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サグラダ・ファミリア 見てみたいかも

滋賀県守山市にある佐川美術館に行ってきた。

ここは、大好きな美術館である。
その時々の特別展示も面白いが、常設展も大好きなので、いつ行っても楽しい。
特に、ヘッダーの写真にある池の真ん中の蝦夷鹿の彫刻には、毎回見とれてしまう。
佐藤忠良さんの作品だ。
同じリズムで流れる水の音を聞きながら、雄々しい蝦夷鹿を眺める。
入館する前から、もう心地よい。


今回の特別展は、ガウディとサグラダ・ファミリア展であった。

ガウディについても、サグラダ・ファミリアについても、名前を知っている程度で、詳しいことは何も知らずに訪れた。

とにかく、どえらいことをやってる人なんやなあ。
世界中の人々が集まって、時間なんて度外視で(まったく度外視ってことはなかろうが・・・。)、ひたすらに作り続ける。

そして、作られている建物もまた、どえらいもんやなあ。
こんなに丁寧に作っていたら、ちっとも進まないではないか。

妥協って言葉は存在しないのだろうか。

いついつまでに、何々を仕上げる。
そのためには、いつまでにこれをやって、これをやっていたら間に合わないから、ここを削って、それから・・・。

なんて、考えはないんやろうなあ。

必要なことは、必要な時間をかけて、ていねいに作業を積み重ねていく。
そりゃ、140年かかるわなあ。

それにしても、
設計の方法が、あまりにもアナログな発想なことにも驚き、
装飾品の細やかさに度肝を抜かれ、
膨大な数の模型の作成というていねいさにぶっとび、
ついつい作品ギリギリのところまで、近づいてしまう。

美術館の監視員さんの、視線がすごく痛かった。
すみませんでした。

サグラダ・ファミリア聖堂中央の最も高い塔となるイエスの塔は、2026年に完成予定だそうだ。

これは、ちょっと見たいかもと思ってしまった。

140年の歴史を見てみたいかも。

こんな建物がある町の人々は、どんな思いで生活を送っているのだろう。

日常ではあるんだろうけど、少しずつ出来上がっていくのを、何十年もかけて見守っていくなんて、それだけで、自分の人生を尊く思えてしまうんじゃないかなあ。

2026年には、是非とも、街の人々にインタビューをしてほしい。

「あなたにとっての、サグラダ・ファミリアとは?」

そんなベタな質問を、是非ともしてほしい。
想像もつかないような答えが返ってくるんじゃないやろうか。

そのためには、あと3年。
元気でいなくちゃ。
こんな何でもないことで、この先3年の時間を意識することができるなんて。
ガウディと私には、何の関係もないのにね。

140年からすると、3年くらいなんてことないか。


ちょうど、さっき読み終わった「成瀬は天下を取りにいく」の主人公・成瀬は、200歳まで生きることが目標らしい。

次々といろんなことに挑戦していく成瀬。

やりとげるのかというとそうでもなく、もういいかと切り上げ、次のことに挑戦していく。

友達と挑戦していたM-1グランプリも、一旦終わりにしようと勝手に自分でキリをつける。
坊主頭から伸ばしていた髪の毛も、3年は延ばして、伸びる速さの検証をするとか言っていたのに、あと半年ほどのところで、あっさり切ってしまう。

仲のいい友達からは、そういうところを、ほらふきなんて言われてしまう。

でも、200年かけて、そういうことを積み上げて行ったら、サグラダ・ファミリアになるのかもしれないなあ。

やり続けるってことのパワーが、成瀬からも、サグラダ・ファミリアからも、ビシビシ伝わってきた。

生き続けるってことも、やり続けるってことになるのかなあ。



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