事業創出の原理原則3 顧客提供価値

・顧客提供価値 :企業は、顧客に対して、何らかの利便性、勝ちを提供しているから事業として成り立っています。 顧客提供価値とは、英語の「Value Proposition(バリュープロポジション)」の訳です。 「顧客に対してどのような価値をどのように提供するのか」を意味している言葉です。 顧客は商品やサービスを購入したり利用したりする際、支払う金銭と引き換えにどのような価値を提供してもらえるかを考えます。 企業が社会に対して、どのように役に立つかを表したものです。
今、私が今一番興がのある経営者は、リクルートCEOの出木場社長です。 経済誌の記事で感心を持ちました。 最近「カンブリア宮殿」を見てさらに興味が増しました。 リクルートの売り上げは2021年度、2兆8千億円、海外売り上げ55%の超巨大、グローバル企業に、知らないうちになっていました。 番組の中で、出木場社長は「しっかり価値を作ろう!」 と言っていました。 うどんの例で、どんな天ぷらにするかトッピングをするかを考える前に、どのようなの麺と出汁にするかを考えようと言っていました。 私の勝手な解釈ですが、コアになる大切な提供価値を作る前に、何をしたら、どうすれば利益が上がるかを考えるのは、間違っているとの発言ととらえました。
ちょっと横道に入りますが、複写機メーカーの直販営業をしている時の25年以上前に、リクルート名古屋支社を担当していました。 15年営業をして、何百という企業とお取引してきましたが、一番良い印象が残っている会社はリクルートです。 総務の方との打ち合わせが主ですが、取引業者としての対応ではなく、パートナーとしてフラットに接していただきました。 今でも当時のご担当の方の名前は憶えています。 横田(M)さんと北川(W)さんでした。 横田さんは、ゼクシィーの立ち上げに、北川さんは営業に移動されました。 他にも、家具の輸入会社を起業するために退職した女性もいました。 みなさん明るくて積極的でした。 今はどうされているかは分かりませんが、どこかでご活躍されていると思います。 番組を見ると、江副元社長のDNAの起業家精神、新しいことに取り組む気質などは、今でも健在だと嬉しくなりました。 リクルートの一番の強みは多くの従業員が持っている起業家精神だと感じています。

・顧客提供価値の構造 : 顧客提供価値は、①基本的価値。 ②機能的(付加)価値。 ③情緒的(付加)価値。 の3つの構造に分かれています。 ①基本的価値は、持っていて当然の、機能やサービスを指します。 自転車なら、タイヤやサドルやチェーンなどが備わっており、こげは走ることができます。 基本的価値は、それがなければ、当然商品やサービスとして成り立たないものです。 ②機能的(付加)価値は、その商品やサービスの機能面や品質面において、顧客にアピールできる提供価値のことです。 分かりやすく言うと、「その商品が優れている所はどこなのか」ということです。 ③情緒的(付加)価値とは、その商品やサービスを使用したときに、顧客が感じる精神的な価値(満足感)のことです。 その商品やサービスを利用することで、顧客が「どのような良い気持ちになるか」ということです。 CMの多くは、②機能的(付加)価値か情緒的(付加)価値を訴求しています。 例えは②機能的(付加)価値は、電動アシスト付き自転車で楽に漕げる、軽自動車でも多くの荷物をつめる、トクホのお茶で脂肪の吸収を防ぐなどです。 ③情緒的(付加)価値は、ブランドのデザインがカッコイイ自転車、ラグジュアリーな雰囲気の高級車、スカッとさわやかな清涼飲料などがあります。 機能的(付加)価値はそれを持つことで得られる利便性にフォーカスし、情緒的(付加)価値は、それを持つことで満足する人にフォーカスしています。 個人的に、一番スタイリッシュなCMだと感じているのは、アップルのCMです。 一見、機能を説明しているように見えますが具体的な説明はありません。 それよりも「アップルを使うクールなあなた」という人にフォーカスしたメッセージに見えます。
マーケティングでは、「ペルソナ(自社の商品やサービスの対象となる理想の顧客像)に対して「機能的(付加)価値」と「「情緒的(付加)価値」をどのような訴求価値にするかは、大切なポイントです。自社の商品やサービスの訴求点を考えると、「自社の商品の機能やサービス」など、どうしても「機能的価値」 の観点からのメッセージが多くなります。 しかし、それだけでは、なかなかお客様の心に刺さる訴求メッセージにはなりません。 近年のマーケティングでは、「情緒的(付加)価値」が重要視されています。

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