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▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼     (15)チガイがわかる・おもしろ日本語入門   ▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△

    第二章 日本語ミステリー劇場

          その9、 ヘンテコリン形容詞を解明する! 

          souy

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元NHKアナ、民放キャスター、はたまた講演講師や大学
講師などを遍歴して、その後突然スペインのバルセロナに
移住して、早や18年。
著書(最新刊)『熟年夫婦の行き当たりばったりスペイン
移住記』(地球の歩き方、ダイヤモンドビッグ社)
他に『NHKはもういらない』(三一書房)
  『勉強っていやいやするもの?』(大日本図書)
  「脳みそのほんとうの使い方」(日科技連出版)など
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お元気ですか? 前回は日本語の形容詞には2種類あることをお話ししました。そう、最後が“い”で終わる日本語本来の《オリジナル形容詞》と、表現を広げるため後からつくり出した多種多彩な《コピー形容詞》でした。


       (2)《コピー形容詞》の生い立ち


今回は予定を変更し、その一つ《コピー形容詞》を、もうすこし詳しく観察してみることにしましょう。《形容詞》と《形容動詞》は次回にお届けさせていただきます。

それにしても《コピー形容詞》は、一体どのようにして生まれてきたのでしょうか。

すでにお話ししたようにこの新型の形容詞は、以前は名詞だったもの、あるいは名詞と仮定された外国の言葉などを、日本語的に形容詞化させていったものでしたね。


              “色”と“色々”?

ちなみに“色”という言葉について考えてみましょう。英語で言えば“the color”、
明らかに名詞ですね? では色を2つくっ付けた“色々”という言葉はどうでしょう? そう、これも名詞。“variation”と訳してもいいでしょう。“色の色々”とはつまり、“color’s variation”。2単語が“の”で繋がるのは、双方が名詞である場合です。

けれども“色々”は名詞であると同時に、今や形容詞的機能をもち始めています。その証拠に、順番を反対にした言葉“色々の色”は、少し妙な感じがしますね。そうです、もはや一般的に“色々な色”として使われ始め、英語の“various colors”に相当する形容詞化(コピー形容詞化)が進んでいると考えられます。


          “静寂な海”? “危機一髪な女”?

この2つの言葉はどうでしょう。なんだか響きがしっくり来ませんね。 ということは“静寂”も“危機一髪”もまだ形容詞化しておらず、したがってサスペンスドラマや映画やのタイトルは、“静寂の海”や“危機一髪の女”と、名詞と名詞の結合にせざるをえないわけです。(笑) 

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              「?危機一髪な女?」

けれどもいつの日か、題名が“静寂な海”や“危機一髪な女”なんて映画が公開される
ことだって、ないとはいえません。 まさに日本語は、日々生きているのです。


         “馬鹿の映画”? と“馬鹿な映画”??

映画ついでにこんなタイトルも考えてみましょう。“馬鹿の映画”ってどんな映画?
ハハ、たとえば私が主人公の映画。つまりオバカさんを描いた映画ってことですよね。じゃあ“馬鹿な映画”とは?? そう、映画の内容はともかくとして、その映画自体がバカバカしいもの、みたいなニュアンスですね。 

つまり“馬鹿”という言葉は、名詞でもあり形容詞(コピー形容詞)でもあります。
そしてそれぞれの意味合いは、こんなふうに違ってくるわけです。

私たち日本人はこのようにして日本語ばかりか“ワンダフル”や“リッチ”など多くの
外国語までも形容詞化することで、微妙なニュアンスの違いを楽しんできたのです。 日本人とは、なんと感性豊かな民族なのでしょう。


       《オリジナル形容詞》と《コピー形容詞》の見分け方


最後にちょっとおさらいしておきましょう。文章に登場するさまざまな形容詞の中で、どれが《オリジナル形容詞》で、どれが《コピー形容詞》なのでしょうか。 外国人にとっては、なかなか頭の痛い問題です。

でもそれはきわめて簡単、形容詞の最後が“い”なら《オリジナル形容詞》、そうで
ないのが《コピー形容詞》でした。そして《コピー形容詞》には“な”をつけなければなりませんでしたよね。


          “きらい”、“きれい”、“かれい”・・・

でもいくつか例外があります。 それはごく僅かで、“きらい(嫌い)”と“きれい
(綺麗)”、かれい(華麗)などです。これらはたまたま最後が“い”だったもので、日本語を学ぶ外国人にとっては、当面この程度で充分でしょう。これらはたとえ最後が“い”であっても《オリジナル形容詞》ではなくれっきとした《コピー形容詞》です。必ず“な”を付け加えなければなりません。「嫌いな食べ物」、「綺麗なハンカチ」、「華麗な宮殿」などなど、忘れないでください。


        どーです、なにもムズカシイことはありませんね?

《オリジナル形容詞》と《コピー形容詞》の違いはおわかりになったでしょうか?
では次回は《形容詞》と《形容動詞》について考えていきましょう 。お楽しみに!!


                 
ーーー 次回は第16回、 第二章 日本語ミステリー劇場
  
            その10、ヘンテコリン形容詞を解明する!


         (3) 《形容詞》と《形容動詞》の混乱?
             "adjective" and "adjectival verb"

 を、お届けするつもりです。

              ▽    ▽

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(日科技連出版社)〈こちらは一応ビジネスマン向けですが、やさしいです)〉
また姉妹編《マスターズ編》も出てます。書店になかったらお取り寄せください。

◎ 『勉強っていやいやするもの?』(大日本図書)
   〈中高校生向けですが、‘哲学’についても、やさしく解説しています〉


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