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韓国からMLBを目指す3人の助っ人

さて、今回はMLB復帰を目指す3人のKBO外国人選手の紹介をしたいと思います。

1 Drew Rucinski (NCダイノス→A's)


今シーズンの成績は
31試合(31先発)10勝12敗 193.2回 184奪三振42四死球 ERA2.97

韓国4年目でキャリアハイの31先発193.2イニング184奪三振
一方で42四死球は最小に抑えるなど34歳にして韓国で最も優秀な成績を残しました。

メジャーとマイナーでは先発時期もありましたがリリーフが長く、韓国では先発1本で活躍してきました。

飛躍要因はスプリッターを習得した事でMLBでも通用できる決め球になったのが大きいです。

ただし全てがポジティブポイントではありません。Rucinskiは1988年生まれ、来年度は35歳とベテラン域にあるのが最大のネックといえます。

つまりいつ衰えが来るか分からない、故にKBOとMLBのレベルは違うので使い物にならなければロースターの邪魔者的存在にもなり得ます。

また韓国4年間で怪我なく177〜193イニングを安定して投げた分、疲労によって怪我するリスクも増えます。

予想契約規模は2年間で総額600〜800万ドル(個人的予想)から、ルチンスキーを信頼できるのであれば2〜3年1600〜2000万ドル(米メディア)までと額は幅広いです。

リスクはあるけど贅沢税が近かったり再建期に入ってるチームのローテならまだ輝けるだろうというのが私の見立てです。

MLB Trade Rumorsらの予測では、STL DET A's BOS ARI KCが関心を持つだろうと予測。
球団を見ればわかるように、再建期の球団が多いです。


追記
2年800万ドルでアスレチックスと契約しました。

2 Eric Jokisch(キウムヒーローズ残留)

今シーズンの成績は
30試合(30先発) 10勝8敗 
185.1回154奪三振38四死球 ERA2.67

韓国4年間での実績は
4年連続二桁勝利の通算51勝
3回180イニング以上(2020年のみ159.2回)
通算防御率は2.71
打高と言われる世界でエース級の活躍、なおかつ怪我歴なしととても安定しています。

球速はそこまでないが、制球力と変化球を武器とした技巧派です。

メジャー通算は2014年カブス時代での僅か4登板
復帰して登板を果たせば9年ぶりとなります。

シーズン終了後、Jokischは再契約よりもメジャー復帰に目を向けており韓国に戻る雰囲気はなさそうです。
そして、Ari Alexander記者によるとマリナーズ、エンゼルス、マーリンズが興味を示しているとのことで今後の動向に注目しています。


↑Ari Alexander記者によるソース記事

3 Wilmer Font(SSGランダース→パドレスマイナー契約)

今シーズンの成績は
28試合13勝6敗 ERA2.69
184回170奪三振40四死球

1年目より技量を上げてアピールをしました。
開幕戦は9回パーフェクト投球(味方打線も0点だったので延長戦に入ったため参考扱い)、
韓国シリーズでは2登板2勝、7イニング以上を投げる力投を見せました。
前半戦はMVP候補と言われるほど素晴らしい投球でしたが、後半は怪我で10日ほど登録抹消されるなど不安な面もありました。

球団側も再契約を熱望していましたが、本人は代理人を通じてMLB復帰を最優先にと再契約を断り退団が確実となりました。

武器は平均150を超えるストレートで、マイナーにいた時から評価がありました。
そして、マイナー時代より走者有り時で動揺しなくなって落ち着いたという評価もありメンタル面も向上したといえます。

今年はFontを視察しにメジャースカウトも何球団が韓国に来ており、メジャー復帰できるか注目されています。

3人と契約する利点とは

さて、この3人の獲得するメリットを説明していきたいと思います。

①KBO→MLBルートで活躍する選手が増えた

野手ではDarin Ruf(Mets)
投手ではChris Flexen(SEA)や韓国にいた当時はメジャー出場すらなかったMerrill Kelly(ARI)
KBOでは不振だったがメジャー復帰後に好投したAdrian Sampson(CHC)などローリスクでハイリターンな活躍をする選手が増えた事が背景にあります。
事例が増えた事で金よりMLB復帰を選択して韓国に行く選手も増えてきました。

②低コストでイニングイーターを獲得できる

これはMLBに限らず日本の野球でもそうですが、近年の先発投手は200イニングおろか180〜190イニング投げる先発投手の存在が貴重になってきました。

怪我リスクの抑止の為、リリーフ運用の重要性が高まってきた事もあり、無理させないという流れになってきています。
それでも、投手陣を運用するなら先発に長く投げて欲しいというのが本音であると思います。

韓国では助っ人の活躍が全体の40%を占めると言われており、リリーフの外国人選手を取らない世界ですので必然的に先発助っ人投手は長いイニングを投げる事を求められています。

そこで鍛えられた投手こそ今のMLBに必要と言われており、その分需要もあると思います(そこは日本で投げる助っ人にも言える)。

ただし、全てがメリットというわけではありません。デメリット面も見てみましょう。

①活躍が保証されるわけではない

KBOでMVPを獲得し3年契約を手に入れたJosh Lindblom(MIL)や、マイナー契約から開幕ロースター入りを果たしたAaron Brooks(STL)などメジャー契約を貰いながらも活躍できなかった選手もいますし、韓国を退団してもずっとマイナー生活の選手もいます。
注目される選手はひと握りでもありますね。

②年齢が若くない

来年度の年齢を見ると、
Drew Rucinski 35歳
Eric Jokisch 34歳
Wilmer Font 33歳
とFlexenやSampsonのように若くはありません。

いつ衰えてもおかしくないし、ローテとして計算できてもせいぜい2年ほどでは?と感じてしまいます。

再建期の繋ぎ要因であるならもってこいでありますが、チャンピオンを目指すコンテンダーであるなら戦力として計算できるかは不安があるといえるでしょう。


最後に

私自身はこの3選手を見てきました。
打高投低といえる世界で活躍できたのは、技量向上や環境や文化の適応をしてきた努力の成果といえます。
MLB Trade Rumorsでは、韓国に行く度にMLB復帰が期待されているという反応が多いです。
日本も最近ではマイナーメジャーですら投げた事なかったRobert Suarez(阪神→SD)がリリーフで活躍して5年契約を手に入れるなどメジャードリームを掴んでいます。
今回紹介した3選手の活躍を願って今後の動向を追いたいと思います。

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