タイタニックを地上波で初めて見て、更にレンタルして観て、ボロボロに泣いた

6/24に、映画「タイタニック」の前編が放送されていた。
タイタニック号の残骸の跡を見に行くツアー船タイタン号が沈没したというニュースがその数日前に流れて、フジテレビ的にはなんとも言えぬタイムリーな事故であったが、放送開始前におことわりテロップを挟んだのち、予定通りに前編が放送された。

私はこのツアー船事故以前から、タイタニックの史実の件について調べていた。

幼い頃、21世紀に産まれた自身にとって映画「タイタニック」は(あの船の先頭で、主人公とヒロインが組体操の様なポーズをとっているのが印象的だけど悲劇的な"完全フィクション"ラブストーリー)
の話だと思っていた。

しかし、その後高校生くらいになってから、テレビの驚愕事件特集系の番組で、タイタニック号の沈没は実際に起きた事故として初めて知った。

そこから、タイタニック号沈没の事故のことを調べ出し、その上で映画「タイタニック」に抱いた印象は
(あんな悲劇的で凄惨な史実で、ロマンス映画?!)
となり、懸念していた。

しかしながら、先日のタイタン号の船の構造の問題の件を受けてのジェームズ・キャメロン監督のインタビューでの受け答えを聞いて、
(この人は真摯にタイタニック号、いや深海探索に取り組んでいたんだな)
、と映画に対する偏見の心を改め、前編を視聴した。

諸事情で途中からの視聴となってしまったのと、日本語吹き替え版でなんとなく見ることとなった。

未亡人で成金の母のエゴで、貴族の生活を送り、政略結婚を迎えようとしていたヒロイン(ポジション的に主人公にも見える)、ローズと、
両親も住処もなく、ギャンブルのまぐれでタイタニックに乗れたくらいで普段は不安定で、無一文に近い生活をしているが、自由に楽しく生きている絵描きの主人公、ジャックが最初はお互い疑心暗鬼であったもの、徐々に恋仲になっていく関係が丁寧に描写されており、
一方で、ローズの婚約者と約束されていたキャスバル(愛称キャル)が貧乏人(ジャックをはじめとする3等船客)を見下し、いかにもなDV男の上に、成金というどうしようもない男であったという、シンプルな三角関係で普段ラブストーリーを滅多に観ない私にとっては、この三人の関係、一体どうなるんだとものすごく引き込まれた。

一方で、史実ベースのほうの描写もとても細かく描かれており、起承転結の起と承の部分にあたる前編では、序盤に何故船が沈没したのかの説明が簡潔になされており、上記のラブストーリーも挟みつつ、その一方で、船は今一体どのような体制で運航されているかというので、視聴中は二重の意味でドキドキが続いた。

この前半の時点で、史実に対して真摯に向き合っていることと、ラブストーリーとしても、とても面白かったので、後半が待ちきれなかった。
タイタニックでの思い出を語り始めたローズがタイタニック沈没からかなり経過した101歳(タイタニック乗船時は17歳)で、一方のジャックの行方は不明、という時点で二人はどこかのタイミングで生き別れになってしまったんだろう、と思い俄然後半に興味を持っていた。

地上波の後編まで待つつもりだったが、我慢できず、アマプラでレンタル300円で借りれたので、本編の字幕版を借りて、既にみた前半除いた後半からではなく、全編視聴した。


地上波では、日本語吹き替え版で見ていたが、本当は洋画(特に実写)は字幕版で見たい派だったのだ。
母が英語好きで、小学生時代は基本的に海外作品専門チャンネルで育ったといっても過言ではない。(もちろん日本作品も見てた)

前半の時点で、地上波の方で同じものを見ていたはずなのに、セリフから感じ取られる印象が、全然違う。
特にローズの印象が異なり、日本吹替では、日本の女の子の声の高さと、日本作品のテンポで会話されていたが、字幕版では、年相応の情緒と、本来のおてんばっぷりがより一層際立って聞こえた。

また、割りと英語が早口で色んな訛りもある為に、日本語字幕も早くなり、最早、
下に英語字幕も一緒にあれば、そして私に英語の語彙力とリスニング力があれば、と思ってしまった。
日本の学校では教えてくれるわけない単語(汚いスラングとか)やそもそもリスニングテストをあまり行わないからっていうのもあるが…言語の発音や文法が全然ちゃうから。

しかしながら、字幕版のほうが俳優さんのセリフ面での迫真の演技が一層伝わってくるので、これからも基本的に字幕版で海外映画を見る。

閑話休題。


今までこの映画を観てこなかったが、世界的な名作と言われる理由が納得した。
初見だけども、作中で何度もボロ泣きした。

ローズが愛する男の為ならばと、身を振り絞ってでも助けに行く姿、
沈没寸前の中、何としてでもお互い頑張って生き残ろうとする姿、
沈没後何とか2人とも助かるも、冷たい海の方にいたジャックは低体温症で力尽き果て、生きているローズが途方に暮れた表情で聖歌を静かに口ずさむシーンは、涙無しには見れなかった。そして、ジャックとの約束を果たす為に、力を振り絞って救命のホイッスルを吹いて生き延びようとするローズ…

ローズは救命ボートにレディーファーストで助かって、男で3等船客のジャックは助からないとかそういう別れ方だと最初は思っていたが、
そんなわけなく、お互いともに生き延びる為に、一生懸命躍動する姿に、心から感動した。
ローズは貴族でありたいと言うプライドなんて始めからなく、葛藤した上で母と別れを告げたのも良かった。

こんなにも終始観ていて良い意味でハラハラドキドキする映画を観たのは初めてだ。映画初心者←

色々な思い出のあった貴重なダイヤを海に投げ捨て、そしてラストの、年老いたローズが眠りにつき、ジャックと語り合っていたジャックとやりたかった事を叶えた写真立て、そして、ジャックとローズが結ばれるというIFルートで幕を閉じた際に、また涙が溢れた。

このシーンは、ローズの夢?或いはもしかしてやりたい事をやりきったローズは亡くなってしまった?と迷ったが、どうやら「視聴者の想像に任せる」が監督の答えらしい。

「君はおばあちゃんになって、暖かい布団で死ぬんだ こんな冷たい海の中では無く」
というジャックの言葉から、私は後者だとその後解釈した。

碌でも無い男であったキャルはその後もジャックに冤罪をかけたり、沈没で大パニックにも拘らずジャックを狙撃しようとしたりとローズ(及び渡したダイヤ)に執着し、終盤でも碌でも無い男であったが、
途中ジャックとお互い皮肉を交わしつつも和解しつつ、今までの行いの因果応報が口頭であれ、ちゃんと最後に行われていたのがスカッとして良かった。

船が絶対に沈没しないという過信や、当時の国際的な風潮で、度が過ぎるレディーファーストや船内での特級による格差社会により、もっと大勢助かったはずの乗客が、助からなかったというのは、史実の話の時点から、現在の日本人の感覚として「やりきれないなぁ」と感じていた。
フィクションであれ、ジャックが身分のせいで散々な目に遭い続けいてたのは本当に気の毒であった。

しかしながら、今のご時世でも行き過ぎた男女平等など様々な問題があるし、21世紀に入っても、セウォル号、知床の遊覧船、そしてタイタン号と、人類は何度も過ちを繰り返す生き物だなあ…とも同時に思った。


本来は火曜日辺りにこのレビューを投稿しようと考えていた。

確かに感動するほどの名作ではあるが、沈没前後の描写があまりにも生々しくて、もう一度見たいという気にはなれなかったからだ。

私は「メイドインアビス」や「ベルセルク」と、同じく主人公達が残酷で理不尽な目に遭いながらも必死で生き抜いていくお話が大好きだが、
あれは漫画やアニメで、フィクションだからまだ見れた。
とはいえ、見てて面白いけど、辛くてしんどかった。

だが、これに関してはガチでタイタニック沈没の恐ろしさを描いている上に実写で、そして元々本当にあった話をベースに作っているので、
想像力が私以上に豊かな人が見たら大人でもトラウマ確定だろう。

つまり、実写のパニック映像は見れない体質である。(3.11の津波の映像も今では怖くて見れない。しかもあれは作り物でないマジモン。)
小学生の時にたまたま9.11のビル爆破画像を見た際もトラウマになった。

しかし、タイタニック視聴後にあらゆる考察動やレビューを拝見し、初見では気づけなかった要素が色々隠されていたことから、7/1に放映される後編も、見ようと考えていた。

レンタル版は無修正でやっていたと思うが、地上波なら多少描写の緩和が入るだろうと思っている。
けども、ローズのヌードやジャックとの濡れ場もしっかり放映してたからなあ…

あらゆる葛藤を抱えながら7/1を待ち、そして当日、私は後編を見る事を選んだ。


この地上波後編でも案の定ボロ泣きした。

潜水探索描写以上の懸念点であった生々しい沈没前後シーンは、悲鳴も抑えられ、地上波向けに画面が暗めに演出されていて(それでも辛かったが)、
そして、途中たびたび挟まれるCMが良くも悪くも緩和剤となった。

そんな良くも悪くも緩和剤となったCMであったが、ジャックがローズとの約束を語り、力尽きる場面や、その後、ローズが何とか生き延びようと助けを求めようとする終盤屈指の感動シーンでCMを挟むのは流石に「何してんの!!」と思わざるを得なかった。

しかしながら、幕が閉じた後の、エンドロールでこれまでの名場面を流していたのは、賛否ありそうではあるもの、個人的に粋な演出だと思った。(EDの和訳付き歌詞字幕があれば尚のこと良かった)

主題歌の歌詞だけ知っていて、前半を観ていなかった母も一緒に見ていたのだが、初めはなんとなく見ていたもの、主題歌の歌詞を知っていたが為に、終盤一緒に涙を流していた。

前半も知る為に、本編を見る事を勧めたが、母も沈没シーンを再び見るのは嫌だとのことで躊躇っていた。
確かに、私も本編の規制無しの描写でこの地上波版も見ようか葛藤していたからそらそうだよなと…

前述の通り、様々な賞を取るという世界級の名作だというのも納得出来たし、この人生で見ておいて良かったと心から思った作品であった。

ただまあ、あの描写がしんどかったので何回も見返すことは無いだろう…

ジャックの放ったセリフ「この人生は神様からの贈り物」「今を大切に」という言葉が、今の私に刺さった。

実際のタイタニック号の乗客や、上記で挙げた事故など、やりたい事をやり切れずに亡くなった人も大勢いる中で、私はこの涼しい部屋で呑気に過ごしている。

今は何事も無いが、明日は我が身と言うように、もしかしたら今日これからや、明日は何かが起きるかもしれない。
毎日何か有意義な事をやれとまでは思ってはいないが、少しでも悔いのない人生だったと思える様な生き方をこれからしようと改めて考えされられた。

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