【OAK】A'sのドラフトを予習しよう
MLBドラフトまでちょうど1ヶ月。このnote企画でも桃色無職氏がモックドラフトの投稿を始められて、ドラフトの季節の訪れを感じる頃合いとなりました。
解体し、再建期に突入し始めているA'sファンとしてはドラフトはシーズン中の大きな関心事です。このnoteを読めば、少なくともA'sの指名に一喜一憂できるというような記事を書いてみます。
過去3年のドラフトを分析
あえて過去3年のスパンとしたのは、2019ドラフトからウェーバー順が後ろの方になったということで、やはり全体20位からのスタートとなる今年のドラフトの参考になりやすいためです。(18年にアメフト選手を指名したからじゃないぞ)
さて、前年の全体9位から20位落として迎えた2019ドラフトですが、この年はローガン・デビッドソン(公式ランク22位)の獲得に尽きます。その年の大卒SSとしては屈指の評価を受け、1巡目指名が有力視されていたデビッドソンが想定外のスリップ。
A'sフロントもデビッドソンを指名できたことは想定外だったそうで、織り込み済みの指名では無さそうでした。そのためか2巡目以降はやや保守的に動き、6選手をアンダースロットで済ませています。
パンデミックの影響もあって5巡に短縮された2020年ドラフトも、やはり1巡目のタイラー・ソダーストロムのスティールに尽きます。
およそ0.7Mのオーバースロットを呑む形でソダーストロムと契約した分、2・3巡で大きく節約しました。
3巡のマイケル・ガルドバーグはスロットバリューの半額程度でサインしましたが、下馬評を覆す成長を見せてくれています。
スティールに成功した過去2年とは一転、2021年はいわゆるオーバーピックに手を染めた年になりました。
オーバーピックした割にオーバースロットだったマンシーの指名を歓迎する声はあまり聞かれませんでしたが、それ以外では好ピックを連発。
4巡でハイポテンシャルなデンゼル・クラークをオーバースロットで確保したのを始め、アンダースロットでの指名でもブレット・ハリス等ヒットを決めています。
過去3年のドラフトに共通する点は以下の通りです。
1点目は20年のソダーストロムと21年のマンシーから見て取れる傾向です。ちなみに2017年ドラフトでも全体6位で高卒のオースティン・ベックを指名しています。
棚ぼた的なソダーストロム指名に対し、マンシーの指名は確信犯ですので、今年も高卒に最初から狙いをつける可能性は十二分に考えられます。
2点目は特にデビッドソンとマンシーに共通します。両者ともアプローチに重大な欠陥を抱えていたプロスペクトで、デビッドソンの場合はそれがスリップの遠因とも言われていました。
しかし、両者ともその欠陥を補って余りあるパワーポテンシャルを備え、守備走塁といったツールも揃ったスケールの大きなプロスペクトでした。
やはりこういったアップサイドの大きい選手は評価されやすく、確保するには高い順位での指名が必要になってきます。したがって、A'sがアプローチには目を瞑ったシーリング重視の指名に及ぶシナリオは有り得そうです。
3点目。今年の1巡目では投手はあり得ないと思います。
過去にはソニー・グレイとAJ パクを1巡目で指名しましたが、前者の場合は本当に狙っていたのはジョージ・スプリンガーで、後者の場合は全体1位指名の有力候補だったパクをスティールした形でした。
基本的によほどのことが無い限りは野手指名です。
今年はとりわけ大卒投手の層が薄く、故障者も多発しており、1巡目で消える投手はあまり多くないと予想されています。そして、オフのトレードでは昨年ドラ1のカレッジアームを2人も回収しています(ホグランド&キューシック)。ですから、今年に関しては投手指名の線は消してしまっていいでしょう。
↓ここからはドラフティーの候補を何人か挙げていきます。
ディラン・ビーバーズ(Dylan Beavers) OF/大卒 #21
ほとんどビーバーズ予想で固定化している公式のモックによれば「A'sはビーバーズにご執心」とのこと。このリストからも外すことはできません。
ビーバーズは5ツールプレイヤーで、特にパワーの評価が際立つ選手です。
ヒットツールは”45”評価に留まるウィークポイントではありますが、変化球に対する空振りが多い一方で、ボール球には手を出しません。この点、デビッドソンに非常に近く、アスレチックスの打者らしいと言えます。
個人的には横に切るようなスイングがジョシュ・ロウ(TB)を思い起こさせます。ポテンシャルもロウと似ていると思いますから、上手く行けばロウのような成長曲線を描くはずです。
チェイス・デローター(Chase DeLauter) OF/大卒 #19
デローターは本来であれば全体20位で指名できるような選手ではありません。故障によってドラフトイヤーを棒に振ったことで大きくバリューを損なっています。
20歳のスウィートスインガーの売りはなんといっても打撃。ダブルプラスのローパワーに加え、アプローチも優秀です。
タイプ的にはチャーリー・ブラックモンに近い選手かと思います。
選手としてはデローター>ビーバーズという評価になるでしょうが、A'sが怪我持ちのデローターをどう見るかは測りかねるところです。
ジョーダン・ベック(Jordan Beck) OF/大卒 #22
アプローチに懸念がある点を含めて、ダイナミックなプレースタイルはまさしく良い時のハンター・レンフロー。
シーリング寄りのツールセットな割にいまいちアップサイドを見出だせない点が推せないなと思います。アプローチ懸念枠ならビーバーズの方が良いかなという。
ザック・ネト(Zach Neto) SS/大卒 #25
カレッジ指折りのSS。A'sの指名より前に消えている可能性も十分にありそうです。
ドリュー・ギルバート(Drew Gilbert) OF/大卒 #28
1巡候補に上がる大学生OFの中では一番守備が上手そうな選手。リードオフタイプながらスイングは鋭く、20HR級のポテンシャルを秘めていると思います。積極的なアプローチな割に四球も少なくない点は推せます。正直言って好きなタイプです。
その他の大学生野手
好打者トンプソンは1巡指名が有力ですが、ヒットツール一本勝負の割に打撃が圧倒的というわけでもないのが難点。
ジェイコブ・メルトンは多くのモックで1巡下位に予想されています。クラス内でも年長な分、アンダースロットできるとの見立てからでしょう。
クラーク・エリオットはマイケル・ブラントリーと比較される巧打者で、2巡目で確保したい素材。
コール・ヤング(Cole Young) SS/高卒 #18
note企画のドラフト担当・桃色無職氏曰く「今年のアスレチックスは高校生野手」とのこと。ドラフト中位で確保できそうな高校生野手となると、まずこのヤングが挙がります。
抜群のアプローチを誇りますが、決してパワーレスではなく打球速度は優秀。フロアーはSSを守れるアダム・フレイジャー、あるいはプロスペクト時代のギャビン・ラックスのような選手になるかもしれません。
荒削りな原石といった印象のマックス・マンシーとは対極に位置すると言ってもよく、もしヤングを指名するならマンシーの指名がやっぱりよく分からなくなりますね。
ジェット・ウィリアムズ(Jett Williams) SS/高卒 #26
ヤングとも似たプロフィールですが、ヒットツールに尖ったアンダーサイズの二遊間という所で、A's傘下のユーリビエル・アンヘルスともダブります。
タッカー・トーマン(Tucker Toman) 3B/高卒 #42
トーマンは前述2名に比べるとパワーもある選手です。どちらかといえば前述2名よりもトーマンのようなパワーのある打者の方に傾くかもしれません。
また、公式のモックではA'sがトーマンに興味ありとのコメントもありました。
その他の高校生野手-スリップの可能性-
昨年のドラフトでは前評判の高かったカリル・ワトソンが全体16位までスリップするというサプライズがありました。
今年大きなスリップを見せるとしたらイライジャ・グリーンかもしれません。
シーリングの高さは圧倒的ですが、ワトソン同様にアプローチに不安を抱える選手です。契約金も高くつくことが予想されるため、潤沢なスロットマネーを持つ上位球団に敬遠されれば、意外と中位まで落ちてくるかもしれません。(可能性は低いですが)
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