🐿カをしたい

時折体を傷つけたくてたまらない時がある。「傷」に意味があるのか、「血」をみて安心したいのかはわからない。私の頭の中には、刃物を皮膚に突き立て、ぶすっと意気良いよく刺してそこからジブリとか漫画みたいな粘度の高い血が出ないところをみて、安心、したい。安心を得るために痛みが必要なのかもしれないなと思った。何もせず安心できるなんて人間には無理だ。

「日本人は世界で一番不安を感じやすい民族なんだ」

飽きるほどよく見られたこの言葉は日本の文化形成にとても寄与していると思う。私たちはとても強く不安を感じる。一時でも安心してみたい。でもそんなに早く安心できないなんてことみんな知っている。安心を迎えたらきっと直ぐに不安になってしまうだろう。今度はいつこの安心を失うのかと。
この使い古され手垢がつきまっくた安心論と私の自傷欲求は結び付いているのか。
とにかく体を傷つけたい。それでたまらなくなってしまう。さっき書いた映像が頭の中に何度も何度も何度も流れてきて辛い。剃刀、包丁、ナイフ、カッター。包丁はやめておきなさい、お嬢さん、お兄さん。多分思ったよりも深くいって血が出てびっくりするよ。やるならちゃんと消毒すること。菌が入らないようにすること。

昔、母に「手首切ったら死んじゃうの？」と聞いてみた。母は、
「そんなんじゃ死なないよ。」といった。わたしはクソガキだったので、「じゃあどうしたら死ぬの？」と質問を重ねてみた。
「うーん、そうだなあ、、手首から先を切り落としてそれでお風呂につければ死ぬかな」
と答えてくれた。私はこのとき小学生くらいだったのだと思うのだけれど、ちいと小賢しかった私に、やはり同じような年ごろ賢かった母は気づいて、忖度なく答えてくれたのだと思う。

体を気づけたい衝動はよくストレスの現れの一種とも言われているけれども私にとってはそれだけではないというか、それだとちょっと言葉が足りないなと思う。きっと否定したいのだ、自分自身を。