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▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼    (31)チガイがわかる・おもしろ日本語入門    ▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△

               souy

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      元NHKアナ、民放キャスター、はたまた講演講師や大学
      講師などを遍歴して、その後突然スペインのバルセロナに
      移住して、早や20年。
      著書(最新刊)『熟年夫婦の行き当たりばったりスペイン
      移住記』(地球の歩き方、ダイヤモンドビッグ社)
       他に『NHKはもういらない』(三一書房)
         『勉強っていやいやするもの?』(大日本図書)
         「脳みそのほんとうの使い方」(日科技連出版)など
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第三章 日本語、コノ表現 & その極意!!

       その15、赤、青、黄色のヒミツ?(色の形容詞)


今回は少しばかり色についてお話してみましょう。ご存知かもしれませんが、外国人が日本に来てビックリすることの一つが、私たち日本人のフシギな色彩感覚なのだとか。その中でも彼らが真っ先に挙げるのは、道路に設置された交通信号に対する疑問です。

    なぜ日本人は信号の色を“あか”“あお”“きいろ”と言うのか?

       あれは“あお”じゃなくて、“みどり”でしょ!?

はい、どう見てもあれは緑色です。でもじつは学校の先生まで「青信号を渡りましょう!」と子供たちに教えているのです。だからといって、けっして大多数の日本人は色盲などではありません。日頃から習慣的に、緑色を“青”と呼ぶことが多いのです。

           信号の色ばかりではありません。

昔「青い山脈」という歌があったように、みずみずしい山の緑を「青々している」と表現してみたり、緑色のリンゴを“青いリンゴ”と呼んだりしますし、また“青汁”や“青虫”や“青しそ”なども明らかに緑色のはずです。「青々とした緑」ともなれば、もしや書きマチガイではないかと思えたりもします。

(これが青い? 山脈)

たぶん日本人にとっての基本色は4色。赤と青と白と黒(白と黒を色と考えればの
話しですが)だったのでしょう。 そしてそれ以外は色の名前がなかったため、何らかの自然界の物や現象を使ってそれぞれの色を言い表していたと考えられます。

            例えばこんなぐあいです。

“緑色”は、緑(新芽や若い枝)の色。“紫色”は、紫(ムラサキ科の多年草)の色。
“橙(だいだい)色”は、橙(ミカン科の柑橘類)の色。“茶色”は、お茶の染み込んだ布の色、“茜色”は、薬用・染料植物であるアカネの根で染めた沈んだ赤い色
・・・、というわけです。(ただし“黄色”には諸説あって、“黄”が何だったのか、
いまだにその語源ははっきりしないようです)

    それでも信号を“緑”と言ってもいいんじゃないか・・、ですか?

はい、でも“緑”は色の名前ではありません。それは新芽や若い枝の色であるばかりでなく、ときには人の名前や地名だったりもするので、正確にはその後に“色”をつける必要があります。それではイチイチ面倒ですし、とっさの場合に使えません。

          でも理由はそれだけではないのです。

白黒を除いたすべての色は、2つのグループに分けられます。そう、暖色と寒色です。暖色は赤系、そして寒色は青系の色ですよね。その暖色の中には橙色や桃色(ピンク)、茶色、黄色などが含まれ、また寒色には紫色や紺色、緑色などが含まれます。

 きっと日本人はこの2グループの分類で色を認識していたのではないでしょうか。

そして赤と青は(白と黒を含めて)すべてが短い2音節の名前で、発音もカンタン、急ぎの場合にもコミュニケーションが容易です。幼稚園の先生たちも「みどりいろの信号を渡りましょう!」より「あお信号を渡りましょう!」の方が、児童たちの安全を確保しやすいはず。また赤青以外のもう一色にも、“オレンジ色”より短い“黄色”を使ったのではないでしょうか。 あくまで、私の推測の域を出ませんが・・。

          
        さて、少しばかり文法的に見てみましょう!

白と黒と赤と青、この4つは日本の伝統的な色の名前であり、同時にこの名詞はまた以前お話しした《オリジナル形容詞》に変化します。つまり“白い”“黒い”“赤い”
“青い”です。色の《オリジナル形容詞》は、基本的にはこの4つだけです。

“緑い”“緑色い”や“橙い”“橙色い”や“紫い”“紫色い”は存在しません。
というのも“緑”、“橙”、“紫”は本来、色の名前ではなかったからでしょう。

          ところがこれにも例外があります。

それは“黄色い”と“茶色い”です。この2色が一体どんな選挙運動を展開したのかは
わかりませんが(笑)、最近になってこの4色の《オリジナル形容詞》に特別に仲間入りしたようなのです。(そう、コトバは生きているんです!)

というわけで、現在《オリジナル形容詞》として次に続く名詞を直接形容できるのは“白い”“黒い”“赤い”“青い”と“黄色い”“茶色い”の6色です。
「白い犬」「赤いポルシェ」「黄色い悲鳴」「茶色い封筒」・・・、などですね。

          では、その他の色はどうでしょう。

それらはすべて名詞ですから、別の名詞と繋げるには助詞の“の”をつけなくてはなりません。 「緑色のスタンド」「紫色のネクタイ」「紺色の靴下」(「緑のスタンド」「紫のネクタイ」「紺の靴下」も時に使えます)などですが、例の新入生2色の場合は形容詞だけでなく、名詞を使った「黄色の傘」も「茶色の帽子」もまた正解です。

(もしかすると気がついたでしょうか?「黄色の傘」は「黄色い傘」でもオーケー
ですが「黄色い悲鳴」は「黄色の悲鳴」とはなりません。以前もちょっと触れましたがこれが《形容詞》と《名詞》の微妙なニュアンスの違いです。いくらか感覚的にでも理解してもらるといいのですが・・!)

     ここでちょっと《コピー形容詞》についてお話ししましょう。

じつは一部の色には、《オリジナル形容詞》だけでなく《コピー形容詞》になるものがあります。それは“白”“黒”“赤”“青”の基本4色だけで、とくにこの4色がきわ
めて濃い色の場合に使われます。
                
その4色とは“真っ白(まっしろ)”“真っ黒(まっくろ)”“真っ赤(まっか)”と
“真っ青(まっさお)”で、これらはなぜか《コピー形容詞》としての変化をします。つまり、“真っ白な雪山”“真っ黒なインク”“真っ赤なウソ”“真っ青な海の色”
などと、《コピー形容詞》特有の〈な〉を添えて次の名詞を形容するのです。

(《コピー形容詞》は決して外国の言葉をコピーしたものだけでなく、本来の日本語を変化させ改良していったものもあるようです。その変遷はじつに興味深いですね!)

       いろいろな色の形容詞、いかがでしたか?

            ではちょっと《形容詞》のおさらいです。 

英語やスペイン語など欧米語は、名詞、形容詞、形容動詞などの違いがはっきりしないことが多いようですが、日本語の場合は明確に区別して理解しておくことが大切です。とくに日本語の《オリジナル形容詞》は動詞のように変化するので、注意して下さい!

    以下は日本語クラスの生徒たちがよく犯す《基本的な間違い》です。

       ✖️ 昨日はとても寒いでした。

         ✖️ この本はそんなに高いではありませんでした。

       もちろんあなたは、こんな間違いはしませんよね?
  
  (第14回“ヘンテコリン形容詞を解明する!”を読み返してみて下さい)

           では、また次回をお楽しみに!!

                 
ーーー 次回は第32回 第三章 日本語、コノ表現 & その極意!!
  

               その16、究極のビックリ二重否定!?
                     

           を、お届けするつもりです。

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