小久保隆さんと語る「人生100年時代」

 小久保隆さんへのインタビューの7回目で、人生100年時代の歩き方についての考えを聞いた。

 小久保さんはいま、山梨県北杜市武川町のスタジオで暮らしている。以前は、東京の自宅と武川町の2ヵ所で暮らし、活動する生活パターンだったが、新型コロナウイルスの蔓延で、東京と武川町間の移動がしにくくなったため、最近は、武川町の標高700メートルの山中で暮らす。昼間は自然の中で木工などで汗を流し、午後にネットを使って仕事。夜、音楽の制作に打ち込むという生活だ。

 ビジネスパーソンに求められる労働時間は通常、8時間だが、小久保さんは、「ITで生産性が上がっているので、今、真剣に取り組めば、従来8時間かけていた会社の仕事は2時間で終わってしまう」と言う。オン=緊張、集中の時間は2時間にとどめ、オフ=緩和、リラクゼーションの時間を6時間とることを勧める。

 実はこのリラックスした時間に、仕事のヒントやアイデアが浮かぶという。つまり、機械的に「8時間労働」などと言って、無理に緊張を継続していると、面白いアイデアが浮かばない、と言うのだ。

 ネットの恩恵は、もっとある。新型コロナで行動は制約されているが、ネットを使えば、海外の人とも仕事ができる。新型コロナで動けなくなっている小久保さんは、海外のクリエーターとコラボし、新しい音楽作品を作った。

 先に注文があって作品を作るのではなく、新しい作品作りに胸ときめかせて取り組んだら、面白い作品ができてしまったらしい。さあ、どうやって発表しよう? 従来にはない楽しい流れができているという。

 小久保さんは、若いころ、シンセサイザーを使った音楽に没頭したが、ある時、「これでいいのだろうか」と自問自答。海外ロケで、「鳥の声や波の音などの自然の音も、音楽の素材になるのではないか」と気づき、「自分探し」の旅でもある「ナチュラルクワイエット(人工音が混ざらない純粋な自然の音)探し」の旅を始めた。世界50カ国から、貴重な自然の音を集めた。

 その仕事がいま、いま、世界で評価され、様々なオファーが海外からあると言う。

 諦めない。常に新しい刺激を求める。迷ったら自分探しの旅に出る。小久保さんの人生は決して一本調子ではなく、いつも「揺らいでいる」が、そうやってまもなく65歳になる小久保さんは、いまも新しい地平に向かっている。

 詳しくは音声を聴いていただきたい。



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