不愉快なニース41 堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法③

ディストピア(dystopia)または逆ユートピア(anti-utopia)とは、反理想郷・暗黒世界、またはそのような世界を描いた作品。「否定的に描かれたユートピア」を指す言葉。産業革命後に発達した機械文明の、否定的・反人間的な側面が強調されて描き出された「未来社会」像。典型例は反自由的な社会であり、隠れた独裁や横暴な官僚システム、性愛制御などが描かれる。
 
第3章 脱炭素ユートピアの先にあるディストピア。
1.地球を救う街は都市収容所!・イギリス発、2023年最もホットな陰謀論」。2023年2月18日。イギリスのオックスフォード市で、12歳の少女が大勢の前にこう訴えかけました。「私は、この地域がもうすぐデジタルID顔認証地域の15分都市になることについて、たくさんの人が感じていることを話します。(中略)。自由とプライバシーを放棄してでも手に入れたい安全て何でしょう。12歳の私は今、自分の将来が本当に心配です。世界経済フォーラム会長のクラウス・シュワブさんにはこう言いたいです。私の貴重な子供時代、私の未来、そして私の子どもたちの未来を、あなたの常軌を逸したデジタル刑務所に私たちみんなを閉じ込めて奴隷にすることで奪おうなんて!私たち子どもはバカじゃない。みんなもうわかっています。これは、15分で移動できる狭い空間から始まる、ディストピアの第一歩なんだってことを。小さな種から、だんだん大きな木が育っていくみたいに。気候変動のため?違うでしょ。戦争も飢餓もホームレスも全部、原因は一つですよ。自分とお金儲けのことしか考えていない大人たちのせいです。気象変動を、私たちをコントロールするために利用している。私たちの行動、思考、発言のすべてをコントロールしたいと思っているのです」。マイクを持って話をしていたのは、12歳のジャスミン。2022年11月に州議会で成立した新しい法律「15分都市」に関するイベントで、住民の一人として発言したのです。・「区域外に出られるのは年間100日まで」。「15分都市」の法律はまず、オックスフォードシャーの街を6つの区域に分け、すべての主要道路に電子ゲートを設置して、住民たちの車移動を制限します。住民が自分の区域から出たい場合は、州の評議会に申請し、許可をもらわなければなりません。区域外に出る上限は、オックスフォード市民は、年間100日、オックスフォードシャー州民は25日まで。住民が許可を申請し、受理され、審査に通り許可書をもらって出入りした日時や距離などの詳細まで、全ては州にデジタルデータで記録されます。許可なく他の地区に出たり、市が決めた以外の時間に車を使うと罰金、自宅に請求書が送られてきます。・「コロナ禍のロックダウンは15分都市の予行演習だった?」。2020年。突如「15分都市」がGoogle検索の上位に跳ね上がった。最大ピークは11月、パンデミックによるロックダウンが世界中で行われ時期でした。ネットには消耗した人々の声が多数上がりました。「職場も学校もスパーも病院も、全部が1カ所に有ったらいいのに!」。世界経済フォーラムの都市改造部門を担当するリサ・チェンバレン氏は、ロックダウンのおかげで必然が生まれたのだと強調しています。・「2秒でホームレスにされる若者達」。中国はデジタルテクノロジーと顔認証、監視カメラの配備で、世界で最も完成された社会信用システムを導入しており、その「15分都市」の精度の高さは、世界経済フォーラムからも一目置かれています。たとえば、何百棟もの集合住宅に何万人も住む団地では、感染予防のために、入口で顔認証と、48時間以内のPCR検査結果が表示されるQRコードをかざさないと入れません。公共交通機関を使う際にも提示しなければならず、生活の中で移動するには、3日おきに約5000円の費用を払って検査結果を登録しておかなければなりません。検査登録の更新をミスしたために、自分のアパートに入れなくなった若者たちが、「2秒でホームレスになった。どこにも行けない。お手上げ」と嘆く姿は、まるで近未来の象徴です。あらゆる情報がデジタルで紐づいている中国では、政府がボタン1つで、緑だったコードを赤に変えることがでます。ショック・ドクトリンの特徴の1つは、緊急事態を理由に導入されたシステムが、平時になった後も撤去されずに残され、いつの間にか定着してしまうことです。
 
2.環境にやさしい生き方が強制される!・「大阪メトロの顔認証は法規制なし」。2019年12月から大阪で顔認証改札機の実証実験を始めたのが、前年民営化された地下鉄、大坂メトロです。事前にサーバーに顔写真を登録しておけば。改札機のカメラに写った顔が本社サーバーの画像と照合され、1秒で改札が開く仕組み。個人を特定する顔認証システムはデータが盗まれたときの被害が大きく、導入前に管理方法を設定しておかないと人権問題になってしまうため、諸外国では厳しく規制されています。万博ファーストの大阪では、2024年末までに大阪メトロの全駅に導入すべく急ピッチで進まれていますが、今の日本はマイナンバーをはじめ個人情報が洩れ放題ですから、大阪府民のみならず、私たちも慎重に考えたほうがいいでしょう。・「炭素トラッカーで信用スコアが付けられる」。温暖化防止のために、個人が出すCO2を管理する計画も話し合われています。2022年の世界経済フォーラムで、中国のアリババグループのメンバー社長J・マイケル・エバンス氏は、「個人用炭素トラッカー」の開発を発表。アリババだけではありません。車や自転車、徒歩などの移動手段を、GPS情報とスマホに内蔵された加速度センサーなどを用いて自動判別し、CO2排出量を「見える化」。マイクロソフトとFacebookの出身者は、CO2排出削減のためにAerialという脱酸素アプリを開発しています。このアプリはGoogleアカウントと連動し、移動で出したCO2を集計してくれる。さらにCO2の排出量が多かった月には、自分のクレジットカードで「温暖化防止プロジェクト」に投資できるという「個人版排出権取引」のようなシステム。・「排出権取引っておかしくないですか?」。「排出権取引」とは、国や企業ごとにCO2やメタンガスの排出量を決め、排出量の枠が余っている国や企業と、枠が足りない国や企業との間で温室効果ガスを出す権利を売買する制度。京都議定書の第17条にも規定されています。お金を出して排出権を買えば、CO2を大量に出しても許されるのですから、少しも環境にやさしくないです。私が昔働いていたウォール街では、排出権は巨大な利益を生む優良商品でした。国際会議で脱酸素の数値目標が作られている以上、どこの国も企業も莫大なお金を払って排出権を買うからです。2023年2月にアメリカ海洋大気庁が公表したNASAの最新データでは、地球は過去8年ずっと冷え続けていることを示しています。現在シロクマの数は20年前の20倍になり、NASAの衛星観測によれば南極の氷は増え続け毎年最高記録を更新、加速度的な海面上昇も起こらず、ポリネシアの島々は、水没どころか面積を広げています。異常気象はたしかに悪化しているのですが、その主要な原因が二酸化炭素だという説は、科学的な証明がされていません。カーボンニュートラルを、2050年までにアメリカ、日本、EU、2060年までに中国で実現しようとすると、投資額は4地域だけでも8500兆円。排出権取引のファンドを所有しており、当初から莫大な利益を得ているために利益相反を指摘されているアル・ゴア氏をはじめ、世界中の投資家が目を輝かせています。・「行動アプリがマイナンバーと紐づいたら?」。脱酸素キャンペーンに力を入れている今の政府が、今後もしマイナポイントのようなキャンペーンを始めたら?銀行口座と紐づいているので、スピーディーに換金されるかもしれません。企業が排出権を売買するように、個人もスコアを売買するようになったとき、私たちは日常行動をするために権利を買わなくてはならなくなるでしょう。もし、政府が価格を値上げしたら、どうなるでしょう?「地球環境を守る」のような美しいスローガンと結びついたときほど、制度設計はシビアに見なければなりません。・「太陽光パネルが暴力になる」。2022年9月。「屋根で発電するのが当たり前、という機運を醸成したいと思っております」。会見でそう発言した小池都知事は、2025年から、新築戸建て住宅には太陽光パネルの設置を住宅メーカーに義務付ける方針を発表しました。パネルを作るのに多大なエネルギーを使うため、この時点でCO2をたくさん出しています。太陽光パネル市場の約8割を、環境規制が世界でもダントツに緩い中国の製品が占めています。パネルが薄いのも心配です。強風が吹けば簡単に吹き飛ばされ、豪雨で剥がれ落ち、大雪が降れば壊れてしまう。一番怖いのは、外れても発電し続けるので、自然発火や感電するリスクがあります。災害時に救出に来たプロの消防士でも、危なくて下手に触れません。さらに寿命が来たら地面に埋めて廃棄するのですが、今の時点でもすごい量のパネルがどんどん設置されているので、処分場自体が足りません。国際再生可能エネルギー機関によると、使わなくなった太陽光パネルのうち、リサイクルされているのは10枚のうち1枚だけ。部品に使われている有害物質の処理方法は、世界にまだ存在しません。2040年頃には最大80万トンのパネルがゴミになる試算です。このままでは有害部室なのに不法投棄が少なからず出るでしょう。日本の森林法では、悪質な事業者がやりたい放題していると地元民が行政に訴えても、許可を取り消す規定が存在しない(第10条の2)ので無法地帯になってしまっています。太陽光パネルは、国の固定価格制度(FIT)で地主と業者は儲かりますが、土砂崩れや感電のリスク、強風でパネルが飛んでくるリスクなど、近隣住民には迷惑が多く、電気代が上がるので、都民はたまったものじゃありません。日本はなぜこんな風に、一部の人達が設けて国民が苦しむ仕組みを作ってしまったのでしょう?2011年3.11でもまた、日本版ショック・ドクトリンが仕掛けられていたのです。
 
3.災害と省エネはこう結びつく。・「ショック下で登場する新ビジネス」。国がショック状態にあるときは最大のビジネスチャンスですから、民間企業がたくさん集まってきます。あの時、地震と原発事故の二重災害で、私たち日本人は大パニックになりました。そこで「日本を再エネで復興したい」と手を上げてきたのが、ソフトバンクの孫正義社長でした。民主党の菅直人総理は、孫氏の提案する再エネ方針を取り入れた再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度をスピード導入。当時電力に1キロワット時に6円支払われていた補助金の7倍もの42円という大盤振る舞いを決定。発電した太陽電気を電力会社が買い取った分は、私たちの毎月の電気代に上乗せされることになったのです。孫氏は、菅首相と会食を繰り返しつつ、太陽光パネルを最速で普及させるべく、ソフトバンクが主催する「自然エネルギー協議会」を立ち上げて自らが事務局長に就任すると、各地の首長を勧誘したのです。みな疑いもせずに入会、自分の地元で太陽光パネルやメガソーラーの設置事業をソフトバンクに発注し、土地を提供しました。・「もっともらしい数字やデータは、緊急時ほど疑うべし」。民主党や首相たちに向かってFIT(Feed-in Tariffとは再生可能エネルギーを固定価格で買い取る制度)のプレゼントをする際、孫氏が比較材料として見せていたのはヨーロッパの国々の事例でした。「ヨーロッパでは、メガソーラーの1キロワット時の買取価格が平均で58円です。だから日本は41円くらいにしないといけません」。ところがここで使われていたデータはなぜか前年のモノでなく、2年前(2009年)のデータでした。ヨーロッパでは前年の2010年に、再エネ買取価格が暴落していたのです。どこも軒並み下落して、平均買取価格は孫氏が言った58円の半分以下の20円にも満たず、スペインに至っては、わずか2年で固定価格買取制度自体が破綻していたのです。さらに孫氏が見せていたのは、地面に設置するメガソーラーよりずっと高い、屋根につけるタイプの太陽光パネルの買取価格。これらを一緒くたにして同じ価格ですと説明していたのです。緊急事態下での、もっともらしい数字やデータは要注意。私たち日本人が大変弱い、「外国ではみなさんこうされていますよ」にも注意が必要です。この再エネ賦課金は、2012年からの10年で10倍以上に跳ね上がってしまいました。この10年で政府が投入した22兆円は全て国民が支払わされ、国民一人当たり10万円の負担です。この後、買取価格は下がったものの、最初に設定された価格は20年間そのまま固定。初期に参入した業者が受け取る高額の補助金はずっと変わりません。設置コストは年々安くなっているので差額がそのまま儲けになるのです。・「大規模災害が外資のチャンスになるステップ」。2004年のスマトラ地震。大規模な津波を起こし、スリランカの海岸線一帯を壊滅させて死者25万人と被災者1200万人を出しました。悲劇的災害でしたが、外資の不動産業界や金融業界にとっては、大きなチャンスでした。それまでずっと、地元民の反対で開発ができずにいたからです。ショック・ドクトリンはスピードが勝負。世界銀行と外資系企業群が前もって用意していた「スリランカ再開発計画」が即座に登場しました。地元民と地域経済を破壊して儲ける新自由主義政策(規制緩和、民営化、社会保障切り捨て)の内容は、地震前は地元民に徹底抗戦されて、手も足も出なかったのです。しかし、壊滅的危機状態では、どんなに強い政府も民も、崩すのは難しくありません。復興のために、外国金融機関から何千億円もの融資を受ける代わりに、スリランカ政府は数々の新自由主義政策を飲まされることになりました。国民のためにずっと守ってきた国営の電気や水道は、震災からたった4日で民営化され、ガソリン代は引き上げられ、大型漁港や高速道路の建設も開始され、あれよあれよという間にスリランカの国有財産は叩き売られていきました。被災地は「水没危険区域」に指定され、被災者たちは津波で流された家や仕事場の立て直しができなくなってしまいました。このルールから免責されるよう根回ししておいた外資系企業群は、狙っていた海岸に参入し、急ピッチで高級リゾートホテル建設を始めました。このとき、災害復旧計画委員会のメンバーは国内の財界大手と金融大手の代表で絞められ、その半数が国内最大リゾートホテル関連の株をしっかり持っていました。このように、それまで不可能だったことが、一気に規制緩和されてビジネスがしやすい環境に作り変えられるのが、ショック・ドクトリンなのです。・「水と海と空港を売った宮城の3.11ショック・ドクトリン実行委員会」。被災した宮城県の復興支援委員会のメンバーを見ると、政権与党で規制改革の旗を振る大学教授や外資系シンクタンク、大企業トップがずらり。どう見ても復興ではなく「ショック・ドクトリン実行委員会」です。もともと村井宮城県知事が竹中平蔵氏と親しい新自由主義信奉者だったこともあり、2021年には、日本で初めて、上下水道、工業用水の9事業をまとめた運営権を売却。受託した企業の51%の株式を持ったのは、外資系水道メジャーのヴェオリア・ウォーターでした。漁業権も開放して外国企業がどんどん参入。水や海という、国民の命や環境、国の安全保障に関わる最重要分野を手に入れることは、その国の生存権を握ることと同じことです。ショック・ドクトリンのもう1つの顔が、ビジネスを通した新たなる植民地政策であることに気が付き、私たち国民の手で、阻止しなければなりません。・「再エネという美談で外資の植民地になる日本」。最初に、電気の4倍もの高い買取価格を設定したことにより、猫も杓子も参入し、全国に大量に乱立するようになってしまいました。なかでも、全国で深刻な問題を引き起こしているのが、ソフトバンクの孫社長が震災直後に提案した「メガソーラー」と呼ばれる発電量1000キロワット以上の巨大パネル事業。パネルを取り付けるために森の木を切ったり斜面を無理に削るので、雨が降ったときに土壌が保水しきれなくなり、土砂崩れが起きてしまうのです。全国データを見ると、太陽光発電の工事現場では、10回中1回は土砂崩れが起きています。環境を守るはずが、森の木を切り、土壌の持つ力を弱らせ、挙句の果てに土砂崩れで地域住民が被害にあう。安全保障面で警戒しなければならないのが日本。上海電力が所有する岩国発電所のように、軍事基地の近くに設置されている太陽光パネルもあるからです。2020年10月時点で、中国系資本が絡む再エネ業者が買い上げた日本の土地が、1700カ所を超えたことが官邸に報告されています。新築物件に太陽光パネル設置を義務付けた東京都でも、中国製パネル輸入による民族虐殺加担を警告するウィグル人団体、雨の多い日本でのパネルによる感電リスク、売電価格上乗せによる電気代上昇などから反対の声がかなり上がりました。でも小池都知事は「企業が気を付ければいい」とのらりくらり
 
4.電気自動車も十分CO2を排出する。・「おかしいなと思ったときは、お金の流れをチェック」。小泉内閣で環境大臣を務めていた小池都知事は、太陽光パネル関連事業でウソの書類を提出し、11億円をだまし取って逮捕されたテクノシステムから200万円の献金を受け取っていることが指摘されています。太陽光発電の義務化を推進した、小泉進次郎元環境大臣は、父の小泉元首相と兄の幸太郎氏が、テクノシステムの広告塔でした。太陽光発電に多額の予算確保を提唱した元経産官僚で竹中平蔵経済財政政策担当大臣の秘書だった岸博幸内閣官房参与は、竹中氏とともに、太陽光発電の国内普及の急先鋒である、新生ホームサービスの特別顧問を務めていました。千葉県の洋上風力発電事業において、衆議院予算委員会で質問し、入札後にルール変更させた自民党の秋本真利衆議院議員は、変更後に有利になった洋上風力会社の株式を大量に保有。再エネ議連メンバーでありながら、洋上風力発電業界から1800万円の献金を受け取っていました。太陽光発電の買取価格を決定する際に意見が求められる調達価格等算定委員会の委員長は、ソフトバンクの自然エネルギー財団に所属しています。・「インボイス制度の裏で、電気代がまた上がる!」。政府が不穏な動きをしているときは、同時期に出てくる法律もしっかりチェックしましょう。1つの法律の中に、別の法律のかけら(国民に不都合なもの)がねじ込まれていることがよくあります。インボイス制度は、コロナ不況の今、全国200カ所の地方議会から中止を求める意見書が出されていた矢先、隠されていたもう1つの爆弾が出てきました。2月末の衆議院財務金融委員会で発覚した、再エネ事業とインボイス制度と電気代の関係です。自宅の屋根に太陽光パネルを取り付けて、FITを使っている一般家庭の多くは、インボイス発行事業者に当てはまらす、買い取る電力会社の負担になってしまいます。資源エネルギー庁は国会を通さずに、いつの間にか省令でこの分を私たちの毎月の電気代に上乗せすることを決めました。特に、小池都知事が新築の家に太陽光パネル設置を義務づけた東京都で、インボイス登録をしない新築の家が増えるほど、電気代が上がっていきます。岸田総理は総裁選のとき、「増税は考えていません」と豪語しました。でもフタを開けてみれば、そんな約束はなかったように、あらゆる角度から増税を繰り広げています。まさにやりたい放題。・「EV車はCO2を増やすんですが?」。EV車はあまりエコとは言えません。運転中に出すCO2は少ないですが、搭載するバッテリーを作るプロセスでかなりCO2を出します。走行距離が11万キロを過ぎるまではガソリン車と大して変わらず、途中でバッテリーを交換したら、バッテリー生産過程で出した大量のCO2が加算されます。総合的に考えると環境にいいのはハイブリット車です。・「回転ドアを何度もくぐったテスラの政商」。菅義偉総理が急に脱酸素を言い出したのは、2020年の秋。「新車は100%EV車に」発言に至るアドバイスをしたのは、経産省参与の水野弘道氏でした。彼はテスラの社外取締役を兼任したまま参与をしていたのです。水野氏は、テスラの株も持っていましたから、分かりやすい利益相反です。菅総理が、「新車は100%EV車に」と表明したその日に参与を辞職。テスラに帰りました。・「今だけ金だけ自分だけを決して許さない」ショック・ドクトリンの戦略の1つは、都合の悪いことは極力隠ぺいが基本。メディアに取り上げさせないだけでなく、人々の意識の中にも入れさせないようにしないといけません。そのため、肝心なときには、芸能人のニュースを横並びで一斉に流させるなど、あの手この手を使って関心をそらし、国民の「忘却力」を活性化させてくるのです。2023年4月TikTokは、気象変動の存在やその原因を否定するユザーや動画を削除する方針を発表。太陽光パネルの材料が作られている疑惑のある、ウィグル自治区について、ChatGPTで質問しても、中国との関係かあまり出てこないようになっていることが指摘されています。
 
5.市民が地方で、命を守る。・「国も法律も守ってくれない中、各地で市民が立ち上がる」。2021年7月18日。静岡県熱海市で土砂崩れが起きたことをきっかけに、全国17都道府県から40の市民団体が集まって発足した「全国再エネ問題連絡会」。今では会員も33000人を突破。会議の最後を締めたのは、決意のアピールです。「今日、地球温暖化対策の大義名分のもとに、大規模自然破壊兵器と化したメガソーラーや風力発電が、地域住民の健康やこれまで通りの安心安全な生活を脅かしている。(中略)。すでに取り返しのつかない乱開発は全国各地で起こっている。国民が一致団結し、これらの問題を1日も早く解決しなければならない」。・「自分の地元を『太陽光発電規制条例』で守る」。国の反応が鈍いうえに、行政は再エネビジネスする側の業者に忖度し、法律は穴だらけ。いったい、自分たちは地元をどうやって守ればいいのでしょうか?環境ビジネスのやりたい放題を蹴散らす、強い武器があります。その法律は「地方分権一括法」。自分たちの住む地域のルールを条例として作り、違反者に罰則を科せるのです。2023年4月時点で、兵庫県、和歌山県、岡山県、山梨県、宮城県、奈良県の7県と、228の市町村が「太陽光発電規制条例」を導入しています。最も厳しい条例を作った、山梨県の長崎幸太郎知事は、「森を切り開いて太陽光発電を作らせることは、山梨では今後もうないだろう。私は訴えられるリスクなど恐れない。むしろ最高裁判例を作る覚悟で挑むつもりだ」と力強く発言。・「農家に仕掛けられた温暖化ショック・ドクトリン」。オランダでは、2022年に、政府が脱酸素を理由に家畜の数を3分の2に減らし、さらに農地を強制的に買い取る計画を発表。政府が出したものは、2030年までに、家畜の出すアンモニアと窒素化合物の排出量を50%に削減すること。さらに保護区では95%まで作業を縮小しなければ農地を政府に売却させ、廃業せよと要求。2030年までに、窒素排出を半減させるために、250億円ユーロの税金を投入し、1万1200の農場を没収する計画も立てられていました。ショック・ドクトリンを見破る方法の1つは、同時進行で進んでいるプロジェクトを見ることです。調べてみると、オランダ政府が自国民を土地から追い出すその裏で、同時に進めていたプロジェクトは、すべてをデジタル化した「スマートシティ」の開発計画。3000万人から4000万人の住人が、水耕栽培や昆虫食などのCO2を出さない健康な食事をし、あらゆるデータがネットでつながれる全く新しい都市計画です。これだけのメガポリスを立てるには大量の土地が必要ですから、一旦政府が農地を買い上げ、それから建築するのが合理的です。オランダの国土の半分は農地が占めているからです。・「どの国も沈黙する温暖化の真犯人とは?」。COP25の国際会議でも議論のテーブルからさりげなく外されている項目があります。2023年4月。スウェーデンのストックホルム国際平和研究所は、2022年の世界の軍事費が過去最高の2400億ドルに達していることを報告しました。なかでも過去70年あまりで最高の伸び率を出したのはウクライナの640%世界で最も温室効果ガスを出しているのは各国の軍隊。炭素を世界一排出しながらも、軍需産業はどの国にとっても機密扱いの分野ですから、今後も透明性はあまり期待できません。多国籍企業がよく批判される、環境保護を謡いながら実際には環境破壊に加担している「グリーンウォッシュ(環境に優しい商品ですとアピールし販売しているが、実は製造過程で大量の二酸化炭素を排出している)」のまさにメガトン級と言えます。各国に脱炭素で人口肉や昆虫食トラッカーの導入を要請する「ダボス会議」の参加者が、毎回プライベートジェットで二酸化炭素をまき散らしながら到着する矛盾も指摘されています。私たちの善意のうえに実施されているはずの脱炭素キャンペーンそのものが、政治的なパワーバランスに転がされています。民主主義や環境保護、人権、平等など、美辞麗句のキャンペーンほど、悪用されないように見極めなければなりません。・「もう誰も、私たちを無視することはできません。農民たちの勝利」キーワードは、民主化と地方自治です。2023年3月15日。オランダ全12州で行われた中間選挙は、政府の理不尽な脱炭素目標と家畜削減要求に対する、農民の怒りと抗議行動が日に日に拡大し世論を動かしたのです。「反対しても動かないなら、次は連中の城まで行くまでだ。だから自分たちで新しい党を立ち上げて、仲間を出馬させたんだよ」。この選挙の投票率は過去30年で最高の62.1%を記録。農民たちが作った新生党BBBは、オランダ上院75議席のうち16隻を確保。ルッテ首相の保守党は過半数を割り込み、農民たちのBBBは初選挙にもかかわらず、州レベルで一気にトップに躍り出たのです。日本でも、オランダとまったく同じことが起きています。政府が自国の牛乳を捨てさせながら、外国から乳製品を輸入し、乳牛を殺処分すると補助金を出し、主食のお米を生産調整で減らさせる。オランダと似たような状況ですが、違うところは、気づいて行動する人たちの声が、今はまだ小さいこと。彼らにできるのですから、私たちにだって必ずできます。
終わりに。未来を選ぶ自由を決して手放さないと決めた、世界中の仲間たちへ、愛をたくさん込めて。2023年5月19日 堤未果
 
堤未果氏の本を読むといつも「本当にすごい人だ」と感嘆します。実際のデータに基づいて事実を1つずつ論理的に組み合わせていき、結論を導き出しています。読み物としても上質の推理小説のような緻密さを感じます。事実ですから「陰謀」や「フェイク」と否定しにくいです。もっとも、「陰謀」や「フェイク」の批判で、論理的根拠を示しているのを見たことがないです。ほとんどが決めつけです。最近TVerで頻繁に流れているCMが、「地球温暖化は、HTT脱炭素で食い止めよう」です。「HTT」とは電力をⒽ減らすⓉ創るⓉ蓄める。「節電、太陽光パネル、蓄電池」。小さな文字で「2025年4月から太陽光発電設置義務化に関する新たな制度が始まります」と表示されています。広告主は「東京都」です。太陽光パネル設置義務化への反対の声が大きいことによる対策のように見えます。このCMはどこの広告会社に発注して、いくら税金を投入しているのか検索しても出てきません。「東京都地球温暖化防止活動推進センター」という組織があるのは分かりました。ここにはどれだけの人員がいて、いくらの予算を持っているのでしょうか。東京で太陽光パネル設置することにより、どれだけ温暖化が防げるか、どれだけ節電につながるかは疑問です。データも提示されていません。イメージだけです。そもそも、二酸化炭素が地球温暖の主原因だということに関しては、イーロンマスクもトランプ元大統領も疑問を呈しています。地球温暖化が嘘だと言われる理由に、「気温の上昇とCO2の因果関係が分からない」「大寒波や大雪など寒冷化を感じさせる現象が起きている」があげられます。 地球温暖化と叫ばれているにも関わらず、大寒波や大雪が増えていることを疑問に感じるのも無理はありません。(2022/12/20)。ネットでも「地球温暖化のウソに騙されるな。」など多くの記事がヒットします。https://cigs.canon/article/20220404_6683.html空気の成分と体積割合は、窒素N2が78.084%、酸素O2が20.9476%、アルゴンArが0.934%、二酸化炭素CO2が0.0314%です。0.03%程度しか空気中に存在しない、二酸化炭素が温暖化の原因ならば、密封した状態の実験で、何%なら何度温度が上昇するというデータがあってもいいはずですが、見たことがありません。地球の気温には、多くの要因が関わり合いますが、一番の要因は「太陽の活動」です。日食になると温度が3度下がります。地球は過去100万年の地球の気候変動を調べると、氷河期(気温の低い期間)と間氷期(気温の高い期間)が繰り返し起こっており、1サイクル(氷河期と間氷期を合わせた期間)は約10万年です。ただ氷河期と間氷期の長さは同じではなく、氷河期が8~9万年程度と長いのに対して、間氷期は1万年程度と短いのが特徴です。現在は間氷期に当たりますが、すでに1万年が経過しており、過去の例ではこれからは氷河期に移行することになります。約10万年サイクルで気温が変化する原因としては、太陽と地球の距離の変化や地球の自転軸の傾かたむきの変化により地球が太陽から受け取るエネルギーが変化することが考えられています。温室効果ガス=二酸化炭素は、間違った刷り込みです。何らかの意図を感じます。温室効果ガス(greenhouse gas)とは、大気圏にあって、地表から放射された赤外線の一部を吸収することにより、温室効果をもたらす気体のことである。水蒸気、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンなどが温室効果ガスに該当します。二酸化炭素が温暖化の原因だとすることで、次は、人の呼吸の中の「二酸化炭素」も、温暖化の原因だとされかねません。将来は「呼吸税」までできるかもしれません。人は常に空気を吸い込み、吐き出すことを繰り返して呼吸をしています。吐き出すときの呼吸に含まれる成分のうち80%近くは窒素で、残りの2割が酸素(16%)、二酸化炭素(4%)であり、この他に、体内で発生した微量のガスが1%ほど含まれています。呼吸で排出される二酸化炭素は約1kg/日。1人の人間が1日の呼吸で排出する二酸化炭素は約1kgです。年間で換算すると約370㎏を呼吸だけで排出していることになります。林野庁によると、スギの木1本が1年間に吸収するCO2の量は約14kgなので、これを基に換算すると1人当たり約26.4本のスギの木が必要となります (2023/10/13) 。にもかかわらず、政府は、太陽光パネル設置のために森林を伐採しています。

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