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自分軸を確かなものにする丁寧なレビュー

自分軸を構築するためには、か細い心の声を、丁寧にすくいとること。
これが欠かせないと思っています。

和を尊重する日本の文化は好きですが、
同調圧力が強いのは嫌いです。

個を確立し、自立した上での、協調や相互依存。
ひと言で言うなら「和して同ぜず」。
これがいいです。


さて、自分軸を確立すれば、それで幸せになれるかというと、そうではありません。
心の声を聞くだけでは、自分のコアの表面的な部分にしか触れることができないからです。

その理由は、「人間は、社会的な動物である」という現実に由来します。


社会的な動物であるからこそ、「心の声を聴く」時に、気をつけなければならないことが、2つあります。

一つ目は、社会的な評価を気にしてしまう、ということです。
社会的な評価というのは、社会の人々によって作られた評価です。
学校で言えば、テストの点数や内申点。
会社で言えば、地位や給料。
スポーツで言えば、得点や勝敗。
これらは、そもそもの人間の実存にとっては、関係ない評価項目です。
社会を形成する中で生まれてきた、人工的な評価です。
人間は社会的な動物なので、社会的な評価を得ることで、いちおう快感を得ることはできます。
でもそれは、表面的な充足感であって、長続きはしません。
刹那的な快感を得ては消えていく、レジャーでサクッと得られるような、いっときの快楽です。


二つ目は、他者との関わりによって幸福を感じる、ということです。
人間は、動物としては超未熟児で生まれ、18年間も「未成年」として育てられます。動物としては異常中の異常な、成熟までの長さ。超未熟児としての生誕です。
他者がいなければ、すぐに死んでしまう生き物として、進化してきているのです。
他者との関わりがなければ、不安を感じるようになっています。
「自分の心の声を聴く」時は、ベクトルが自分に向いているので、自分の価値観で自分軸を構築する部分が多くなります。
それは別にいいのです。
しかし、心の声を言語化する時に、「他者との関わり」という視点を入れないと、独りよがりになってしまいます。
独りよがりな自分軸では、他者と分かち合うことでやっと届くような幸福には、触れることができません。


この2つを押さえて「心の声を聴く」のであれば、
表面的な快楽に惑わされず、真に自分が幸福だと思う声を聴けるようになることです。常識やモラルやルールなどの「蓋」をとって、素直な声を聴いてみましょう。
同時に、良識や慣習にも含まれた他者の価値観から抽出される言葉でもって、「心の声」を表現してあげる必要があります。
その言葉によって、他者とつながることができるからです。いわゆる哲学と呼ばれるような学問が追求してきた言葉が参考になります。



自分軸=生きるための指針となるコンパスは、そうした丁寧なレビューを繰り返すことで、確かなものになっていくと思います。

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