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新人病院薬剤師になる方へ

3月末にスペースを行ってからだいぶ時間が経ってしまい、大変申し訳ありません。来てくださった方は、ありがとうございました。
終わった後、DMを下さる方もいらっしゃってとてもうれしかったです。
今回は、スペースでお話しした内容を書いていきたいと思います。

お祝い

まずは、第107回薬剤師国家試験合格おめでとうございます!!
今年もコロナの影響で、勉強だけでなく感染対策にも注意しないといけなくて、大変な1年間だったと思います。そんな中、しっかり勉強の成果を出して合格された皆さん本当に素晴らしいと思います!!

さて、4月から新人病院薬剤師になる方は、病院薬剤師1年目がどんな感じなのか希望と不安でいっぱいだと思うので、私のこの1年間を紹介させていただきたいと思います。
※病院によって新人研修カリキュラムや業務の流れが異なるので、参考程度に読んでいただけると幸いです。

1.病院紹介

初めにいろいろお話する前に、働いている病院について身バレしない程度に紹介させていただきます。
私が勤務している病院は、中規模の急性期の総合病院で、薬剤師は20名ほど常勤しています。外来院内処方は週に3~4件(院内製剤)ととても少なく、入院患者さんの処方中心のため、調剤室はピリピリ殺気立っていないので落ち着きます(笑)

2.1日の流れ

具体的な1日の流れは、

朝ミーティング→ 調剤室・ケモ監査(30分〜1時間)→ 病棟業務 or ケモミキシング → 注射監査(30分)→ 病棟業務

このような流れで、1日のうちに様々な業務を行います。

3.1年目の流れ

4月:入社式、新人研修(1週間)、調剤室(1か月)
5月:倉庫・院内製剤(2週間)
6月:注射、ケモ監査/ミキシング(1か月)
7月:麻薬・抗精神病薬管理(1か月)
8~9月:調剤監査試験、調剤監査(1~2か月)
10月:まとめ(中央業務すべて)、日直
11月~:病棟業務、日直、当直

どの業務も初めの1週間は、独り立ちするまで先輩の見守り付きで業務を行っていました。ただ、1か月で独り立ちを目指すので、ちょっと慣れてきたかなと思うと次の新しい業務が始まるので、心にゆとりができず苦労しました。

4.最初にぶつかる壁(7つ)

①    人間関係
やっぱり最初は薬剤部内の人間関係に苦労しました。
コロナ対策のために歓迎会はなく、昼食は黙食、人が密集しないように時間帯をずらして食べるように言われていたので、先輩方と話すことがなかなかできなくて。話したい気持ちはありつつも、業務中は慣れないことの連続で、先輩と話す余裕がなくて、かなり心細かったです。
ただ、1年たって少しずつ話せるようになったので、焦る必要はなく、時間をかけても大丈夫だと思います。
※ここだけの話、私自身業務のことしか先輩に聞かず、静かに黙々と業務をこなしていたので、先輩曰く少し怖かったそうです(笑)
「話してみるとそんなことなかった(笑)」って言ってくださったのでよかったのですが、やっぱり少しはいろいろ話す努力をした方がいいと思います(笑)

②    薬局内規
内規は調剤上の約束事項のことなのですが、これを覚えないと仕事になりません。ただ、内規は実際やってみないとわからないし、イメージするのが難しいこともたくさんあります。そのため、初めてやることは先輩に確認をしながら、やり方を教えてもらって、メモを取って、次やるときはメモを確認しながら業務を行っていました。

③    電話対応・疑義照会
次の関門は電話対応です。みんなぼそぼそ話すため聞き取りにくかったり、聞きなれないことを話されるということもあって、どこから何の用件で電話をかけてきているのか聞き取るのが大変でした。
さらに、どんな用件の電話が多いのかもよくわからないため、電話を取るのが恐怖でした。
ただ、電話対応が始まると私が出ない限り電話が鳴り続ける(みんな私のために出てくれない(笑))ので、どこにいても3コール以内に取るようにしていました。
慣れてくると、病棟からは調剤の依頼・配合変化の確認、医師からは処方受付解除依頼、代替薬の問い合わせ、院内採用の確認、入力の方法など、卸からは欠品の連絡、外部薬局からは疑義照会、メーカーからはアポ依頼・確認など、グループ病院からは在庫薬の確認の電話などが多いことがわかったので、少しずつ心に余裕が持てるようになりました。

④    処方監査
どの業務を行うときも、最初の関門は「処方監査」です。これがなかなか大変で、添付文書よりも少ない or 多い用量の処方も度々(代表例:サムスカ、抗精神病薬など)。Rpの数も多く、何の疾患なのか、用法用量、禁忌、相互作用などないか、最初のうちは確認に時間がかかりました。

処方監査は、用法用量・相互作用だけでなく、どのように調剤するか、調剤上問題ないかもしっかり考えないといけないです。具体的な例は下記に示す通りです。
調剤:一包化・半錠可能か
水剤:遮光・原液調剤の有無
軟膏:混合可能の有無
散剤:薬剤の粒形によって混合可能か・2度まきの有無・着色の有無でどうやればスムーズに調剤できるか
注射:投与ルート、速度、配合変化
ケモミキシング:各薬剤のミキシングでの注意事項の暗記

⑤    多重業務
ずっと1つの業務に集中していられるわけではなく、調剤・監査中などに電話や来客(伝票請求、麻薬返却)の対応をしなければならないことがしょっちゅうあります。それも1、2件に留まらず、複数対応しないといけないことが多々あります。最初のうちは軽いパニックです(笑)

対応後、元々やっていた業務に戻れるように、頭の中を整理したり、その場から離れるときに何をやっていたかわかるように目印をつけたり、PC作業中の場合は保存してからその場を離れたり、いろいろ工夫する必要があります。

作業を中断し、時間が少したってから再開するため、確認を怠るとインシデントが起こる可能性が高くなるので、ミスをしないためにどうするか予め手順を整理しておくことがとても大切です。

⑥    ヒヤリハット・インシデント
最初のうちは慣れていないためミスをしやすいです。
初めてやる作業は必ず先輩にやり方を教えてもらい、やり方を確認することが大切です。少しでも疑問や不安に感じたときは、そのままにせずに必ず先輩に相談することが大切です。
忙しそうにしていると遠慮しがちですが、ミスをした後の対応の方がもっと大変なので、そこは心配しなくて大丈夫です。
いろいろ質問するのは1年目の特権なのでどんどん先輩に相談しましょう。
※ただし、同じ質問は繰り返さないようにしっかりメモを取りましょう。

初めてインシデントを起こすとメンタルやられますが、同じミスを繰り返さないためにはどうすればいいのか考えることがとても大切です。
自分の中で、確認ルーティンを確立させて、そのルーティンを確実に守っていけばミスは減ります。

⑦    体調管理
当直があったり、休日出勤があったり、休みが不定期になります。
慣れない仕事でストレスも多くなり、体調を崩しやすくなります。
遅くまで残業したり、退勤後自宅で遅くまで勉強したりなど、無理は禁物です。最初から、手を抜く方法を考えるのはよくないかもしれませんが、程よく手を抜くやり方を身につけましょう(笑)
あとは、ストレスを発散させる方法を考えるのが大切です。

5.仕事を始めるうえで重要なこと(8つ)

①    挨拶、返事は相手に聞こえる声(ハキハキと)で、薬剤部・その他よく顔を合わせる人の名前はできるだけ早く覚えて名前(○○さん)で呼ぶ
②    メモをとる
③    先輩に確認する(最初のうちは自分一人の判断でやらない)
④    わからないことは必ず調べる
⑤    わからないことは正直にわからないという
⑥    頼まれたことは必ずメモを取って復唱する
⑦ 何か教えてもらったら、感謝の気持ちを伝える
⑧    報連相は必ず(些細なことでも)

基本的な事項が多いですが、とても大切なことだと思います。

6.1年目にやっておくといいこと

①    基本的な業務を覚えて、できるようにする
②    人間関係構築
③    体調管理
④ 単位取得(日病薬や生涯研修認定薬剤師)
→日病薬(日病薬病院薬学認定薬剤師)の単位取得(最低10単位)
 過去3年通算50単位以上(6年更新)、毎年度最低10単位以上取得が必要
※生涯研修認定制度による認定薬剤師(40単位、3年更新)

1年目は、基本的な業務に慣れて、できるようになることを目指すだけでもいいと思います。これが結構大変なので。
日病薬の認定は、様々な認定・専門薬剤師の受験資格として必要になることがあります。ただ、毎年度最低10単位以上取得しないと1年と換算されないため、1年目から単位を取得しておくといいと思います。
病院で紹介される勉強会だと無料で単位取得できることもあるので、毎月何かの勉強会に参加してみるのもいいと思います。

7.薬剤師の必需品/あると便利な物

必需品
 調剤印(支給されるかも)、印鑑、訂正印、ボールペン、マッキー、ハサミ、電卓、メモ帳(まとめ用、雑に使っていいメモ帳)

あると便利な物
輪ゴム、クリップ、電子マネー、絆創膏、ハンドクリーム、輸液換算表など

8.おすすめの参考書

おすすめの参考書についてよく質問いただくのですが、積読が多くて(笑)
1年間で20冊近く購入したのですが、その中でもわかりやすくて使えたものを下に書きました。

調剤業務:今日の治療薬、同種同効薬の使い分け(月間薬事)、しくじり処方提案

注射業務:根拠からよくわかる注射薬・輸液の配合変化(羊土社)、エキスパートが教える輸液・栄養剤選択の考え方(羊土社)

病棟業務:薬歴・指導記録の書き方(南山堂)、各疾患のレジデントマニュアル

以前tweetしたものを下に添付します。病院薬剤師向け・薬局薬剤師向けで分けています。

最後に

今回も最後まで読んでいただきましてありがとうございました。
本当はもっと早く仕上げたかったのですが、4・5月ちょっぴり病んでいました(笑)
定期的に病む時期があるのでどうにかしなきゃなと思うんですけどね。

1年目の皆さんも疲れとストレスが溜まってきている頃だと思うので、無理しすぎないで休む時は休んでくださいね。

最初から完璧にできる人はいません。
失敗しても大丈夫。
次に生かそう!!

の精神で生きましょう。

では、また次の記事でお会いできるのを楽しみにしています。



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