『新幹線お掃除の天使たち』感想

図書館での「1棚1冊」読書実践

『1%読書術』感想 で書いていた、図書館で「1棚1冊」つまむスタイルを実践してみることにしました。
タイマーで測りながら「30分で知りたいことを抽出する」作業は好感触で、縛りがあることで良い意味で焦って読むことができているようでした。1冊すべてを30分で読破は能力的にできないので、何を持ち帰ろう?と考えて動かなければならないのが作業として楽しくもあります。
さて、そんな実践で手に取ったのは『新幹線お掃除の天使たち』。「ホスピタリティ」としてホテルとかサービス業についての書籍を以前読んだことはありましたが、身近にありながら知らない業種だったので目に入ったこちらを読んでみました。

普段利用している新幹線。新幹線がホームに到着してから少し清掃の時間が入って客は待たされることになるが、その清掃員さんの仕事にフォーカスした内容。
新幹線のダイヤの優秀さもそうだが、清掃についても当たり前のように享受しているが裏側の努力を知ることができた。というか、そもそも清掃会社の「テッセイ」(本書で紹介されてた時代では「鉄道整備株式会社」→「JR東日本テクノハートTESSEI」に社名変更された)の名前を知れただけでも収穫だったかもしれない。

清掃という職種

私の会社では社外の方が清掃をしていただいていて、マジで助かるので会釈したり挨拶したりしている。どうも過去では清掃の仕事を下に見る風潮があったみたい(標語とか注意が存在するってことは、過去に問題があったと考えたほうがいいとして)だ。
本当に助かるのでその考えは信じられないが過去にはあったらしい。

本書では清掃員目線のストーリーがいくつか紹介されており印象的だったのは、当人以外の家族などの視点や、当人の清掃という職種についての考え方だ。どうしてもへりくだって考えている背景があって、その後本書にもある働き方の改革やマインドの見直しで解決する…という流れではあるが、あらためて前提があることを認識できた。

この前『論語と算盤』を読んでいて、改めて「士農工商」という身分格差が当時あったことを思い出した。武士がいないこともあり「士農工商」ってピンとこないし、本当に渋沢栄一の頑張りが大きいことの証明なのだろうが、現在の固定観念からシフトして考える…というのが難しい。「そうだったんだね~」で終わってしまうので、学習というものの難しさを感じる。
そして「単語だけ憶えて終わり」ができてしまうのも厄介なのだと思う。

こうしたものについては、読書などをとおして時代をこえた観点を増やしていくに尽きると感じた。「体験」が最大の学習方法だが、体験が不可能であることなんていくらでもあると改めて思ったのだった。

さいごに

清掃員が「トータルサービス」として仕事にプライドを持って取り組めるよう働き方を変化させているほか、東日本大震災当時のアクションなども触れていて職場の対応力が形成されていることも感心できる内容だった。なお職場の改革については、↓の企画部長の著書も参考にできそうだ。


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