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【最終回】私はFIREを目指さない。

日経COMEMOのKOL(キーオピニオンリーダー)に就任してから約2年。今回の投稿がKOLとしての投稿最終回となります。これまでご覧くださった皆様、ありがとうございました!最終回は、FIREについてのお話です。

■FIREとは

FIREとは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を取ったもので、「経済的自立」と「早期リタイア」を意味する言葉のこと

従来の「早期リタイア」との違いとして、FIREにおける経済的自立では、資産運用が前提となっています。若いうちに働いて投資元本を蓄財し、運用益で生活できる目途が立った段階でリタイアするという特徴があります。


■若いうちに稼いで早く引退したい?

今、多くの人が将来に不安を持っています。

年金が破綻するかもしれないのに社会保険料が徴収され、手取りが少ない。
物価が上昇しているのに給与が上がらない。
生活費が上昇しているが、これ以上節約も限界だ。

最近は多くの人が株や投資を始めており、順調に資産を形成できれば、一刻も早く会社なんか退職して自由に生きてやる!!!!と意気込んでいる方も多いのではないでしょうか。

もちろん、投資がうまくいったり、何らかの事業が成功したりして、40歳ぐらいまでに必要な金額を稼いで、会社員を辞め、穏やかに引退生活をされる方もいらっしゃるかもしれません。


■早期リタイアYouTuber

最近YouTuberやブロガーさんが、早期リタイアするためにやるべきこと!とか早期リタイアした生活を発信されているのをよく目にします。

YouTubeの企画・撮影・編集・配信というのは、想像以上に過酷な長時間労働を強いられます。有名なYouTuberさんには撮影スタッフや編集スタッフがいて、もはや企業化しているので、そこまで大変ではないかと思いますが、そこに行きつくまでは長い道のりです。それまでは、全て一人でやらなければいけません。

早期リタイアしているのに、そんな過酷な撮影や編集、配信をしている。
とすれば、既に労働を伴う仕事になっていると感じるの私だけでしょうか。

そうやって発信している人も、やはり収入がなくなることに不安を感じ、YouTubeで収益化し、働いていないように演じているという、もはや早期リタイアビジネスのようなものなのかもしれません。


■実際の早期リタイアって

本当の早期リタイアというのは、意外と質素だと聞きます。

どんなに倹約しても、質素に生活しても、生きている以上は必ずお金がかかります。生き方は自分で選べますが、いつ死ぬのかという死ぬ時期については、私たちには知る由もありません。つまり、何歳まで生き延びるのかは分からないのです。

今あるお金が毎日、死ぬまでずっと少しずつ減っていく。
毎日何もしていないから、時間だけはたっぷりある。
でも、周囲の人はみんな働いているし、友達も忙しくて一緒に遊べる人はほとんどいない。
遊ぶには余分なお金もかかってしまう。

それじゃあ、気楽なアルバイトでもしてみようか!と思い、週に2~3回アルバイトをすると、新人扱いされたり年下の上司に強く言われたりして嫌な気持ちになって続かない。

自宅でオンラインの仕事をすると、想像以上に運動不足になり、足腰が弱り、寝たきりになる生活が目に見えて恐怖がやってくる。。。

実際の早期リタイアって、こんな感じになるのではないでしょうか。


■なぜ早期リタイアしたい?

早期リタイアしたい人って、今の仕事が辛いのではないでしょうか。

やりたい仕事ではなかった
長時間労働
休みが取れない
人間関係が悪い
自分の力が活かせていないと感じる

「嫌なことから逃げる」ために早期リタイアを選択したいと思うのなら、それは再考の余地があります。早期リタイアしても、根本的な嫌なことからは逃れられません。

お金が減る恐怖や、社会から断絶されている孤独感が増すばかりです。運動不足になり、体重が増え、見た目に自信がなくなってから社会復帰をするのは非常に難しいと聞きます。

今の時代、転職がしやすくなりました。リカレント教育も普及し、大人になってから学びたいことを簡単にオンラインでも学べるようになりました。

早期リタイアに必要以上に憧れるのではなく、学びたかったことをもっと学んでみたり、得意分野を活かすような、もっとポジティブな「やりたい仕事を自由にするための早期リタイア」という考えを持つのはいかがでしょうか。


■やりたいことで十分に稼げるとは限らない

幼い頃から憧れていた職業や活動、趣味など、いろいろな「好き」があると思います。しかし一方で、必ずしも好きなことで稼げる訳ではないし、好きなことで生計を立てられる人の方が少ないのかもしれません。

生きていくには生活があるから、ある種の諦めと共に、就職活動や転職活動で何とか就職した先で、与えられた仕事を精一杯こなしていく日々になる人も多いと思います。


でも。


もし経済的に自由だったとしたら、やっぱり好きなことを仕事にしたいという本心もあるわけです。

どうせ働くなら好きなことを仕事にしたい、それがたとえ低収入だとしても!

それでは、サイドFIREはいかがですか?



■「サイドFIRE」という選択肢

サイドFIREとは
生活費の全てを資産運用のみでまかなうのではなく、資産運用をメインにしながら、副業などの勤労収入と合わせて生活するスタイルのこと。

リタイア後も週1~2日は自分の好きな副業をするなど、ある程度の収入を得る前提にすればリタイアに向けた目標金額を引き下げられます。

しかし好きな仕事をするにしても、最も気を付けてほしいのが、やりたくないことを明確にするということです。

・電話に出るのが苦手なので、電話に出なくてもいい仕事をする
・飛び込み営業が苦手なので、飛び込み営業が無い職種にする
・パソコンが苦手なので、パソコンが触れなくても出来る仕事にする
・マルチタスクが苦手なので、一つの事に打ち込める仕事にする

やりたくないことを排除すると、自ずと自分があまりストレスなく出来る仕事像が見えてきます。私が佰食屋を作った時、私の思考はこんな感じでした。

だらだら働き続けるのが嫌だから、100食という食数で終了するルールを作る
・自分だったら行列に並ぶのが嫌だから、整理券制度を導入する。
食べ物を粗末にするのを見るのが嫌だから、フードロスが出ないメニュー構成にする。
・日をまたいでスケジュールに追われる仕事が嫌だから、毎日完結できる飲食業にする。

嫌なことが明確だと、楽しく継続して働ける仕事を見つけることができます。毎日仕事をしていても、嫌なことが無いから、仕事を辞めたい、完全にリタイアしたいと思わなくなります。

むしろ、お客様からの「ありがとう」やスタッフみんなとの穏やかな会話、そして自分が「ここに居ていいんだ」という「自分の居場所」があること。
こういったものがあるからこそ、人生が豊かになり、毎日幸せを感じるのではないでしょうか。

自分の居場所がある安心感


仕事をして、身体が疲れるからこそ夜は熟睡できる。
しっかり働いて稼ぐからこそ、お金を使う幸せも味わえる。
毎日忙しいからこそ、休みの時間が大切に思える。

この良さを知っているので、私はきっとこれからも、生涯現役で働き続けるのだと思います。私は、自分の人生の中でFIREを目指すことはきっとないでしょう。


私はFIREを目指さない。

株式会社minitts
代表取締役 中村朱美

Thanks!!

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