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第5回20代104会議「投資の話 お金についてスペシャル~みなさんの手で投資教育を変えてください~」④

前回までの記事では、信託銀行4行の投資教育の一部を解説し、20代からの率直な感想も掲載してきた。今回は20代が「私なら投資教育こうする!」という提案を、5つのチームに分けて発表してもらう。
 
なお、前述した信託銀行の投資教育については過去3回(三井住友信託銀行みずほ信託銀行りそな信託銀行と三菱UFJ信託銀行 )に渡り記載している。気になった人は読んでみてほしい。

1.金融教育の別ブランドを立ち上げ、気軽に相談できる窓口を作る

一つ目のチームは「もっと気軽に投資について相談に行ける窓口を作ろう」という思いのもと、「金融教育を専門としたブランドを立ち上げてみては?」という提案だ。
 
例えば保険業界では『保険の窓口』という、個々の保険会社と離れたブランドが存在している。商業ビルや駅前など、ふらっと立ち寄れる場所で見かけたことがある人も多いのではないだろうか。このように各々の会社から離れたブランドを作るべきだ、とこのチームは主張する。なぜなら、本来相談窓口であるはずの銀行に行くということは、ハードルが高いからだ。
 
「銀行ってドアをくぐると預金窓口とか貸付とかをやっている窓口はあるけど、相談窓口があるイメージはない。その相談窓口をもっとアピールすれば、銀行でもできることはあるのでは?」と発表者は語る。 しかし銀行には堅苦しいイメージがつきまとう。預金や貸付以外で足を運ぶには、気が進まない人の方が大多数だろう。

よって、このチームは「銀行が金融教育を行う別ブランドを立ち上げてしまえばいい」と提案する。そうすれば相談窓口に対するハードルが下がり、もっと気軽に投資に興味を持ってもらったり行動に移したりすることができるのではないか? ということだった。

2. DCの説明を金融機関が行い、同僚に聞いて共有する場を設ける

次のチームは「会社向けに確定拠出年金の説明をする際、金融機関に説明をしてもらう。そして、自社の上司や先輩などの同僚に質問をして、共有する場を設ける」と提案する。
 
「新卒のときに人事が確定拠出年金の説明とかをしてくれたけれど、人事は専門性も多分ないので、全然わからなかった。ちゃんと考えたほうがいいんだろうなと思って、調べないと…と思ったまま、7年が過ぎてしまった」 というリアルな声も、発表者からは飛び出した。
 
たしかに確定拠出年金の説明会後、「やらなきゃな」と思ったまま時間が過ぎる方は少なくないだろう。私たちには仕事があり、プライベートがある。時間を捻出するのは、正直めんどくさい。じゃあどうすれば時間を捻出できるようになるのか?
 
このチーム曰く、「周りの人に聞くことが、動機づくりの近道」と言う。まず企業向けの説明会で、金融機関から一通り説明してもらう。そこで。「身近な先輩に資産形成をどうしているか、2,3人に聞いてきてください」という宿題を出してもらうのだ。


確かに「資産形成、どうしている?」と話し合う機会は少ない

聞いてくるだけではなく、お互いに聞いてきたものを共有会で発表しあう。「自分はどうしていきたいか?」ということも発表には含まれる。同じ会社の人の想いを知ることで、モチベーションにも繋がるというものだ。

3. 小学生から、人生ゲームを使って金融教育を行う

次は「洗脳は早いうちから」という発言で、場を沸かせたチーム。小学生という早いうちから金融教育をした方が、長く定着するのでは、という考えのもとだ。
 
しかし、小学生に一方的に金融の話をしても定着しないだろう。だから小学生に好まれがちな『ゲーム』という体験を元に、投資を楽しんで知ってもらってはどうか? と、このチームは考えた。そこで出てきた提案が、お金の出たり入ったりを経験できる『人生ゲームウィズ〇〇銀行』だ。
 
この人生ゲームでは、もちろんルーレットを回す。しかしルーレットを回すには1000ドルかかる。そのルーレットを回して先に行くか、それとも投資に回すか、選択できるのだ。


人生ゲーム、大人も楽しめそう!

もちろん、ガンガンお金を使って先にゴールするという手もある。コツコツお金を貯めていたら、最下位でゴールをするかもしれない。しかしゴールした時に蓋を開けてみると、「最下位でゴールした人間が一番お金を持っていた」という結論が待っているかもしれない。
 
このゲームの肝は『投資が一番良い』というメッセージを伝えることではない。「自分はどういう生き方が向いているのか?」と、小学生の時から少しずつ学んでいくということだ。

4.従業員のライフイベントごとに投資を推奨するスキームを作る

次のチームは「まず社内で結婚や出産、異動や海外渡航などライフイベントが起きた時に、投資と繋げるように会社で促すようにする」と提案する。
 
投資に関心がない人はどんなにこちらが頑張っても、投資を学ぶコンテンツにたどり着かない。ある程度強制力をもって投資をするように会社から働きかけてあげて、その先に魅力的なコンテンツを用意するべきだという。
 
ライフイベントが起こると、投資に興味があるなしに関わらず、必ず人事部への届出が発生する。「出産したからどう学費を貯めれば良いか?」「海外渡航に向けてどう資産を管理すれば良いか?」など、ステージによって違うだろう。一方で人事部が全て把握しておくのも難しい。そのためニーズ別に動画を作っておいて、登録があった際にすぐ案内できるようにしておくのだ。
 
しかし投資をやる気になっても、次のステップで挫折してしまうかもしれない。投資の商品や種類はものすごく多いからだ。

種類だけでこんなにある。
引用:アセットマネジメント One『まんがで学ぶ福利厚生読み解く本(導入編)』

そこで面倒な手続きを極力減らし、開始年齢や家族構成に合わせて、商品をある程度、見立ててあげる。そんなパッケージがあれば投資へのハードルが下がるのでは、という案だった。

5.投資経験者である大学生に、企業で講演してもらう

最終チームは「投資経験者である大学生を、企業で講演させてみては?」と発表する。
 
まず金融機関が大学生に金融教育をしっかり早い段階から行っていって、金融の知識が高い若者を早期に育てていく。これは都心に限らず、地方でも良い。地域の金融教育プログラムの一環として組み込んでいくのだ。
 
次にその大学生を企業に派遣させる。新入社員研修だとかそういった場で、金融教育の公演を行ってもらうのだ。肝心なのは、プレゼンターが大学生、つまり自分より若い者だということだ。
 
「新入社員とか若手社員のプライドとしては、自分よりも年下でまだ学生の子がすごく知識があって、もうこんなに資産形成してるっていうのを聞くと、やばいって思う人が多いと思います」とチームは語る。
 
危機感を煽ったところで、ちゃんと不安を解消できる解決策も用意している。研修には金融機関の方たちにも来てもらい、すぐ彼らに相談できるようにしておくのだ。産学連携にも地域の活性化にもつながる、まさに『三方良し』のプログラムである。
 
以上が信託銀行の投資教育の一部を受けて、「私なら投資教育こうする!」と思った20代の発表だった。「なるほど」と 思うようなものばかりで、信託銀行の皆さんを含む会場からは感心の声が漏れるばかり。彼らが大きくなったらどんな金融教育が行われる世の中になっているのか、今から楽しみだ。

次回もお楽しみに! ※写真撮影時のみマスクを外しています

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