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痛い。でも歩かないと帰れない

靴下がまともに履けない。



出勤前の朝、ドアで足の小指を挟んだ。

痛みはあったが、そのうち落ち着くだろう。
よくあることだ。
とさほど気にしてなかったが、ジクジクしてきた。もしかして出血してる?
なんて思い恐る恐る覗き込んだ。

出血はしてないが、見事に腫れていた。

どうしよ、どうしよ。

湿布?と思ったが、あいにくそんなものないので、絆創膏を貼った。固定が大事だと思った。

家を出るまであと15分。
これは打撲だろう。歩けなくは無さそう。
大丈夫。

用意していた靴下を履こうすると
小指にかつてない激痛が走った。

いたい、いたい。

とてもじゃないが無理。

とはいえ職場で素足で行く訳にもいかない。
鞄にひとまず仕事用の靴下を突っ込み、柔らかい靴下と靴をなんとか潰すように履いて家を出た。

小指が大地を踏みしめる度に痛む。
だが、歩けてしまうから歩くしかない。


変な歩き方だと余計に痛くなるから、なるべく衝撃を与えないようにゆっくり、ゆっくり。

なんとか職場に着き、もう一度足を見ると、さっきより膨れていた。色も変わっている。

すぐに病院には行けなかったが、なんとかその日に行けた。


「あ、もしかしてヒビ入ってるかもね」

レントゲン写真を診てもらい担当医に告げられた一言。

え?歩けるのにヒビ?打撲じゃないの?

私の中で疑問符が飛び交う。

どうやら部位によってはヒビでも普通に歩けてしまう。私の場合はまさにそれだ。
よくわかってなかったが、ヒビも骨折になるらしい。

特にギプスとかすることもなく、湿布と痛み止めを処方されて終わった。

その日も暑かったが、暑さよりとにかく痛みがつらかった。

公共機関は電車のみ。バスはほぼ通らないし、タクシーなんて選択肢もない。


私は車は持たないから歩くしかない。
通常の2倍くらい時間かけて帰った。

『痛いことはしないでください』
と言われたものの歩くことすら痛いのはどうしたらいいのやら。

それから2週間近く経過した。
まだヒビは入ったままだ。
完治は一ヵ月くらいかかるかもしれない。

足に優しい生活を。
普通に歩ける喜びを早く味わいたい。






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