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▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼    (32)チガイがわかる・おもしろ日本語入門    ▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△

               souy

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      元NHKアナ、民放キャスター、はたまた講演講師や大学
      講師などを遍歴して、その後突然スペインのバルセロナに
      移住して、早や20年。
      著書(最新刊)『熟年夫婦の行き当たりばったりスペイン
      移住記』(地球の歩き方、ダイヤモンドビッグ社)
       他に『NHKはもういらない』(三一書房)
         『勉強っていやいやするもの?』(大日本図書)
         「脳みそのほんとうの使い方」(日科技連出版)など
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第三章 日本語、コノ表現 & その極意!!

       その16、簡単ベンリ、動詞を名詞にするテクニック !


今回はとってもカンタン、覚えてお得なマル秘(?)テクニックをお教えしましょう。それは動詞や形容詞を、いとも簡単に名詞にしてしまう方法です。なぜか日本語学校やテキストではなかなか教えてくれないワザですが、知っておくとナニカと便利でーす!

      ◎ まずは動詞。3つの言語を比較しながら見てみましょう!

スペイン語の場合!ーーー たとえば“comer”というコトバは、日本語で「食べる」という動詞ですが、なんとそれは同時に「食べること」という名詞でもあります。ですからこれを動詞変化させた“Yo como Sushi.”は「私はお寿司を食べる」ですが、“Comer es importante.”となると、「食べることは大切だ」という意味になります。

一方、英語の場合!ーーー “eat”は単なる動詞で、名詞ではありません。ですから「私はお寿司を食べる」は“I eat Sushi.”ですが、「食べることは大切だ」となると“To eat is important.”“It is important to eat.”や“Eating is important.”などと、動詞“eat”を“to eat”や“eating”に変えて名詞化する必要があります。

          では日本語の場合はどうでしょう?

           〈1〉 動詞の不定形+「こと」

もうお分かりですね。日本語も英語と同様、「食べる」は単なる動詞です。名詞化するためには、そう、「こと」(英語の“to”)をつける必要があります。以前お話ししたように「こと」は観念的事象で、「もの」は実在する事物ですから、「食べること」は「食べるという行為」を指し示す名詞、というわけです。

あなたの人生、食べること!?

私達にとって「食べること」は大切です。中にはそれだけが生き甲斐という人もいるでしょうが、大切なことはまだ沢山ありますね。「飲むこと」「寝ること」「働くこと」「歩くこと」「遊ぶこと」「学ぶこと」「考えること」・・・、そしてかのハムレットにとっての究極の問いかけは、「生きること」と「死ぬこと」だったのでしょう。

ハハ、話がそれましたが、このようにほとんど全ての動詞に「こと」をつけることで、それを名詞に変えることが出来ます。つまり、動詞の不定形+「こと」、簡単ですね!

      ところが動詞を名詞化する、これとは別の方法があるのです。

           〈2〉 動詞の最後の“u”を“i”に変える!

そうです、それは殆ど全ての動詞の、最後の“u”を“i”に変えるだけでいいのです。
例えば、「行く」を「行き」に、「帰る」を「帰り」にするだけで名詞に変わります。こうすることで「行き」は“往”を、「帰り」は“復”を意味しますから、“往復キップ!”の替わりに「行きと帰り!」と言って、駅の窓口で電車の切符を買うこともできます。

行きと帰り(往復)

その他にも、「歩く」→「歩き」、「走る」→「走り」、「泳ぐ」→「泳ぎ」など、この動詞の名詞化方法はとても簡単です。もちろん「私は歩きが苦手です」や「彼の走りは最高です」、「この泳ぎはイルカからヒントを得たものです」のように、自由自在に文章を組み立てることも出来ます。気が付きましたか? たとえばこの場合の「走り」は、「走ること」というより「走るテクニック」や「走るフォーム」などを表しており、とても柔軟な表現方法です。状況に合わせ、自由に使ってみて下さい。

ただしこれには、ちょっとした例外があります。 それは、大分前に“奇妙な動詞”
としてご紹介した“○○る”型動詞の中の、『“る”捨て型』動詞です。

思い出しましたか? これらは日常生活によく使われる動詞で、「食べる」や「見る」、「起きる」や「寝る」、そしてちょっと特殊な「する」や「来る」などでしたね?

でも簡単です。『“る”捨て型』動詞はその名の通り“る”を捨ててしまえばいいの
ですから、「食べる」は「食べ」、「見る」は「見」、「起きる」は「起き」が、それぞれの名詞形になります。これで、全てのタイプの動詞の名詞形が手に入りました。

            何をかくそう、                  

 じつは、〈2〉のタイプの名詞化された動詞はなかなかのスグレモノなのです!

「行きと帰り」「読みと書き」「泣きと笑い」「見と聞き」など、名詞化した動詞を“と”でつなぐことも出来ますし、また多くの場合“と”を省略して「行き帰り」や
「読み書き」、「泣き笑い」、「見聞き」と縮めることで、少しばかりニュアンスを変えて楽しむことも可能です。    

例えば「彼の一生はまさに泣き笑いの人生でした」や、「あなたが日本で見聞きしたことは何ですか?」などにはいくらか詩的、または随想的な要素が含まれていますね。こういう感覚的な遊びは、英語やスペイン語にはちょっと難しいことでしょう。

これぞ、泣き笑いの人生?

                         ・・・
    さらに、〈2〉のタイプの名詞化動詞には他の使い道もあります。

まさしくこの“使い道”も、「使う」の名詞変化と「道」(ここでは“ road”でなく
“method”の意味)を組み合わせ、「使い方」と同じように、英語の“how to use”
といった意味合いを持っています。

またこれとは別の使い道として、冒頭では「こと」を使ったので、今度は「もの」と組み合わせてみましょう。「食べる」→「食べ」と「もの」をつなげ「食べもの」とすれば、英語の“food”になります。また「乗る」→「乗り」と「もの」をつなげれば「乗りもの」、つまり“vehicle”や“transport”になるのです。 カンタンですね!

さらに「買いもの」は“shopping”、「読みもの」は“book”“reading material”、
「書きもの」は“writing”、「見もの」は“spectacle”を表すこともできるのです。

     おっと、もう一つ別の使い方を忘れていました!

        今度は〈2〉のタイプを、動詞と結びつけてみましょう。

           
まずは簡単な動詞「行く」からーー 英語の“go to swimming.”を日本語にすると? はい、“to”は日本語で「に」、“swimming”は「泳ぐ」→「泳ぎ」でしたね。つまり「泳ぎに行く」が正解です。英語も日本語も表現のしかたがとても似ていますね。

じゃあ“go to see a movie.”はどうですか? その通り、「映画を見に行く」です。それでは、“go to shopping.”は? そう、これは「買いものに行く」。 でももし、“go to buy an apple.”なら、「リンゴを買いに行く」となるわけですね。そのほか「行く」以外のいくつかの動詞でも、同じように文章を組み立てることが可能です。

もちろん欧米語と日本語の間には微妙なニュアンスの違いがありますが、これらの
用法はかなり似ているので、きっとあなたにも覚えやすいはずです。もし気に入ったら自分一人で質問したり答えたりしながら、しっかりこのワザを練習してみて下さい!

     ◎ 最後に少しだけ、形容詞の名詞化についてお話しましょう。

形容詞を名詞に変えるのも、とてもやさしいです! 語尾が“i”のオリジナル形容詞
なら、“i”をとって“sa”を加えます。「やさしい」→「やさしさ」、「美味しい」
→「美味しさ」、「寒い」→「寒さ」というぐあいですね。また、一方のコピー形容詞の場合は、単に語尾に“sa”を加えればいいのです。「静か」→「静かさ」、「綺麗」→「綺麗さ」、「好き」→「好きさ」などです。

但しこれらの言葉が意味するのは、それぞれの形容詞のレベルや程度です。たとえば、「美味しさ」は〈どれほど美味しいのか?〉、「静かさ」は〈どれほど静かなのか?〉を表しています。 
英語では“ness”をつけて、“deliciousness”や“quietness”にしたりするようですが、日本語はそれよりずっとカンタンですね。

「安さバクハーツ!!」

そう言えば、この名詞化された形容詞はよくコマーシャルに使われます。食品の広告だったら「美味しさ百倍!」、電気用品の広告なら「 安さバクハツ!!」などなど。なかなかインパクトがありますね。 こんな表現、欧米言語にもあるのでしょうか?

           では、また次回をお楽しみに!!

                 
ーーー 次回は第33回 第三章 日本語、コノ表現 & その極意!!
  
               その17、「私は・・・“が”好きです!」
                     
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