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【OAK】ドリュー・ルチンスキ獲得

さらに投手デプスを分厚く

A'sはKBO帰りの右腕ドリュー・ルチンスキとの1年契約を発表しました。年俸は3M、2023年の5Mのクラブオプションが付いています。

ルチンスキの獲得(とそれに伴うローグのDFA)で、40人枠内に先発投手は13人を数えることになりました。先日のマーフィーのトレードでもさらに先発投手を獲得し、一見して先発投手は溢れているように見えましたが、A'sはさらにデプスを追加しました。

いくら数が増えたと言っても、確実に計算できるのはコール・アービンのみ。ベテランのブラックバーン、キャプレリアン共に怪我明けということもあって、フロントは確実にイニングを消化できるベテランを求めていたようです。

どうしても層が薄くなる再建モードのチームにあって、確実にイニングを消化できるベテランは違いをもたらします。1人で170-180イニングを消化してくれれば、ブルペン・先発ローテ共に大きな負担軽減となり、それが若手の肩肘を守ることに繋がるからです。

また、転売を見据えた上でも理想的な契約条件となっています。
基本サラリーの3Mですら、健康さえ保てばペイできる格安規模。さらに破棄する際にバイアウトがつかない来季のオプションまで付随しています。その来季のオプションですら5Mと、FA市場ではBチームリリーバーが得るサラリー規模の安さです。
つまり、1年目に良ければノーリスクで再び格安契約を更新することができ、悪ければ金銭負担無しで切ることができます。今年のサラリー3Mにしても、貧乏球団のA'sにとっても端金に過ぎないレベルです。

もし、全てが上手くいって来夏のデッドラインで出荷となれば、実質1年半残しての出荷となるため、対価も美味しくなると思います。

正直言って、手放しで称賛したいムーブです。

ルチンスキの獲得によって若手投手のローテの椅子が減るといったきらいはあるかもしれません。しかし、むしろ先発投手をトレードしてブルペンなどの弱点補強に回す選択肢も広がったと思います。


ルチンスキのパフォーマンスについて

主なレパートリーは4シーム(/シンカー)、スライダー、カーブとスプリッター。

速球は92-94mph程度で推移し、ホップ・シュート方向への変化を見せます。スピンレートこそ平均以下ですが、エクステンションが良く、また低めのリリースポイントも奏効してか打者にとっては厄介な球種だと思います。
さらに86-88mphのスライダー、80mph前後の縦割れのカーブ、そしてスプリッターを交えるという構成です。

note企画でKBOを担当されているRさんの記事によると、ルチンスキ開花の要因はスプリッターの習得だということです。MLBでも通用するレベルにあるとの評価を受けており、日本人投手のスプリッターが高い威力を有しているMLBではこのスプリッターに期待できそうです。

レパートリーの中で鍵を握るのは速球のクオリティではないかと思います。スタイル的にはオーソドックスもオーソドックスで、スライダーやカーブもそれ単体で圧倒的なバリューを持つ球種というわけではなさそうです。韓国時代のハイライトでは速球で打者に対してアドバンテージを持てていましたが、MLBでは果たしてどうなってくるのかが気になるところです。


今後の補強はどうなるか

ルチンスキとのFA契約で、ペイロールは49.5M(Cot's参照のこと)に達しました。正直、「まだ50M程度なの!?」と驚きを隠せません。FA市場に20M以上を費やしているのですが…

A'sのペイロールの許容値はどこなのか?というのをまず確認しなくてはいけません。

異常緊縮かつ大解体、そしてロックアウトで補強に動く時間が無かった昨年のペイロールはまず除外するとして、その次にペイロールが低かったのが2018年のおよそ66Mです。

ここから更に26Mもの補強にオーナーがゴーサインを出すとも、それだけのお金の使い道があるとも正直思えません。しかし、予算にはまだ余裕があると見るべきではないでしょうか?

MLB.comの番記者ガィエゴス氏曰く、ディアスとピーターソンの獲得後も野手補強がありそうだとのこと。

もし野手を補強するとするなら、一塁手か、ブラウンを一塁に回す形でコーナーの外野手ではないかと思います。

そうなると、ライアン・ノダと組める右打ちの一塁手としてトレイ・マンシーニとの契約は有りではないかと思います。
既に右打ちの一塁手にはダルミス・ガルシアとジョーダン・ディアスがいますが、どちらもオプションが残っています。それにガルシアはアプローチが悪く、頭打ちになるのは時間の問題のように見えます。そしてディアスも昨年デビューしましたが、AAAでの経験は少なくマイナー待機の意義はあります。

ノダはルール5での獲得のため、キープするとなればマイナーに降格させられません。首脳陣の長年のお気に入りでもあるため、ギリギリまで優先してキープするのではないでしょうか?

同じく右打ちの一塁手にはユリ・グリエルもいますが、転売益がより高そうなマンシーニを優先してほしいです。

また、ノダより右打ちの一塁手たちを優先するとすれば、左打ちの外野手の補強の蓋然性が高くなってきます。

候補に上がるのはマイケル・コンフォルトです。
しかし、コンフォルトはかなりの人気銘柄のように見えます。OAKがFA選手を呼び込む上で強みである出場機会の確約は、もはやコンフォルト争奪戦のスタートラインに過ぎないでしょう。コンフォルトは単年契約希望ですから、チャンスは残されていますがマネーゲームで勝てるとは到底思えません。
もしコンフォルトでなければ、デビッド・ペラルタあたりもあり得るでしょう。


野手補強はしてもしなくても良いレベルですが、ブルペンの補強は最低限1枚は必要です。ブルペン補強はトレードでもFAでも両方からあり得るでしょう。

トレードであれば対価となるのは、パフォーマンスの不安定さの割にアップサイドも欠くジェームズ・キャプレリアンになりそうな予感がします。先発5番手が必要なチームに何とか売れないでしょうか。

FA市場からは、ルーク・ジャクソンやマイケル・フルマー辺りに注目ですね。


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