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余命10分 / 2022年10月7日 — 夜の灯台。

久しぶりに大雨の中、でかけた。友人と一緒に写真をやってる友人 S の個展を見に行った。写真のテーマ、と言えるものかはわからないけれど、ハッシュタグをつけるのであれば、

#地元 #実家 #祖父の死

葬式の日の写真は DM にもなっていた。写真作品を見たというよりも、写真を通じて彼の態度、を見たという気がする。「ここにいる」という「しるし」というか。夜の航海における灯台のように、この長い旅には光が必要だ。灯台のあかりのような展示だった。どしゃぶりの雨の夜に浮かぶ小さなギャラリーは、港で点滅しているかのようだった。

そういえば、

余命宣告をされた生前の母の姿を写真で残そうと、カメラを持っていった。フィルムカメラと、デジタルと。写真を撮ろうと思ったのに1枚も撮らなかった。撮れなかった。撮られたくないだろうなと思った。だからこうして日記を書いて、言葉で残すことを選んだ。

それを S に伝えると、「写真なんかシャッターを切るだけじゃん」と言われた。言葉にする方がよっぽど難しいよと。

会場に飾られていた殴り書きのメモは、まっすぐで無駄のない S のきれいな写真の印象とはまったく違って、傷口のようだった。

サポートは母への贈り物の費用にあてさせていただきます