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世界のルールとごっこ遊び

ひさしぶりに本棚の整理をしていて、以前はよく使っていた色鉛筆を見つけた。鳥の形のクリップ、正方形の単語カード、400字詰の原稿用紙も出てきた。なにか書いてもいいよ、と促されたような感じ。
最近はすっかりスマホかタブレットを使うようになったから、たまには紙と鉛筆もいいかもしれない。
原稿用紙に色鉛筆で、罫線を無視して絵を描くのも楽しそうだと思った。単語カードは試し描き用のノートになってもらう。

そのモノ本来の用途とは違った使い方をするのは楽しい。些細なことだけど、ルールを破ってしまったときの興奮がある。コップを鉛筆立てにしてみたり、箸置きをペン置きにしてみたり。

小さい頃は何かを別のものに見立てて遊ぶのが好きだった。ごっこ遊び。
クローゼットはどこか別の世界へ繋がっていたし、机の下には洞窟があり、引き出しの中には秘密のポストがあった。
部屋の中にシーツでテントを張って、お菓子を持ち込んでキャンプをした。夜はそこへ懐中電灯を持ち込んで、昆虫図鑑を開いては眺めていた。

今もそう変わらない。クローゼットの中には外国の曲だけを流すラジオがあって、引き出しのポストには5年前の私からの手紙が届く。
部屋の中を私の城に見立てて、玉座に座る猫を撫でながら、今日はなにをして過ごそうかなと考えている。

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