『1%読書術』感想

書店でふと見かけて、さっと読めてなかなかよかったので感想を。
第2章までは一般的な読書についての話で、『魔法の読書法』あたりと大差ないものでした。ただ持論がこちらのほうが多くて読みやすいと思います。
速読はそんなに惹かれなかったので置いといて、集中するにあたって「1文字1秒かけて目を文字と合わせる」のはよさそうでした。

「不知」を認識するための読書

本題として、最も印象に残ったのは以下の内容。
対象のカテゴリ・知識について、「知らない」ことすら知らない状態を「不知」として、日常生活や仕事で触れられない世界を認識すべきという話。
既存の知識を強化したり、隣接するカテゴリを学んで世界を広げていくことは今までの読書スタイルでもできていたが、突拍子もない新しいジャンルを取り入れるための活動もあると人生が豊かになるという考えは確かにと感じる。

本書をとおして実践したくなったのは、この「不知」を認識するための読書として図書館を利用するというものだ。
そしてこれは「身銭を切って読書をすべき」とする他の読書論とは相反しないものだ。というのは、対象を読書するにあたって「不知」の領域を減らすという目的を明確にできていれば、「とりあえず読んでみる」読書として、ハードルを下げて取り組めるというものだ。
これはよいメソッドだなと素直に感じた。本腰入れて(身銭を切って)読む本の合間に挟む「何か」は模索中だったので実践しやすそうだ。幸い図書館が利用しやすい環境なのもありがたいし、今後図書館で閲覧室に籠る前に「1棚1冊」つまむスタイルをとってみようと思う。

なおこの読書法については、本書のタイトルである「1%(=1日の1%である15分)読書法」ではなく、30分ぐらいで目を通すとよいとしている。…なんだか騙しみたいだが、「1%読書法」は上述の「不知」に対するものとは別の読書論で、小さくはじめて習慣化することを意味している。
30分程度という目安は、おそらく著者の実体験も含んでいそうで少し多めの時間設定というのも納得感がある。それ以上読みたくなったら購入して本腰入れて読んでみる、といった次のアプローチ…例えば「1%読書法」などに移行するのは想像に難くない。

オーディオブックどうでしょう

本書では視覚的にインプットする読書とは別で、聴覚で取り入れるインプットとして「速聴」のすすめをしている。
『すごい脳の使い方』でも多少のアプローチはあったが、本書ではもう少し踏み込んでオーディオブックの使用法なども含めて、その効能を紹介するものだ。

さっそくオーディブルを試しているが………言葉の流れに浸かるという程度の情報の触れ方で、語彙や言い回しを無意識に取り込めるかも…というのはわかるが内容自体はさっぱり入らない状態だった。
『3色ボールペンの使い方』的に言えば「覚悟の無い」読書とでも言うべきものだ。

かつてあった「スピードラーニング」のようなものだなと考えると、実際に英語を話せるレベルで学習はできないと判断するのが無難だと思う。反面普段の会話がゆっくりに聞こえてくるぜ~というのはまぁそうだろうとも思うが、果たしてオーディオブック等課金をしてまでやることだろうか?と疑問は残る。そこらへんのyoutube動画を3倍速でも言葉を流すという意味では大差ないかもしれない。

ただし「覚悟の無い」読書にもメリットはあって、生活の中において特定カテゴリへのリーチを増やせる点は良いと思う。本書の趣旨とは少し変わりそうだが、既知の情報を目ではなく耳で仕入れて知識を再構築していくのは方法としてよさそうだ。最近は風呂場でポッドキャストのニュースを聞く習慣としていて、その取り組みは間違ってはいなさそうで安心した。

現時点の結論としては「オーディオブック等の課金はしないだろう」「ニュースや既知のジャンルなど、特定情報にリーチするツールとしては期待できる」と考えている。

失礼ながら、読書論の書籍は基本眉唾だと思っている。が、何か本質的な情報を取り逃し続けて読書していたらイヤだなとも思うし、今回のアプローチも実践してみようとなったので、読書として成功だと感じている。その実践が真に定着するかは別の話として、ではあるけれど。


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