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魔法と日常編

本記事にはファンアートの画像を載せています。
ピエロは出ない。犬は死なない。

8月のアンスリウムレッドジュニアに行った。
大抵の人類がそうであるように600円の持ち合わせなどなかったため1000円札で支払い、硬貨を4枚返されている時、自分の身体がこの不条理を形成する一部に組み込まれた心地がした。
終演後、今日はなぜラーで飯を食うぞと決めていたのだが、開店まで30分あったので仕方なく一旦喫茶店に入った。
隣席の会話というのは地元でも新宿でも等しく興味深い。若い女性と中年の男性が二人でスイカのやつを飲んでいた。思ったより全然美味しい~!、らしい。アイドルが運営と折り合いがつかず大変、らしい。
30分経ったので店を出て、なぜラーで蕎麦を食べた。外からの風が豪快に刻み海苔を攫っていった。

上機嫌に新宿を闊歩し、アンスリウムレッドに行った。
現在アンスリウムレッドはピン芸人率が異常に高いライブに仕上がっており、「奥村だけ2人でお笑いをやっていてズル」ということで奥村うどんが1人で中MCをこなしていた。

最近のアンスリウムレッド

中MCでは得意の陰謀論が展開されていた。いろいろカタカナを言っていて、絶対に全部覚えて帰るぞと思いながら前のめりで(※精神的前のめり。観劇中に物理的前のめりになってはいけません)聞いていたが、もちろん終演する頃にはほぼ忘れていた。レプティリアンだけ覚えた。ちょっと検索するだけでも面白い。私も大人なのだから陰謀論の一つや二つ空で唱えられるようになりたいものである。

取り置き先のおべんとばこが漫談も漫才も軽やかにこなしていて胸が弾んだ。最近ようやく覚えた秘密通路、新宿サブナードをステップでも踏むような気持ちで歩いて帰った。サブナードの入り口のところで、知らない芸人が2人でけらけら笑い合いながら漫才を練習していた。
いつも自販機で買うのは水なのだが、この日は麦茶が気持ちいいような気がして麦茶を買った。
家に帰って買った麦茶を飲んでいると、机の上にキャップが増えた。

たぶんたまたま家に置いてる2リットルの麦茶のキャップを捨て忘れたのがそこにあったのだけど、今日は楽しい日だな、と増えたキャップを見て思った。

さて、この数日後に「陽性」の診断を受けた。
3月に絶対そうだと思ったら陰性だったり、7月になんだこれはと思っていたら食中毒だったりと、波乱万丈に高熱を出してきた今年だったが、ここで3度目の発熱、ついに陽性だった。
定かではないものの、感染経路といえば調子良く新宿を歩き回っていた件の日が思い当たり、やや後ろめたい。
しかし罹ってしまったものは仕方がない、やりたいけどできてないファンアートが溜まっていたので、この期間を使って絶対にラフを消費してやろうと意気込んだ。5日間あなたは何もできませんと言われると、いいえできますがと反発したくなるものである。
自分がやっているものをあんまり絵ともアートとも思っておらず、特に「描く」という表現に妙な恥ずかしさがあるのだが、それ以外に適切な表現もないのでそう言わざるを得ない。解熱剤を頼りに隙を見て絵を描いた。

自分が描く絵(描く絵!)は全部文章でも説明できることで、わざわざ時間がかかる絵にしてるのは、文だと野暮で恥ずかしいからかもしれない。でも結局絵の方が難しいうえに恥ずかしいことが多い。

これは療養期間ではなく、麦茶のキャップが増えたあとに早く寝たほうがいいのに描いた絵(描いた絵!)なのだけど、せっかくこの漫才師を継続的に見ることになりそうで、SF映画のことも好きなのだから、陰謀論やSFや魔法の話を結んで繋いでできるようになりたいな、と、言葉にするならそういう気持ちだった。

これは療養中。
漫談家ってレバニラ定食とか食うんだ(18文字)
絵だと5時間くらい、いや全然もっとかも、だらだら描いてたからわかんない。
漫談家もレバニラ定食とか食うの、よくないですか、「職業」「労働」って感じで。←野暮。それを絵にしたんでしょ

ラフを溜めていると、感想をツイートするのを我慢しているようなストレスがあるので、やはりこの期間にかたをつけられたのはよかった。

絵を載せるためだけのアカウントがあった方が心が穏やかかもしれない、というのはもう1年も2年も思っていることで、しかし自分は絵のアカウントを開設した途端に描かなくなる人間だろうなと読んでいるので、惰性的に唯一稼働している公開アカウントに気まぐれに置いている、というか、投げ散らかしている。満足した時点で半端な形で床に置く。脱ぎっ放し。

3つだけ映画とアニメも見た。

①『映画ドラえもん のび太の新魔界大冒険 〜7人の魔法使い〜』
すごく新しい映画のような気がしていたが実はもう16年前の作品だった。16年前!?!子供時代DVDで旧魔界大冒険を見ていて、新魔界大冒険を見た頃の自分には「お姉さん」という自意識があったような気がしていたのだが、まだまだまったく子供時代だった。
物語の舞台となる魔法の世界では、科学なんて迷信信じてるの?という、科学と魔法が反転した価値観が社会通念とされているのが良かった。科学と魔法を逆とするのですね。
美夜子さんがかわいいのは勿論、しずかちゃんに母性を見ていて、やりたい放題じゃんと思った。

②『メリー・ポピンズ リターンズ』
ひっきりなしに楽しいシーンが詰め込まれていて120分みっちりあるのが良かった。本当はもっともっとやりたいことがあったけどなんとかぎゅっとして120分に収めたのだろうか、などと想像した。
Turning Turtleのシーンが良い。音楽も美術もキャラクターも!メリル・ストリープって、どの映画においても最強なのか……?
しかしずっと少しだけ魔法がかかった普通のロンドンの人々を見てきたのに、その人々が積み上げた素朴な物語が最後の最後にただの魔法にさらりと解決されてしまうの、そ、そんなぁ……と思いませんか。

Wind's in the east, mist coming in,
東の風が吹き 霧がかかる
like something is brewing, about to begin.
不思議なことが 起きそうな予感

『メリー・ポピンズ』(1964)

「不思議なこと」と人の想像力が密接に繋がっている世界観だと思っていたから、ちょっと拍子抜けしてしまった。
『ウォルト・ディズニーの約束』が好きで絶対に泣いてしまう映画なので、もしもっと親の方にフォーカスした描写があったらめちゃくちゃ泣いていたかもしれない。

③ゾン100の1話
ラジオで狩野英孝がおすすめしてるのを聞いて。
綺麗!鮮やか!痛快爽快の気持ちがいい1話だ。狩野英孝が「子供でも見られるようにグロくならない色で血を描いている」というようなことを言っていたのだが、たぶん違うんじゃないでしょうか。カラフルなのでゾンビものの画面にしてはすごくポップなことには間違いないが、ゾンビパンデミックの世界に堕ちてしまったのに主人公の心は晴れやかというアンバランスの色遣いである。
絵が綺麗で台詞も気持ちよく、病床でウキウキできた。

陰謀論やSFや魔法の話を集める旅はまだ始まったばかりやで


●めでたい

あ~よかった~~よかったよかった~~~~

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