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夏のライティング講座2022 資料02

*2022年8月に開始した「夏のライティング講座2022」に関する資料です。

最終課題:以下の文字起こしをもとにして、戸田さんが書いているような記事を書いてください。提出方法などはメールに書いてある通りになります。ぜひ挑戦してみてください!


取材者:お時間いただきありがとうございます。事前にお伝えしましたが、今回キャリアコンサルタント向けにメディアを立ち上げることになり、戸田さんにも協力していただきたく、今回お時間を頂戴しました。

戸田:私の取り組みについて書いてくださるんでしたよね?

取材者:そうです。戸田さんはナラティブ・アプローチに力を入れていると聞いていまして、そのあたりのことを詳しくお聞きできたらなーと・・・。
記事のイメージですが、紙媒体でいうところの創刊号に近い形でのオープンになります。

最初なんで、一人の方の活動を深掘りして記事掲載するというよりもですね、創刊号なのでこんな活動を取り上げていきます!という風に、戸田さんをはじめとして20名くらいの方の活動を掲載してみて、今後は、これらの深掘り記事を連載していきます!という感じにしたいんですよ。ただ、本当に連載するかは、読者の反応次第です。お約束できません、すみません!

戸田:わかりました。連載はシテ欲しいなー。読者層はキャリアコンサルタントですよねー。どんな記事になれば読者が喜ぶんでしょうか?どんな感じで話せばいいんですかね。

取材者:そうなんですよね、そこ大事です。企画会議ではですね、戸田さん、ライターやっているじゃないですか、で、なんかライターとナラティブ・アプローチって言葉や物語やストリーとかメインを大切に扱うところが同じであって、そこを極めるためにスキルを磨くというか、経験を積んでいくみたいな、そんなとこありますよね。

戸田:そうですね、キャリコンの養成講座受けているときに思うことはいくつかありましたね。うーん、むしろキャリコンの国家資格取得してから、活動していく中で、うん、いろいろと考えることはありましたね。

取材者:そうですか、やはり。その考えるところ、というのが、恐らくプロライターの経験を持つキャリアコンサルタントと、全く別の経験を持つキャリアコンサルタントとでは、違う何かがあって、それを読むことで、何か新しい気づきというか、ナラティブ・アプローチに対しての新しい理解や興味が生まれるじゃないかなーって。

戸田:なんか、自分でもよくまとまってないですけど、なんかお役に立てそうな気はします。上手いこと言語化してくださいね。

取材者:はい。早速なんですが、今、養成講座を受けているときから、何か思うことがあったとおっしゃっていました。具体的に何があったんでしょうか?

戸田:傾聴ですね。ライターの仕事で、数多くの方から話を聞いてきたので、余裕だと思ったんですけど、意外に苦戦しましたね。

取材者:たとえば?

戸田:メモ禁止とか。メモしないで話しを聞くの?って驚きましたよ。しょっぱなからピンチな感じでした。

取材者:え?メモ禁止なんですか?無理でしょ。なんでですか?

戸田:私はLECで受講しましたがメモ禁止でした。試験でもメモしている人いないですよね。なんでかは聞かなかったなー、話を聴くことに集中するためとか、クライエントの気がメモ用紙にいかないためとか、とにかく相手の表情を観察しながら、こちらも表情を使って傾聴しないといけないからなのかなー。

取材者:取材だとメモとっていないと、逆に不安に思われますよねー。

戸田:でしょ、いくら音声を録音していますからーって、言っても、メモしないで話をしているだけだと、取材感ないですよねー。まー、取材の傾聴と、カウンセリングの傾聴は違うものだと割り切って一生懸命練習しましたけどね。

取材者:試験ありますもんね。

戸田:そうそう。合格しないと意味ないからね。で、最近ナラティブ・アプローチ勉強するようになってわかったんだけど、ナラティブ・アプローチだとメモOKなんだよ。

取材者:そうなんですか?

戸田:そもそも、質問事項を用意して、それに答えてもらうしね。話を聴いていくというよりも、クライエントと一緒に物語を創っていく感じ。なんで、会議とかで議事録を作りながら進めていくやり方あるじゃないですか、あんな感じもOKなんです。私は、マーク・サビカスのライフデザインカウンセリング、ナラティブ・アプローチを基にした手法ですよね、あれにある質問項目を参考にしつつ追加の質問もいれてカスタマイズしています。
それを事前にクライアントに書いてもらって、それを見ながら一緒にエピソードの深掘りをしています。オンライン面談だと、画面の共有機能を使って。

取材者:メモしないでもカウンセリングできるし、メモしてもカウンセリングできるって感じですか?

戸田:ナラティブ・アプローチしないときはメモしない、ナラティブ・アプローチするときはメモというか、事前に記入してもらったシートにお互い話したことを追記している感じです。

取材者:そうか、ナラティブ・アプローチってクライアントと共同作業みたいに進めるんですよね。

戸田:そうですね、私もまだまだ修業中なんで偉そうなことは言えないんですけど、いまのところ、そういう気持ちでやっています。メモなしカウンセリングだと、オンラインよりもリアルの方が表情とか声のトーンとか空気感とか感じやすいから、やっぱリアルの方がいいなーって思うけど、ナラティブ・アプローチの方は、オンライン面談でも画面共有機能を使えば、エピソードを見ながら、お互い話したことをドンドン追記していけるので、たとえば、「また犬が出てきたけど、これは小学校の時に拾ってきた犬?ですか」「そうですね」「じゃ、同じ犬ってメモしておくねー。そういえば、最初犬は苦手って言ってたのに、この頃は大丈夫になったの?何があったの?」「あ、そうなんだ、そんなことがあったから犬好きに、それも追記しておこう」とか、文字を見ながらドンドン話題が進んで、膨らんでいくんで、オンラインでも会話が弾みやすいんですよね。

取材者:なんかロジャーズのカウンセリング方法と随分と違いますね?大丈夫ですか?

戸田:大丈夫でしょ。基本的にカウンセリング手法は色々とあるし。ロジャーズとの違いなんだけど、野口さんの本、『物語としてのケア―ナラティヴ・アプローチの世界へ』の151ページにはこう書いてあるんですよ。

つまり、同じ「傾聴と共感」というかたちをとるにしても、何のための「傾聴と共感」なのかが違う。ロジャーズは、「自己の核心」を発見するため、そして、「パーソナリティの成長」を促すためにそれをおこない、ナラティブ・アプローチでは、「いまだ語られなかった物語」を語るためにそれをおこなう。両者は、最終的に目指すものが違う。ロジャーズは、「いますでにあるものの変化」を目指し、ナラティブ・アプローチは、「いまはないものの想像」、あるいは「共同制作」を目指す。こうして「傾聴」の仕方、「共感」の仕方に微妙な違いが生まれてくる。

取材者:なるほど、違うんですね。ナラティブ・アプローチを重視しているサビカスさんもこっちですね。っていうか、サビカスさんのキャリア理論は時代の先端の方だから、どんどんナラティブ・アプローチが流行ってくんですかねー。

戸田:でも、難しいところもあるみたいです。ライフデザイン・カウンセリングの入門から実践へ──社会構成主義時代のキャリア・カウンセリング』の第4章に研究されている先生方の対談が載っていて、あ、これね、すごい面白いから読んで欲しいんですけどね、ナラティブの面白さや難しさが語られていて、その中で、日本で実践するの厳しいよねー的なコメントもある。

取材者:専門家が言っているんだったら難しいでしょ!流行らないっすねー。

戸田:でもね、その専門家って、ライターじゃないじゃない。言葉を使う経験ってライターとは違うわけじゃん。なんというか、これまでロジャーズの傾聴手法一辺倒だった世界に、なんだかナラティブ・アプローチっていうのが出てきました!っていうことになって、そこから研究するわけじゃん。ライターってさ、キャリア理論は知らないけど、昔から言葉や物語を職業とするぐらい深く関わってきているわけさ。

取材者:人の考えていることや想い描いていることを言語化してストーリにして物語を創ることはずっとやってきましたね。

戸田:そう。それでさ、キャリアの世界の中で、ナラティブ・アプローチが難しいポイントの一つが、クライエントの考えていることや想い描いていることを言語化してストーリにして物語を創ることであれば、僕らは既に潜在的にスキルを持っていることになるでしょ。

取材者:取材で話を聴きながら、「これってこういうことですか?であれば、●●って言葉はどうですか?」って一緒に表現を考えることもやってますね。

戸田:話の矛盾ついたりね。違う角度から聞いてみたり。「そういう風に考えたことなかった!」って喜ばれることない?

取材者:よくありますね。ってか、それ言われるときって「いい取材だった」って褒められますよね。深いとこまで聴けたねーって、面白いねーって編集者とか同席者に。

戸田:ね。カウンセリングするつもりなくても、ライターって、特に取材を数多く経験しているライターは、ナラティブ・アプローチからのカウンセリングみたいなことをやっているんですよ。

取材者:ふーん、なるほど、なるほど、だったら、ライター出身のキャリアコンサルタントはナラティブ・アプローチと相性がいいというか、最低限のことはできてるってわけですね。だったら、ブックライター、ビジネス書の著者から話を聞いて本を書き上げるライターだったら凄く簡単にナラティブ・アプローチできてしまいそうですね。他人の自伝を代わり書いているブックライターなんてズバッとハマる気がする。

戸田:ナラティブ・アプローチに力を入れて活動している。なぜか?考えたことはないけど、新しいキャリア理論、ロジャーズ一辺倒だった世界を変えていく手法。キャリアの世界では難しいと言われている、そんな世界だけど、なんか皆が言うほど難しく感じなかった。むしろ、メモなしのロジャーズ流の方が違和感を感じた。それはライターとして人物取材を経験していたから。なのかなー。キャリアカウンセリングの場で取り組んでいるナラティブ・アプローチよりも、人物取材の現場で感じる感覚の方が、よりナラティブ・アプローチに近い気がしているんです。

取材者:それは、単にキャリアカウンセリングが下手だからじゃないんですか?

戸田:それを言われると辛いんですけどね、ロジャーズ流が苦手だなーと思っているキャリアコンサルタントもいると思うんですよね、でも、ナラティブ・アプローチだったらハマる方もいるんじゃないかとも思うんです。

取材者:うん?ちょっと思いついたんですけど、議事録を作りながら進めていくみたいなことを言ってましたよね、だと、会議の進行が上手い人とかカウンセリングは苦手でもファシリテーションはできる!ってな人はナラティブ・アプローチの方だと、すごくいいカウンセリングができてしまうかもしれないってことですよね?

戸田:会議の進行が上手い人、ファシリテーション、それは思いつかなかったなー、でもそうですよねー。

取材者:では、ナラティブ・アプローチは新しい形のカウンセリング手法である、これまでのカウンセリングが苦手だった方でも、ナラティブ・アプローチであれば、会議の進行が上手い人やファシリテーション能力がある人など、これまでとは違った能力を持った方が活躍できる可能性を秘めているものである。と言えますね。

戸田:そうですね、そうすると、キャリアコンサルタントの中でもカウンセリングに苦手意識を持って実施している方こそ、ナラティブ・アプローチを勉強してみては?と提案できますね。

取材者:読者向けの提案アイデアまでありがとうございます。あとはこちらでまとめますので、できたら目を通してくださいね。もうお時間ですので本日はこのへんで、ありがとうございました。

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