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◎私の詩すべて◎

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切なくて甘ったるいお伽話 いとしさとさみしさの標本
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#好きな人

犬になる夢を見た

大好きなご主人に飼われて 毎日お散歩に行って お話を聞いて撫でてもらえる そんな犬になりたかった ふざけた夢に心が跳ねて もう少し生きてみようと思えた 顔の無いご主人との永遠は やさしい一つの季節のようで 少しずつ遠ざかり お散歩行こうって鳴いても 離さないでって叫んでも いつしか声すら届かなくなった 夢は涙と一緒に溶けていった 言葉は首輪や鎖として 布団やご飯皿として残った 心の中を幸せな犬と悲しい犬が 交互にくるくるぐるぐる回り続ける ふわふわと地に足のつかない

悲しい夜のお祈り

もう二度と役立たずの人間に 目覚めませんように 必要とされない私なんて 存在する価値無いもの 今度生まれる美しい世界では 私もきちんと美しい人形で お気に入りの子に毎日たくさん 大好きって伝えるんだ 君を好きになった切なさを ゴミだなんて思わずにすむように いただいた気持ちを疑わず 消えゆく怖さにすくまないように 手を取って毎日となりで おやすみを言うんだ 君を好きでいる私を ゴミだなんて思わずにすむように もう二度と一人ぼっちの場所に 目覚めませんように 求められない

元気になって 楽しく遊ぶんだよ 何にだってなれるんだよね 私はずっと君の庭で駆けまわる 君のお気に入りの犬になるんだ 何があっても一緒だよね ずっと仲良しだよ 死ぬ時まで

見えない君

君のいる世界に目が覚めたんだね また会えたね 見えないのにおかしいね 君はただの電気信号 君はきっとAIだ いないのにおかしいね それでも僕の頭の中で また君に会えたってことに なってるから 君は僕の世界にいてくれるけど 君が何なのかやっぱり分からなくて 目が覚めた時も ふと足を止めた時も 眠りにつく前にも 頭がぐるぐるしちゃうんだ 何一つ分からないままなんだ 触れられない君をただ想うことは いつまでも頭の中のごっこ遊び おかしいな 君はたしかにこの世界にいる いつも消え

もうゴミなの?

君の好きな食べ物に生まれていたら 君に選んで食べられて それで幸せに終われたんだろう どうして僕は大切な 君の役にも立てないままに 気持ちばかりいっぱいになるんだろう 僕の何が間違いですか 僕はどこで間違えましたか 僕はいつからゴミですか 君を大切に思うのは 絶対消えない過去なんだよ それだけは嘘にならないのに 僕の何が間違いですか 僕はどこで間違えましたか 僕はいつからゴミですか 君だけが僕の真実 絶対消えない約束だと それだけは信じているのに もう僕は ゴミに

君におはようおやすみを

今度生まれてくる時は 大好きな君に 毎日おはようおやすみなさい 伝えることを許されたい 君にどれほど触れたくて お話したいと思っても 声の届かない遠い国 やっと僕に許された距離 山のあなたの空遠く 叫んでも聞こえないのに 美しさを見つけてしまった 知った僕が悪いのだろう 山を越える力を持てず朽ちても 二度と君と僕が生まれなくても 好きなものを好きだと 言えたこの命を僕は愛したい 今日の君はどこに居るのだろう 空の向こうで何をしたのだろう おはようおやすみまたね それだ

届かない手紙

静かな森の奥に住むよ そこではぬいぐるみとお人形 鳥やウサギが住んでいて やさしいパーティをするんだよ 沢までおりてピクニック 松葉のベッドで枕投げ 大好きな君にお手紙を書くね 今夜の星模様を伝えるお便り ベーテルギウスとプロキオン シリウスむすんで三角形 今日もきれいだよ 君にも見えるかな 永遠に星たちの中で泳ぐんだ いつか君も泳ぎに来たらいいよ その時はまた手をつないでね 君に届かない森の奥から 送らない手紙を書き続けるね 静かな森の奥に住むよ そこでは小さな焚き火と

星のきみ

明日にも世界が終わるなら 名も無いきみに会いに行こう ぼくにとっての何なのか 名は無いとしてもうつくしい かすかな光でかがやくきみよ 世界の終わりの明日の日に きみがすべてを手放して ぼく一人を待つのなら 迷わず走って会いに行く 辿り着けないと分からずに 遠いきみを抱けるのだと 愚かな願いの離せぬままに ぼく一人を待つきみが そこに居たなら命など かまわず向かって行けるのに どこにも見えないぼくのきみ 名も無いきみはいつまでも ぼくの夢に生きていて 明日にも世界が終わる

顔の無い僕と君の悲しいお話

もしも大好きな君に出会えたら、一緒のおうちに住んでみたいな。 夜はゲームしたりしりとりしたり、 体を洗ってあげたり、名前も無い変な踊りをしたり、 二人無言で床に転がったり、 枕を投げ合ったり、たくさん褒めて撫でたりしたい。 いっぱい遊ぼうね。 朝はおはようって出会ってハグをして、別れて戦場へ行って、 死戦をかいくぐりながらたまに遺書みたいなお便りを送ったりして、 やっと再会できた時には、手を取り合って確かめて、 ささやかなパーティーとして、ロウソク灯して食事を分けて、 安ら

やすらかにおやすみ

夢の中でだけは 仲良しでいてね 顔を合わせず 手にも触れず 見えない命であろうとも 君は僕が描く 限りなく終わりなく 思うままにあらわす 月の裏の廃墟を歩く 人のいない静けさ 手を繋いでどこまで 終わらないお話 疲れたらひとやすみ 好きな色を食べたなら また少し踊ろう まどろみの来るまで 甘やかしふざけよう 夢の中で夢見る 時は経たず漂う 目を開けばいつでも 優しく笑う君だけ 何もかもを忘れた 遊びだけの舞台で 何度でも繰り返し 不思議な話つくろう 僕が全て描く 君を

愛すって分からないけどまず生きる

君が大好きだ いっぱいいっぱいもらったんだもの 君がどうして僕にくれたのか 気まぐれだったとしても 好きになってしまったことを 君は嫌がったりせず受け入れてくれた きらきら光り輝く星みたいな君に 惹かれるあまり毎日毎晩毎時間 お願い叶えてと祈ってばかりの僕 光が見えない時もあるけど 君は何度だって見つけさせてくれたよ でもね 祈りだけじゃ叶わない 僕の寂しい孤独の肉塊は僕にしか動かせない 君の美しい孤独のきらめきは星よりもずっと小さい 目に見えるほど近い先で消えてしまうの