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ループものの面白さ全部詰まった作品『運命の巻戻士』

・この世界で1番アツい題材といえば、タイムループ作品だ。作者の人生観だったり、時間の捉え方、圧倒的絶望からのカタルシスを味わうことができる。今日はたまたまXで流れてきた作品を読んで衝撃を受けたのでこの記事を書いています。

・それが木村風太『運命の巻戻士』。月刊コロコロコミックで連載中の漫画だ。
 あらすじは以下の通り。

 主人公クロノは時空警察特殊機動隊の新人隊員。任務は非業の死を遂げた人々を救うこと。唯一の武器は、右目のタイムマシン“リトライアイ”。「巻き戻しリトライ」と叫ぶことで体力の続く限り何度でもやり直すことができる。ただ、既に決まった未来を変えられる確立は100万分の1。そう簡単に未来は変えられない。
 何度失敗しても諦めないクロノと仲間達の最高に熱いループ漫画!!

・コロコロは今まで読んだことが無かったので、子どもが読むやつだしな……という先入観マシマシだった。でも読んでみて驚いた。面白い。
 クロノは妹を亡くしており、妹を救うために巻戻士になったという過去を持つ。それだけで応援したくなるのだが、「正義感の強かった妹ならきっとこうする」といった感じで関わった全ての人を傷つけまいとする。巻戻士の任務はターゲットである人達を救うだけでいい。しかし、クロノはターゲットではない人や鳥といった生き物までも傷つかない方法を探る。当然、その度にやり直すので試行回数は膨れ上がり、毎回瀕死ギリギリになる。それでも何度でも立ち上がり、「見つけた……攻略未来クリアルート!!」といって事件を解決する。カッコイイ。
 
 タイムループ作品で、決め台詞がある作品も良い。無くてもいい。ただ、あると「ここから逆転するよ。」が分かりやすい。

・もちろん、現実ではギリギリ不可能か……?というアイデアも登場する。ただ、それは子ども向けという目的を失っていないからだろう。そしてその現実に縛られない自由な発想が、堅苦しい運命を破る瞬間が気持ちいい。これが大人向けだったら、重苦しくて見ていられない可能性があるのでこれ位が良いと思う。

・この作品の他の特徴としては、右目が「開眼バージョンアップ」することで特殊能力を使うことが出来る所だろう。
 まず①について。巻戻士は感情の高まりが引き金となって、右目に電流が迸り、特殊能力が使えるようになる。それを開眼バージョンアップと呼ぶ。これがシンプルにカッコイイ。タイムループと組み合わせると結構ややこしくなりそうだけど、上手くかみ合っていて読みやすい。普通だったら攻略できない状況でも、特殊能力があることで、解決に向けて幅広い手段を取ることができる。さらに、能力を持つ仲間を増やすことで、より難易度の高い任務を登場させることができる。特殊能力があることで、この作品はより面白くなっていると思う。

・明確な敵集団が登場して、敵がタイムループして妨害してくるのも他にない特徴かな。敵はタイムループできる上に、特殊能力も持っている。ただでさえ不運で死ぬ人がいるのに、それを何度もやり直して妨害してくる奴がいる。そしてそいつは特殊な力を持っている。いくら何でもてんこ盛り過ぎだろ、と思うのだが、バランスが良いのですんなり読めてしまう。

・仲間に知られずに何度もタイムループする展開だったり、過去に戻って昔の知人を救うことで「実は元から知り合いだった」みたいな展開があったり、何度やり直しても救えなかった過去があったりと、「タイムループ作品の好きな展開」が全部詰まっている。面白い。

・今日の23:59分までは全話無料公開しているみたいなので、是非。単行本も買おう。

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