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家族は小さなボートに乗って
最近、家族をボートのように感じるようになりました。
モーター付きの速いボートではなく、オールで進む小さな手漕ぎボートのイメージです。
小さな手漕ぎボートに乗った家族が、同じ方向に進もうと力を合わせてオールを漕げば、行きたい方向により早く進めます。
その場合、漕ぎ手の数は多いほど早く進むことでしょう。
反対に、漕ぎ手がどんなに一生懸命にオールをかいても、お互いの進みたい方向が違うとうまく進みません。
また、漕ぐタイミングが合わずにバラバラでも、お互いの漕ぎが水に抵抗を生んで、思うように進まないでしょう。
頑張って漕いでへとへとになって黙り込む船の中に、重苦しい空気が漂います。
こんな時は努力の報われなさに悲しくなってしまいます。
我が家もそんなうまくいかない時期が長くありました。
お互い、けっこう大変な思いをしたのですが、いまではずいぶんとボートの在り方が変わってきたように思います。
最近は、ボートはゆったりとした流れに身を任せ、どこか行きたいところがある人は、自分のタイミングでボートを飛び出し、自由に泳いでいくもよし、別の船に乗り換えるもよし。
ボートは水の流れに委ねながら、残ったメンバーでゆったりと漕ぎ、美味しいものを食べたりしゃべったりしてすごします。
ボートを飛び出した人が泳ぎ疲れて帰ってきたら、タオルや着替えを用意して、美味しいものを一緒に食べながら、旅先の話を聞かせてもらいます。
そしてまた、次に旅に出たい人が、行きたい方向を語ったり、相談に乗ってもらうことも。
関係性ってずいぶんと変わるものだなと思います。
家族の誰もがボートを飛び出して泳いだり、船で料理を作ったり。
自由自在に役割が変わる気ままなところが、いまの居心地の良さにつながっているのだと思います。
家族それぞれの年齢や性格や、置かれた状況によって、ちょうどいい家族の形は異なると思いますが、いまの私には、この乗り降り自由で気ままなボートの形がとても居心地よく思うのです。
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