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1000本ノックをしながら

運転中に爆笑しながら聞くラジオ番組がある。

疲れていても、あまりに笑い過ぎて、かえって元気になるくらい、毎回爆笑している。

ある時、その番組のゲストのお笑い芸人さんが、自分の子どもと遊ぶ時の話をされていた。

子どもと遊ぶ時に、子どもに合わせているだけやと、自分が面白くない。
でも、子どもって、いったん相手をしだすと、えんえんと同じ遊びを繰り返す。
それが嫌やから、たまに本気を出すらしい。
例えば、キャッチボールで、子どもに向かって、突然、思いっきり速球を投げるとかするらしい。
すると、子どもはもちろんびっくりするし、びびるし、おののくんやけど、
その後の返球は、これまでとは比べもんにならないくらいの、すごい球を投げてくると。
そこで、「なんやと~~」と、また大人げなく速球を投げ返す。

そんなことを繰り返すうちに、だんだんと子どもは、球の受け方や投げ方を、自分なりに見つけていくようで、上手になっていくんよなあと。

あの果てしない繰り返しの中で、なんか学んでいきよるんやろうなあと。

そんなことをおもしろおかしく語ってくれるので、大声で笑っていた私やけど、でも、これって、さらっとすごいこと言うてはるなあと思う。
子育てセミナーで話して欲しいくらいの内容ちゃうやろか。


我が子を育てていた時、そして、今、孫のお守りをしている時に、よくこの「果てしないコース」に入り込んでしまう。

喜ぶからつい何回もやってしまうけど、それが、えんえんと続くと、かなりきつい。

たかいたかい
に始まり、
いないいないばあ
や、
歌遊びにいたっては、声が枯れようが、
絵本読みでは、どんなに棒読みになろうが、
そんなことはおかまいなしに、「果てしないコース」は続く。


そんな時は、子どもや孫よりも、こちらのモチベーションをどう保つかが
一番のポイントになってくる。

はじめのうちは、

「えっ?もう1回?気に入ったん?」
とか言いながら、余裕で応じるけど、
それが、10回も続くと、
「えっ?まだ、やりますの?そろそろ飽きてきませんか?」
とか、ちょっとへりくだりながら、やめたい気持ちをにじませる。

それでも、まだ満面の笑みで催促されると、
「お客さん、すみません。もしかして、100回コースを選ばはりましたか?」
とか言ってみる。
もちろん、子どもや孫は、そんなセリフにはおかまいなし。
聞いてもいない。

なので、まだまだ、勢いよく催促が続く。
もうこちらは、くじけそうである。
腕が痛かったり、のどが痛かったり、面白くなくなったり、飽きてきたり。
もうやめたい要素だらけ。
でも、とてもやめさせてもらえそうにない。


は~~~。
もう、しゃあないなあ。
やるしかないんか~~~。



そう覚悟した瞬間に、

「わかりました。そしたら、1000本ノックさせてもらいますわ。」

と、言うことにしている。

もうええ。
どんときなはれ。
腕がちぎれようが、のどから血が出ようが、能面のような表情になろうが、心がバキバキ折れようが、もうええ。
きなはれ~~~~~。


実際に、1000本ノックとなることはないし、案外、覚悟をしたら、すぐに終わってしまうことも多いんやけど。

でも、その1000本ノックの間に、もしかして、子どもや孫は、いろんなことを試してるのかもしれんなあ。

楽しいことをしていると、ずっとにこにこしてるから、もしかしたら、笑顔を作るのが上手になってるかもしれん。
SNS真っ盛りの、これからの時代には、大事な技やな。


何回も催促しているうちに、自分の思いを上手に伝える技を身につけてるかもしれん。
そういうことが苦手で、損することがたくさんあった私からすると、めっちゃ羨ましいかぎりやわ。

やめようとすると、相手に合わせて、対応を変えるのも、これもすごい技術やないやろか。
ママには、すり寄って、抱きつきに行く。
ばあばには、眉を八の字にして、「あ~ん」と泣くまねをする。
じいには、もっているおもちゃを、投げつける。
すごい。
人を見る目が育ってる。
これは、社会で生きていくうえで、何より大事な力やんか。


1000本ノック おそるべし。


と、今日も子守りに呼ばれ、帰宅して玄関の鏡を見て愕然。
髪の毛には、なぜか米粒があちこちに。
腰痛予防のために腰骨に巻いたベルトは、なぜかウエストの位置に。
かばんは、ちゃんと閉めたはずやのに、なぜかあちこちのファスナーが開いている。
セーターの毛玉が、なんか目立ってる。
そして、そして、毛穴も目立ってる~~~~~。


やっぱり、1000本ノック おそるべし。

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