから始まっています。本当に最初からいいTシャツが欲しかったのかっていうとそうではなくて、怒っている彼の姿を見て『じゃあTシャツから作ってみる?』みたいな。
その時はまだ10YCを作ろうと思ってなかったので、普通にTシャツ作ってみるかみたいな感じだったんですよね。」

岡山「そのTシャツが今筆頭になってだんだんラインナップが増えていると思うんですが、今どんなものがあるんでしたっけ?」

下田「Tシャツから始まって、シャツ、スウェット、パーカーが出て、この間初めてアウターが出て、長袖があったり半袖があったりして、もう10種類ぐらい出ましたかね。アイテムでいうと。」

岡山「うんうん。『こういうアイテムを作ろう』みたいな軸ってあるんですか?」

下田「Tシャツを作る時に思ったのが、基本的に『買わせるため』に作られているものが多いということです。それはじゃあ『使い続けてもらうためのものなのか?』って思った時に、そうではないものが多かった。
だから10YCは『買ってもらうこと』じゃなくて、『どれだけ使い続けてもらえるか』みたいなところを常に思って作っているって感じですかね。Tシャツがそこから始まっているので、基本的にどの商品もそのプロダクトコンセプトに合わせて作っています。」

岡山「『使い続ける』ってところで見ていくと、Tシャツって普段は消耗品のイメージがやっぱり強くて。それこそ『10年』みたいな単位で見ない商品だなと思ったんですよね。

下田「うん、そうですね。だからこそ自分たちがそういう概念をぶつけたかったみたいなこともあると思うんですよ。
デニムだったら10YCになっていなかったかもしれないなってたまに思うんですよ。デニムが1番最初だったら100years clothingかもしれないし(笑)」

岡山「あはは(笑)」

下田「『Tシャツ10年』と言われたら『いや、絶対無理でしょ』って人と、『どうやって着たら10年いけるんだろうね。デニムみたいなものかな』って感じる人がいると思うんです。
『Tシャツは消耗品だから安く買って終わりだよ』じゃなくて、『Tシャツでも長く着るっていうことを考えてみない?』みたいな感じで提案したかったっていうのもあるんですよね。」

岡山「そういう意味でいくと、”右ききの商品の中で困っていない左ききの人たち”と、”使い捨てに近いようなTシャツに囲まれている中で困っていない人たち”とそれぞれ似てる気がしますね。立ち位置として。」

加藤「うん。10YCさんはすごく親近感があるんですよね。なんでかは分からないですけど(笑)」

岡山「そこ何なんですかね?」

下田「いやー、中の人がいい人だからじゃないですか?(笑)」

加藤「あはは。それもあるかもしれないですけど(笑)
10YCさんはまだ僕もそんなに知っているわけではないかもしれないんですが、作為がない感じがするんですよね。プロダクトにすごく正直というか。原価を正直に出すこともそうですけど、マーケティングがすごく上手に見えるわけでもない感じもしていて(笑)」

下田「(笑)」

加藤「コミュニケーションがストレートというか。『俺がいいと思うからこれを出すんや』みたいな、そういう感じを全体から受けるところがあって。」

下田「はいはい。」

加藤「そこも含めて僕はすごく好きだなって思ってます。」

岡山「面白いですね。そういうこと言われます?」

下田「そうですね。そもそも『無骨だよね』っていうのは結構言われるし、『もう少しうまくやったらいいのに』という声も結構聞いたりするし。お客さんじゃなくて友達界隈からとか。」

岡山「なるほど。お二人には逆に、やりたいことをやっている反面『これはやらないぞ』って決めていることってありますか?」

加藤「左ききの道具店だと、仕入れの部分とか、出していく情報とか、売値みたいな部分でいくつかあります。わかりやすいところだと、セレクトする時には必ず店長である妻の体験を通すんですね、」

岡山「ああ。」

加藤「左ききの専門道具店って探せばいくつか出てきたりするんですけども、うちは必ず実際に暮らしの中で使ってみる。
妻は結構文具マニアみたいなところもあって。文具店とかに行って、1時間2時間とかずっと幸せそうに見ているタイプだったりするので『自分が本当に持ちたいかどうか』とか『使ってみて心地良いかどうか』はやっぱりすごく大事にしています。
だから、『左ききグッズだったら何でも売る』ということは絶対にしない。必ず体験を通したものでいいと思ったものだけを売るっていうふうにしています。それがひとつですね。」

下田「そうだな。確かに。」

加藤「あとはプラスアルファでいくつかあっるんですが、値引きはしないだったりとか。ここは後で深堀りしていくところかもしれないですけども。
他にも、うちはTwitterが主流のコミュニケーションになっていて。」

下田「すごいですよね。本当に。」

加藤「ありがたいことに。逆にInstagramとかFacebookはあんまりで、ほとんどTwitterなんですね。何パーセントかはわからないですけど、今のところ8割以上はTwitter経由のお客さんなんです。」

下田「すごいな。これだけInstagramマーケットみたいな、フォロワーが多ければ多いほど売れるようなブランドがいる中でTwitterでしっかり売っているってすごいですよね。」

加藤「でも逆にInstagramで映える道具ではないんですよ。映えるものでもないんですけど、”左ききの道具店”って店名だけで内容が全部わかってくるので広がりやすいんですよね。
どの層に当たっても10人に1人は左ききがいるんですよ。世界中、国籍も人種も富裕層もそうじゃないのも関わらず、10人に1人は左ききがいるっていう。そういうターゲットなので、ある意味ではどこにでも行きやすいTwitterが戦場になっているんですよね。
ただ、うちでは煽るようなことはしないとか、そういったことを決めています。やらないことという意味では売り込み過ぎないっていう。あくまでコミュニケーションの場としてTwitterを活用して、ありがたいことに少しずつ受け入れられてきたかなという。

岡山「すごい。めちゃめちゃ誠実な感じが伝わります。どうですか?煽らない10YC。」

下田「まあ煽らないのも結構難しいですけどね。たまにね、煽っちゃう時もあるんですよ(笑)」

加藤「あはは(笑)」

下田「なんかこう、『10YCの!Tシャツは!着心地がいい!』とか煽っちゃう時もあるんですけど。」

岡山「『今季最注目の10YC!』みたいな(笑)」

下田「そう(笑)『着たら絶対やめられなくなる』とか『肌触りが最高の』とか。でも、基本的にはそうですね。分かり合うっていうのは大事なコミュニケーションのひとつとして思い描いていますけどね。」

加藤「でも煽り自体が、ストレートでいいですよね。いわゆる恐怖訴求とか比較訴求とかでは決してなくて、あくまで自分たちのまっすぐな『いいぞ!』っていうもので僕は好きです。」

下田「僕が考えていなかったところまで言語化してくれるのがやっぱりすごい。
そうですね。煽らないとか比較しないと決めているんですよ。誰かを貶めて自分達が上がるということは基本的にしたくないというところがあるので、これは結構意識してやっているところかな。
機能と機能を比べた時にどっちが上か下かっていうのは分かりやすいし、やってもいいと思うんですけど、どうしてもそこの勝負になっちゃうんじゃないですか。機能的な勝負の消耗戦ってすごく無駄だなと思ったりするので、そういうところはやらないっていうのを決めてますね。

岡山「うん、なるほど。なんとなくですけど、お二方とも誰かと競うとか、なにかと比べるっていうよりも『自分たちがいいと思っている』とか『自分たちが自信を持っている』っていうこと、悪い言い方かもしれないですけど、”自己満足”をすごく大事にしているブランドなんだろうなっていうのはなんとなく伝わってきました。

下田「確かにね。まあでも、自己満足じゃないところもありますよ。やっぱりなにかとなにかを比較した時に、こうだったらいいのにとか思います。だけどそれを自分の中で思っていてもお客さんには伝えない、みたいなところなのかな?っていう気はしますけどね。」

加藤「どうなんですかね?自己満足の部分はすごくある気はしていますね。多分それはTwitterをはじめ、コミュニケーションの率が高いからなのかな?って思ったりはするところがあって。
自分たちが選んだものとの距離が近いんです。ある意味。なので自分たちがいいと思っていないものを出すことに対するためらいがありますね。」

下田「わかる。」

加藤「誰か顔も見えない人に届けるのであれば、もしかしたらその意識って薄くなるのかもしれないですけど、そうじゃないので。ちゃんと自分達の思いとか体験を通したものじゃないと自信を持って届けられないっていうのはありますね。」

下田「めっちゃ面白い。実際、誰かが作ったものをセレクトしているわけじゃないですか。そうなると自分ごと化できない気がするけど、左ききの道具店さんはすごく自分ごと化してますよね。」

加藤「そういう意味では、応援したくなるところじゃないと、あんまり仕入れたりしないんですよ。」

下田「うんうん。」

加藤「仕入れる時は明確な基準で条約みたいなのかあるわけじゃないんですけど、『ここのメーカーさんはすごく丁寧で顔が見える』とか、コミュニケーションした時の感じ方とか、そういうところも見ていて。そういう意味では、仕入れて売ってはいるんですけども、結構”自分たちの商品感”があるんです。

下田「面白い。」

加藤「『いいもんだぞ!』って紹介できるというか。」

下田「それめっちゃ大事ですよね。セレクトのありがちなことって、どうしても店舗の売上とか、これを仕入れたらこのぐらいの売り上げになるみたいなのがあるというか。僕らもセレクトしたいと言われたりしますけど、ブランドを消耗して自分たちの売上を上げようみたいなところも結構あったりするので。
そこら辺すごく本来のセレクトっぽいっていう気はしますね。こういうこと言っていいか分からないですけど(笑)」

加藤「でも、メーカーさんで左ききのシリーズを置いているところ自体がまだそんなに多くないのと、右きき用に比べたらそもそもの市場が10分の1なので、左きき用自体をそんなに作ってないんですよ。
だから僕らの方としてもいいところを残したいのもあって、なるべく積極的に仕入れたいんですね。
左きき用の中ではうちが一番売っているってブランドがいくつかあって、そういうのが増えてくると、ちょっとずつ世の中に左ききのものがちゃんと残っていく一助を担えるじゃないかっていう。そこまで行けれはいいなと思うんですけど。」

岡山「面白いですね。結構お二方ともこだわり強いなって思いますね(笑)」

下田「似てますよね(笑)」

加藤「確かにそうかもしれないですね(笑)」

岡山「そういうこだわりが強いブランドなのに、だからこそなのかもしれないですけど、お客さんがいて、ちゃんと商売として成り立っていっている。その背景や、お客さんとの関係の話を次の30分で聞いていこうかなと思います。」

下田・加藤「はい。よろしくお願いします。」


下田「はい!ということで第5回しゃべってきました。やっぱりゲストがいると楽しいですね。」

岡山「そうですね。いつも話していることがさらに広がっていく感じでいいですね。」

下田「加藤さんを迎えた特別編はまだあと2回続くので、みなさんぜひ次も聞いてもらえると嬉しいです。ということでまた次回会いましょう!ありがとうございました!」

岡山「ありがとうございました!」

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