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リア友にも見せられる創作垢です

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道化

今日、君に逢いに行く。 君は僕を求めていないけれど、 風呂でさっぱりした身体に、 アラビックヤマトがパリッパリに効いたシャツを着て、 燕尾服を穿いてズボンに袖を通し、 靴を手に履いてココアシガレットを咥え、 バランスボールの上に片手で立って、 君に逢いに行く。 さあ、面白かろう。 滑稽であろう。 ぶっ壊れておろう。 なあ、笑えよ。 笑ってくれよ。 頼むから、その目を開けて俺を見ろバカ。

    • 「珈琲/大根役者/鱗雲」、或いは「破片」

      目が覚めて寝室から出ると、床に伏せた妻が居た。 周囲に黒い液体と赤黒い液体とを撒き散らし、緑色の欠片を散乱させた妻が。 机の上には封筒が一封。貴方へ、と書いてある。 ああ、死んだんだな、と思った。 彼女とは学生の頃に知り合った。 二年片想いした後に付き合うことになったが、初めての恋人に戸惑って亀の歩みを続けた。 進路の関係で一度別れ、再開したのは六年後。 お互いに大人になり、多くのことを経験していた。多忙を極め、疲弊しきった二人だった。 燃えるような情熱はもう無かったし明

      • 「ラジオ/深海/空き地」、或いは「魴鮄」

        君は魴鮄みたいだね、と笑った彼を想う。 俺はくだらない奴だ。頑張ることなど一つも無く、勉強も最底辺で、やる気が出ない、と嘆きながらも何もしない。そんな何にも成れないイキモノ。友人だって居ないわけでは無いけど、高め合う仲かと言われるとそうではないと思う。奴らのことは大好きだが、世間で言う「良い友人」「好敵手」ではない。今日だって、缶ビールを買って空き地でたむろ。楽しいが、退廃的。かれこれ一年程続いている、そんなくだらない日常。 そういえば高校時代、よく隣の席になった男が居

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