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柚子をきざむ ひたすらに

我が家のシンボルツリーは柚子の木だ。

シンボルツリーといえば、オリーブとか、ジューンベリーとかのように、洋風の木を思い浮かべるけど、我が家の小さな庭の真ん中には、どかんと一本、柚子の木が植わっている。

まさしくシンボルツリーと呼んでも、差しつかえはないやろう。

和風のシンボルツリーである。

その柚子の実が、今、文字通り鈴なりである。

しかも、今年は、小ぶりなだけに、数が多い。

寒空に、黄色い柚子の実が、えらくかわいらしい。

かわいらしいからこそ、美味しく食べなくてはという、使命感にかられる。

色づきの具合もちょうどよい今。

そう。この大量の柚子をなんとかしなくてはならん。

しぼるしぼる。

しぼって、はちみつを入れて、ホット柚子にして飲む。


しぼるしぼる。

しぼって、製氷機に入れて凍らせる。
いつでも、必要な時に使えるように。

きざむきざむ。
ざくざくきざむ。

種を取り、ざくざくとぶつ切りに。
それを、保存容器に入れる。
いつでも、とりだして、はちみつをかけて食す。
すっぱ甘いおやつになる。


しぼるしぼる。
きざむきざむ。
にこむにこむ。

しゃばしゃばから、とろ~りの柚子ジャムができがある。
それにしても、なんちゅう砂糖の量。
これは、食べるたびに、びびることになりそうやなあ。


台所には、柚子の香りが充満している。
シンクの中は、柚子のたねや搾りかすで、あふれかえっている。

さらに、柚子味噌、柚子胡椒、柚子大根、発酵柚子と、柚子づくしの作業はとまらない。
とどめは、明日の冬至に柚子風呂やな。


と、珍しく、ちょっとていねいな暮らし風を装ってみた。
YouTubeで見かける、ていねいな暮らしをされている方々の、穏やかな笑顔で、ゆっくりと作業をすすめる様子とは、えらくかけ離れているけど。
あちこちに、柚子の果汁がとびちり、搾りかすが散乱し、私の髪の毛もなぜか爆発し、なんか違うなあとは思うけど。

ただ、夢中になれたのはよかった。

友達の病状が芳しくなく、以前の同僚が一人で家で亡くなり、お世話になった大先輩も体調を崩し、なんだか、もの悲しい12月。
私の体調も低空飛行。

そんな時に、何も考えずに、ひたすら手を動かす。
頭も心も動いてなくて、ただただ手を動かす。

手を動かしていると、もの悲しさはなくなりはしないけど、しゃんとしていられる。
手を動かしだすと、次々とやることが出てきて、さらに動かすことになる。
ぼーっとすることもできない。
ため息をつくまもない。


ぼ~~~~っ。
はぁ~~~~。

しゃん。

それを繰り返しながら、年の瀬を迎えられたらいいな。





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