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抹茶のなんたるかを知らなくても抹茶ソフトの味はわかる

最果タヒ『もぐ∞』
1300+税
全151ページ
所要時間 2時間18分



◾️好きな一節


「ひとりぼっちになろうが、生きていかなければならない。
そして生きるということは、別に誰かと一緒にいるとか、家族を作るとか、
夢を叶えるとか、そういうことではなくて、ただ生活を重ねていくことだと思う。
そして、しあわせなことに、生活を豊かにしていくのは、いつだって自分自身なんだ。おいしいもの、きれいな部屋、ここちよいおふとん。
生きる、ということにつまずくとき、それが一番やさしく、救いになってくれる。その可能性は決して奪われない。」


◾️この本を読んだきっかけ


「ベアさん好きそう。ものの見方が新しい本です。パフェは食べ物の天才とか。」と、
会社の後輩におすすめしてもらいました。
私(ベア)が後輩に本をおすすめしてもらう以前、
私がポッドキャストのどんぐりFMが面白いよと勧めていた。

・ブームはおじさんの密かな楽しみから始まるとか
 サウナは元々おじさんの楽しみだったのに若者に取られた話は
 面白かった。とられた分何かくれ、と言って40代限定プリクラ機を
 赤提灯の飲み屋街に置こう。みたいな話。
 じゃぁ、他に今おじさんが密かに楽しんでることってなんだろう?って
 話を一緒に後輩たちと雑談したこと覚えてる。
 
「お墓参りは?」
「うちのお父さん最近お墓かって写真撮って見せてたよ!」
「あれって楽しいの?」
「ジョギングは?」
「走ってるおじさんよく見る」

そんな話をした後に、この本が巡ってきた!



「とにかく私は、自分よりその食べ物を愛している店主から、
その食べ物を作ってもらうことにどこか申し訳なさを感じる。
こだわりのコーヒーショップに入って、店主の圧倒的なコーヒー愛に
ぶつかったとき、私はいたたまれなくなる。

「カレーとラーメン。どんなおいしいこだわりのお店に入っても、
店員さんの情熱が別次元のものに見えると、安心をする。」


◾️雑感

日常で、空気のように流れている出来事や感情。
パフェは食べ物の天才とか、大人は温度を食べているとか、
ハムが広義すぎてついていけないとか、
友達の母親オリジナルスイーツ感が強いコメダ珈琲のあれとか、

私もその食べ物を目の前にしたとき、
0.5ミリくらいは同じこと思ったのかな。

最果タヒさんには10センチくらいの出来事に感じられていて、
自分の中にも0.5ミリは同じ部分があったから、
その記憶が文章でほりおこされて、
あぁ、わかる。って思い出してる。

・とりあえず3振りふりかけてる味の素とか、
・1リットル100円の水と、500mℓ110円の水が
 コンビニの同じ棚に置かれてることとか、
・本物のトリュフはそうでもないのに、
 トリュフ味のナッツとポテチを好きな事とか

自分の中のうすい0.5ミリくらいのやつ思い出した。
この本読まなかったら、掘り起こしてなかった。
なんだか素朴で好きになった。


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