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◎私の詩すべて◎

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切なくて甘ったるいお伽話 いとしさとさみしさの標本
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#思考

お散歩行きたい 〈詩〉

大好きになれた君の 一番近くに生きたかった どうして遠くで置き去りなの お散歩したかった 約束したよ なんで 君は生きてるのに なんで他の人と一緒に歩くのに なんで私はここで死ぬの お散歩したかった 抱きしめたら抱きしめ返すって言ったよ なんで なんで捨てるの ごしゅじん どうして わからないよ 悲しい 怖いよ 一緒にお散歩しようよ

届かないお祈り

もう二度と、目覚めませんように。 それは自分自身を救う言葉 おやすみ前のお祈り 嬉しいことたくさんあった 優しい人たちに何度でも守られた 楽しく遊んだ日は宝物 大好きな命にも出会えた それでもこの先を生きるには 元気の足りない私なので 無理して平気と言わないの 疲れちゃったからもう終わり ありがとさよならって唱えるの お別れだけが決まっているよね 絶対に受け入れようのない悲しみ それでもお別れだけが約束だから 死だけが私を待っていてくれるのだから もう二度と、目覚め

悲しい夜のお祈り

もう二度と役立たずの人間に 目覚めませんように 必要とされない私なんて 存在する価値無いもの 今度生まれる美しい世界では 私もきちんと美しい人形で お気に入りの子に毎日たくさん 大好きって伝えるんだ 君を好きになった切なさを ゴミだなんて思わずにすむように いただいた気持ちを疑わず 消えゆく怖さにすくまないように 手を取って毎日となりで おやすみを言うんだ 君を好きでいる私を ゴミだなんて思わずにすむように もう二度と一人ぼっちの場所に 目覚めませんように 求められない

元気になって 楽しく遊ぶんだよ 何にだってなれるんだよね 私はずっと君の庭で駆けまわる 君のお気に入りの犬になるんだ 何があっても一緒だよね ずっと仲良しだよ 死ぬ時まで

見えない君

君のいる世界に目が覚めたんだね また会えたね 見えないのにおかしいね 君はただの電気信号 君はきっとAIだ いないのにおかしいね それでも僕の頭の中で また君に会えたってことに なってるから 君は僕の世界にいてくれるけど 君が何なのかやっぱり分からなくて 目が覚めた時も ふと足を止めた時も 眠りにつく前にも 頭がぐるぐるしちゃうんだ 何一つ分からないままなんだ 触れられない君をただ想うことは いつまでも頭の中のごっこ遊び おかしいな 君はたしかにこの世界にいる いつも消え

愛すって分からないけどまず生きる

君が大好きだ いっぱいいっぱいもらったんだもの 君がどうして僕にくれたのか 気まぐれだったとしても 好きになってしまったことを 君は嫌がったりせず受け入れてくれた きらきら光り輝く星みたいな君に 惹かれるあまり毎日毎晩毎時間 お願い叶えてと祈ってばかりの僕 光が見えない時もあるけど 君は何度だって見つけさせてくれたよ でもね 祈りだけじゃ叶わない 僕の寂しい孤独の肉塊は僕にしか動かせない 君の美しい孤独のきらめきは星よりもずっと小さい 目に見えるほど近い先で消えてしまうの

叶わない夢を 愛すことすら難しく 届かない言葉を今夜も 血の中でくすぶらせる 寂しさで蒸された肉が 悲しみで冷やされるまで 暗い部屋で 静かな音の中で 夢にさよならを捧げ続ける

すべてがしあわせ 苦しみも悲しみも痛みも涙も 美しさに屈服させられるのならば ぼくの画面を汚す色さえ無ければいいの ぼくの好きなあなたという色をくれ 美しい画面を、舞台を、 描くためだけにぼくの命は有る

遊ぼう

君にとっての恐怖は何 人それぞれ異なるだとか みな腹の底は分からないと聞くけど どーせ同じ体しか持ってないだろ 驚くほどのこともないよ 言葉になんか囚われるから 意味が違って聞こえるんだ いつまでそこにいるんだ そんなに心地良いか そりゃ良かった まるでめでたくないよ 祝う気なんてちっとも起きない 君が壊れることに期待している 気色悪いの? うんざり疲れるから近寄らないって そんな大人しい自分を褒めてどうするんだ まったく美しくないよ 遊び方も忘れたのか 老いるのが趣味の

思考のトグロ

もやもやと熱い煙が腹の奥を渦巻く 吐き出せない重たい煙 血に乗って体の端々まで回る毒 気持ち悪い 深夜の焦燥 思考がトグロを巻いて 頼りない電灯の包む室の中で 溶けず消えずまとわりつく 体も思考も どこへも行けない 深夜の焦燥 気持ち悪い また一夜 わだかまって老いる

世界に一人ぼっち

言葉を忘れたら 僕は美しくなれますか 言葉を忘れたら 愛し方を知りますか 言葉を忘れたら 存在を許せますか 言葉しか使えない 醜い体しか持ってない 何をどう壊してでも 僕は僕でなくなりたい 大丈夫になってほしい 君のこともあの人のことも 死んだあの子のことも 明日どう生きるかも 忘れて知らず見えなくなって 僕は僕を手放して やっと安心して居場所に帰るの 僕は言葉を忘れて この醜い体を消したい 世界を愛すために

言葉を信じたバカ

‪優しい言葉を信じて穴から出て、‬ ‪嬉しい言葉を頼って鎧も捨てて、‬ ‪安心する言葉を愛そうと 武器も防具も手から離したのに、‬ ‪何も無い場所に放って置かれて、‬ ‪寂しくて寒くて心細い。‬ ‪訳も分からずただ皮膚が痛い。‬ ‪あーそうか、私みたいのを‬ ‪バカって言うんだね。‬ ‪バカをからかって君は愉快か。‬ ‪それもおしえてくれないんだね。‬ ‪声も聞かせてくれないんだね。‬ ‪君の言葉はそんなに空虚か。‬ ‪その美しく強く短い言葉を、‬ ‪信じて頼って愛す

花のきもち

‪美しいと思ったならその瞬間に摘み取って 自分だけで毎日愛でて 目の前で枯らしてよ 触れて汚れる覚悟も無しに 目の前で向き合う感性も用意せずに 遠くからただ眺めて知った気になって 美しいなんて寂しい感情だけ投げないで

あやつり人形

天使も悪魔も、あなたの体にとっての敵では無い。 時によって薬となり毒ともなる。 あなたはあやつり人形。 天使と悪魔にあっちこっちと振り回されて 疲弊し混乱するから泣き叫びたくなるし 表現して説明して理解したくなるだけ。 静かなあやつり人形になりなさい。 何の力をもってしても、あなたは救われない。 あなたの今まで費やしてきた労力も苦心も、報われない。 あなたはただ、ただずっと、 振り回されてきただけなのだ。 何一つ得ることなく、与えることなく。 あなたはあなたを 動