変なのです

変なのです

片足で歩くことなど出来ないはずなのに

左右で靴底の減りが違うのです

おかしいのです

あなたはこれをAと呼ぶのに

僕はBだと思っているのです

変なのです

僕は わたし なのに わたしは 僕
および 俺 ボクたち 我々になるのです

そのうち自分が何者なのか分からなくなります

おかしいのです

右手に持っていたはずのメガネがないのです

変なのです

右手で握っていたはずの あなたの手が 見当たらないのです

おかしいのです

おかしい、おかしい、と呟く僕のからだが どんどん透明になってゆくのです

肌色と透明のまだらになってゆく僕のからだは 正直とてもぶきみです

でも 誰かがその僕を さすってくれているような気がするのです

さすってもらえばさすってもらうほど 僕のからだは透明になっていくけど

それもまんざらではない心地なのです

いつか まったくの透明人間になったら

こんなことやそんなこと あんなこと どんなことでも
出来るのだけど

もう既に僕は

知ってしまっているのです

だけど 僕には

僕の歌なんて 誰も聞きたくない

そう思いながら

僕のポエ路は続いてゆくのです

/とわさき芽ぐみ 2017.10.26

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