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交渉力|聴くチカラと負けるチカラ

経営や営業の仕事で必要な交渉力。値段やロット・条件について交渉し、上手くまとめていくためには、経験や知識はもちろんのこと、大切ないくつかの要素があると感じます。我が社には優れた「ネゴシエーター(交渉人)」がいます。彼に交渉の秘訣を聞いてみました。


■交渉人(ネゴシエーター)

アニメ業界でも企業の賃上げでも、交渉力が必要であるという記事が最近チラホラ出てきました。(記事中に交渉力という言葉も使われています。)

その大切な交渉を行う人の事を【交渉人(ネゴシエーター)】と言うことがあります。

交渉人(negotiator)とは
主に人質救出作戦において犯人との交渉を担当する警察・政府の要員をいう。一般企業や保険会社の外交員は営業で顧客と媒介交渉などを行ったりするが、交渉専門というわけではないので交渉人とは言わないが、本稿では便宜上「交渉人」と呼称する。


すべての条件については、
交渉が可能である。」

この言葉は弊社(株式会社minitts)の取締役である私の夫がいつも言っているものです。夫は元々20年以上不動産業のトップ営業マンであり、且つ30代になってから仕事終わりに夜間の学校に4年間通って建築士の資格を取ったという経歴があります。

夫の不動産関係のお客様は「不可能に思える交渉を可能にする」と仰ることもあり、夫の交渉術に驚かれることも多々あります。

我が社にはいなくてはならない存在「交渉人(ネゴシエーター)」である夫の交渉の秘訣について、本人へのヒアリングと12年横で見て来た私の目から、4つのチカラに分けて解説してまいります。


■交渉に必要なチカラ①聴くチカラ

・相手がなぜその商品を売りたい/買いたいのか
・急いでいるのか、余裕があるのか
・立場はどのような状況か(上司に怒られる?決定権のある役員?)
・どれぐらい困っている状況なのか

交渉相手の方の状況をまず、知る事。出来るだけ感情は出さずにひたすら聞くこと。これによって、どのような「ストーリー」で交渉するのかを考えることができます。

漫画「ワールドトリガー」唐沢さんも言っている。


この「ストーリー」がとても大切。今その場で値段交渉さえできれば、相手のその後はどうでもいい、というスタンスでは必ず決裂します。現在~その後までのストーリーに問題がないかどうか、担当者が会社に戻ってから褒められるような交渉になっているかどうかまで、きちんと情報収集の上考えていきます。


■交渉に必要なチカラ②負けるチカラ

交渉には見た目が怖い人が得をすると思われることもあります。しかし本当に交渉に必要なチカラは【負けるチカラ】だと感じます。

こちらから威圧的・高圧的に交渉するのは、もはや交渉ではなく脅しになってしまいます。そうすると、後で淡々と文章で契約破棄通知が届くなど、結局簡単に交渉が決裂してしまうことがあります。

交渉に必要なのは【こちらが敢えて負ける】部分を作ること。欲張らず、お互いがWIN-WINになれる落としどころを用意することです。

この場合、譲歩できる部分についてプランA、プランB、プランCと3つぐらい案を用意しておくのがベターでしょう。

例)飲食店でお客様のお洋服に味噌汁をこぼしてしまった場合
■プランA:おしぼりで拭いて取れそうなぐらいなら謝罪&お食事無料
■プランB:シミが残りそうと判断したらクリーニング代2000円をお渡しする&お食事無料
■プランC:クリーニングでも落ちないシミになりそうなら、お洋服代として5000円程度お渡しする&お食事無料

→この場合、最終の決着地が「お客様が少し得したと思える条件」で交渉を終えると、お互い気持ちが良いでしょう。

せんぎこうり:相手のためを思って行動したことは必ずよい結果となって返ってくること


■交渉に必要なチカラ③情報整理

時には「あれもこれもごちゃ混ぜ」で交渉をしてこられる方もいらっしゃいます。そんな時は、交渉すべき部分と今は関係ない部分を整理し、切り離していく必要があります。

(例)テイクアウトの商品にお箸を付け忘れてしまい、「馬鹿にしているのか!」「そもそも対応が悪い」「自分で箸を買ってきて食べたが返金しろ」「土下座して謝れ」などの理不尽に思える要求があった場合

→こちらの落ち度は箸を付け忘れたことなので、箸を付け忘れたことと、気分を害したことについては謝罪が必要。

→土下座することや、既に召し上がった商品代金を免除することは別問題で、対応の必要はない。

情報を整理し、謝罪すべき部分と、関係ない部分をしっかりと切り離して冷静に交渉することが大切です。交渉するというのは、どちらかの「無理を聞く」ことではないので、対応すべき部分とそうでない部分の見極めが必要です。


■交渉に必要なチカラ④待つチカラ

中には突然怒り出したり、聞いたことを答えてくれなかったり、その場で判断できない担当者だったりと、交渉が長引くことがあります。

しかし、そこで焦ったり早く交渉を終わらせようと結論を急いだりしないことも大切です。結論を急いでしまうと、どうしても焦ってしまい、冷静な判断ができずに後から交渉の結果を後悔することも…。

そしてイライラしたり怒ったりするのもご法度。「交渉をする」と決めたからには、最後まで冷静に穏やかにできなければ、交渉は決裂してしまいます。

気長に根気よく、忍耐力がいる仕事ですね…!


■交渉力は生きるチカラ

ここで、「私は対人関係の仕事をしないから、関係ないな」「私は交渉の担当者じゃないから、他の人に託そう」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、この交渉力は様々な所で役に立ちます。

子どもが駄々をこねたとき
・地域の役員や各種担当を決める時
・仕事や家事の役割分担を家族で決める時
友達と旅行やお出かけに行くとき
転職する際の条件交渉

生きるということは、誰かと交渉してみんなで色々なことを決断し、みんなが気持ちよく過ごせるようにすることです。誰かの我儘だけが通ってしまえば、その理不尽なルールは長続きしません。


みんながWIN-WINになるよう、
皆が少しずつ相手を知り、
少しずつ譲歩し、
情報を整理しながら、
決定まで慌てず向き合う。
とても大切な、生きるためのスキルです。


日々の報道に大変心を痛めていますが、交渉を落ち着いてすることができれば、世界はに平和が保たれるのかもしれないなぁと、ニュースを見ながら感じた次第です。

私たちの意識ひとつで、これからの未来すら変えていきたいものです。



交渉力
聴くチカラと負けるチカラ

株式会社minitts
代表取締役 中村朱美

Thanks!!

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