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写真の活かし方(組写真レイアウト編)

動画は流れる時間を表現するもの、写真は時間を止めて表現するものですが、止めた時間を「並べる」ことによって擬似的に時間を「流す」ことができます。レイアウトが前提の写真でしたら、撮影時にすでに完成形を見据えた撮影を行なっておきましょう。見せたい写真の撮影だけに夢中になるのではなく、その写真の持つ「機能」にも意識を払ってください。「名場面」ばを撮影したら、そのストーリーの「助詞」や「接続詞」にあたる場面も撮っておくということです。さらに、同一シーンのバリエーションも撮っておくと後々写真を組んだ段階でストーリーの若干のずれも修正していけるので保保険として撮影しておくことをお勧め致します。それによってレイアウト後の最終的な完成度が高まります。私の場合、「脚本」に相当する「撮影ラフ」や「撮影リスト」を用意して撮影に臨んでいます。

レイアウト実践編 「ストーリー」は10人10色ですが、それを語るための「文法」は普遍的なものです。写真レイアウトの基本は、写真と写真を繋ぐ変化です。変化は幾通りもあるように見えますが、追い込んでいくと大まかに2通りまでになることが解ります。「寄り⇔引き」「静⇔動」「順光⇔逆光」「白⇔黒」「広角⇔望遠」「ハイアングル⇔ローアングル」のようにです。その2つの変化の振れ幅のことを、変化の「度合い」と考えましょう。数値で解りやすく「広角⇔望遠」を例にしますと、1枚目の写真は24mmで撮り、次の写真は50mmで撮った度合いは26mm差、また1枚目の写真は16mmで撮り、次の写真は200mmで撮った度合いは184mm差、したがって、前者は度合いが小さく後者は度合いが大きいとなります。写真レイアウトのコツは、「あらゆる要素」を「最大限動かす」ということです。伝えるために大切なのは「ハッキリ」とした変化だと考えます。「ハッキリ」させないと、見る人に伝わりません。レイアウトとは、意図を相手に「伝える」手段です。もう一つ、変化させるのなら、なるべくいろんな要素です。2つか3つの似通った要素の変化だけだと、単純につまらないです。いろんな要素が変化するから、見ごたえがあり、面白くなります。変化は、撮影テクニック以外に「混沌⇔秩序」「直線⇔曲線」「奥行⇔平面」「人物⇔風景」「山⇔海」「男⇔女」「一人⇔多数」といった背景や状況など色々考えられますね。あくまでストーリーを説明する範囲においてですので、何でもかんでも変化ではありませんのであしからず(笑)といっても、「少ない変化」や「小さい変化」だからといって、必ずしも与える感動が少なかったり、小さいかったりばかりではありません。そこが表現の面白いところです。表現の面白さはむしろ、少ない変化や小さい変化でありながらハッキリ伝わり、なおかつ面白い、というところにあります。大きい変化を自分のものにしたら、是非小さい変化もチャレンジしてください。この変化をつけて、自分なりのストーリーで並べてみてください。自分の写真でレイアウトを始めてみると、ひとつの事実が浮かび上がってくるかもしれません。レイアウトするべき「写真が足りない!」という事実です。変化を付けようにも付けられない。それは手持ちがみんな似通った写真だからです。人間は自分のコンフォートゾーンでしか撮らないものです。撮影において「変化を付ける」ということは、実は意識しないとできないことなのです。普段、ヤマ場にしか目を向けていないとしたら、ふっと力を抜いて、路傍の石や空の青さにも目を向けたり普段とは違う立ち位置、レンズ、距離感に、あえて踏み込んでみるのもいいでしょう。あなたの視点や世界観を広げてくれるキッカケにもなります。是非、組写真にトライしてみてください。

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では、素敵な写真ライフを

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