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人生で影響を受けた10冊 ~2020年2月現在〜(前編)

よくよく会社のSlackにおすすめの本とか書いてたのですが、せっかくだからnoteにリポジトリにしておいた方があとで探せるよねってことでオープンに。

私個人的に、人生で影響を受けたり、非常に今でも大切に読んだり、そこまで読まないけど衝撃を受けた本10冊を紹介してみたいと思います。(以前にもこんな企画やった気がするけど)

●果てしない物語

どちらかというと映画「ネバーエンディングストーリー」で有名ですが、その原作です。本書に初めて触れたのは10歳くらいの時で、その美しい本の装丁には当時しびれましたね。本の中に出てくる「本の世界について描いた本」と同じ装丁で作られており、この箱をあけると布の表紙の本になっていて、現実世界とファンタジーの世界でえんじ色と緑色の文字色を使い分けられている。そして美しい中表紙といい。紙の本ってこういう体験価値があるから意味があるよね、ってくらい素晴らしい。

本のストーリーも非常に影響を受けまして、人間のチカラって「空想すること」であり、そうやってたくさんの物語の世界が生み出されて、本というメディアの中に展開されてきた。それを読んで多くの人はまた空想をふくらませ、次々と創造されていった。しかし辛い現実などにさらされると人は空想や想像することをやめてしまう。人の本質ってたわいもない想像の世界から生まれるんじゃないかという、AI時代の今だから読みたい本。

●私デザイン

もう一つ私が人生で最も影響を受けた一冊のひとつ。もともと資生堂やパルコのアートディレクターとして活躍し、その後独立。ハリウッド映画やシルクドソレイユ、オリンピックなど数々の仕事で、アートディレクションや衣装デザイン、舞台演出などを手がけた世界で活躍する日本人の一人です。(が、2012年にお亡くなりになりまして残念)

2つの点で影響を受けまして、一つはこの本を手に取った時、広告のクリエイティブを一生懸命作っていました。コピーやデザイン、時にインタラクティブな仕組みなどなど。でも手法ではなく、一番大切なのは、創造のキャンバスに向き合った時にどう考えるかの思考。こういったクリエイターになるための大切な考え方や向き合い方を10数の事例から学べます。

もう一つは、世界で活躍する、という点。私自身、自分のキャリアにおいて常に世界で通用するためにはどうしたらいいか、ということを意識していました。なので、初期は日本語という枠組みにどうしてもハマってしまうコピーではなく、デザインやデジタルなどノンバーバルなアートフォームでメッセージを届けるアイデアばかり作っていた時期もありました。石岡さんの作品も日本人のDNAがきっとありつつも、決してそこにこだわることなく作られた創造のアイデアは、世界中の人を魅了しています。ついつい「日本らしさ」に閉じ篭りたくなりがちですが、こういう戦い方もあるんだなぁと。

●国盗り物語

今、ちょうど大河ドラマで「麒麟が来る」やってますが、まさにその時代を描いた司馬遼太郎の代表作の一つ。

司馬遼太郎はたくさん読みましたが、幕末〜維新の時代より、戦国時代が好きですね。今よりも動乱の時代に、何も持たないところから天下を狙った3人の男(斎藤道三、織田信長、そして明智光秀)が主人公。それぞれ異なる価値観を持っていますが、皆、天下人になる資格のある男たち。でも誰も天下は取れなかった。そんな皮肉もさることながら、「国を盗る」という男の生き様を学べる一冊

●アッシュベイビー

今や懐かしいですねー、の金原ひとみの作品。金原ひとみというと、「蛇にピアス」の印象が強いですし、あれもいいですが、ちょっとひねくれてあえてこっち。

もともと名前は知っていたけど、手に取ることのなかった金原ひとみの作品ですがふときっかけがあって手に取ったら衝撃的でした。普通、本というと文章をちゃんと書くイメージがありますが、もはや文章が破綻してたりする。なんというか「音」で描いてる感じがする。

この本を読んで大きな気づきは、バイオレンスやエログロなど過激なものは、リズム感と結びつくと新しい快感に変わるということ。

本の中でものすごい汚い言葉や「死ね死ね」とか連呼しているんですが、文章力なのか、ある一定のテンポで描かれているため爽快に感じるのです。これってヘヴィーメタルやハードコアといった音楽にも通じることなんだろうなーって。そういう体験価値を得られる一冊。

●聖書

私は別にクリスチャンでもなんでもないのですが、小学校以外、幼稚園、中学高校〜そして大学もたまたまカトリックの学校に通っていたため、学校の授業などで聖書を学ぶ機会が多くありましたし、やっぱりキリスト教の思想や考え方は非常に洗練されており、共感できるところがあるなーと思ったのであえてこれをあげました。

私自身、キリスト教というのは史上最も成功したバイラルキャンペーンであり、ブランドであると考えていて、それを実現したイエス・キリストは歴史上最も優れたクリエイティブディレクターでありモダンアーティストであり、聖書とは世界で最も成功している重要なメディアであると考えています。詳しくはまた書きますが、やはり世界で20億人に信仰され、読まれている聖書という本について学ぶことは、メディアやマーケティングの仕事をしている人なら必須なのではないでしょうか?

聖書というのは非常に面白くて、旧約聖書も新約聖書も物語なんですね。旧約聖書は世界ができてからユダヤ人の歴史。新約聖書は救世主としてのキリストが生まれそして死ぬまでの物語(+この世の終わりを描いた黙示録と)

キリスト教の教えだけを伝えたいのなら、もっと圧縮して短かくすることができたと思うのですが、やはり物語になっているからこそ、人の心に伝わったのだろうと思います。

私は昨今D2Cブランドが流行っている今、カトリックとプロテスタントの歴史について学ぶことも重要だと思っていまして、カトリックというのはまだ印刷技術が発達していない頃、キリストの教えを教会というメディアや神父という”インフルエンサー”によって伝えていく仕組みでした。しかしプロテスタントというのはマルティンルターによって、教会の権威を否定し、「聖書」に立ち返ろう!という思想です。これはグーテンベルグの印刷技術というテクノロジーによるディスラプティブを背景とした「キリスト教のサプライチェーンの破壊」であり、キリスト教のD2Cブランド化と言えるでしょう。ただ重要なのは、技術の発達や時代の流れにも関わらず、「聖書」というメディアは一度も否定されたことがないのです。つまりコンテンツや物語といったものはテクノロジーの発達に関係なく永続性を持って続いていくという良いケーススタディだと思うんですよね。

VUCAと呼ばれ不確実性の現代だからこそ、こういった歴史の本質から学ぶことは重要な戦略判断につながると考えています。

と長くなったので、そのうち気が向いた時に後編でもやりまーす

びよーん

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