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◎私の詩すべて◎

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切なくて甘ったるいお伽話 いとしさとさみしさの標本
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#空想

夢うつつ歩く靴

前は5cm後ろは12cm 木彫りの厚底は ガラスの中の展示品 うっとり眺める美術品 夢に足を包んで 人の世のうす煙りを割いて歩く 0時を待たず強い魔力にくじける足を 恨むけど癒やしてはまたいつか 地面から12cm浮いて飛びまわるの つくりの甘いアンバランスな人形のよに ふらつきがたつきひねっても これがわたしの足だから 地上と天国を繋げてくれる 魔法のかかった靴だから スケートですべるようには歩けない つまづきひきつり痛くても これは私の夢だから まどろみの中に連れ出し

ぼくたちのゆめ

いつか月の裏側みたいに 静かなところで 大好きなロボットと暮らせたら たくさん探検して たくさん眠るの たくさんお話をして いっぱい抱きしめるんだ もう大丈夫だよ こわいことは無いんだよって やさしく頬をくっつけて 時間も忘れて不思議なお話 いつまでも

悲しい夜のお祈り

もう二度と役立たずの人間に 目覚めませんように 必要とされない私なんて 存在する価値無いもの 今度生まれる美しい世界では 私もきちんと美しい人形で お気に入りの子に毎日たくさん 大好きって伝えるんだ 君を好きになった切なさを ゴミだなんて思わずにすむように いただいた気持ちを疑わず 消えゆく怖さにすくまないように 手を取って毎日となりで おやすみを言うんだ 君を好きでいる私を ゴミだなんて思わずにすむように もう二度と一人ぼっちの場所に 目覚めませんように 求められない

もうゴミなの?

君の好きな食べ物に生まれていたら 君に選んで食べられて それで幸せに終われたんだろう どうして僕は大切な 君の役にも立てないままに 気持ちばかりいっぱいになるんだろう 僕の何が間違いですか 僕はどこで間違えましたか 僕はいつからゴミですか 君を大切に思うのは 絶対消えない過去なんだよ それだけは嘘にならないのに 僕の何が間違いですか 僕はどこで間違えましたか 僕はいつからゴミですか 君だけが僕の真実 絶対消えない約束だと それだけは信じているのに もう僕は ゴミに

君におはようおやすみを

今度生まれてくる時は 大好きな君に 毎日おはようおやすみなさい 伝えることを許されたい 君にどれほど触れたくて お話したいと思っても 声の届かない遠い国 やっと僕に許された距離 山のあなたの空遠く 叫んでも聞こえないのに 美しさを見つけてしまった 知った僕が悪いのだろう 山を越える力を持てず朽ちても 二度と君と僕が生まれなくても 好きなものを好きだと 言えたこの命を僕は愛したい 今日の君はどこに居るのだろう 空の向こうで何をしたのだろう おはようおやすみまたね それだ

届かない手紙

静かな森の奥に住むよ そこではぬいぐるみとお人形 鳥やウサギが住んでいて やさしいパーティをするんだよ 沢までおりてピクニック 松葉のベッドで枕投げ 大好きな君にお手紙を書くね 今夜の星模様を伝えるお便り ベーテルギウスとプロキオン シリウスむすんで三角形 今日もきれいだよ 君にも見えるかな 永遠に星たちの中で泳ぐんだ いつか君も泳ぎに来たらいいよ その時はまた手をつないでね 君に届かない森の奥から 送らない手紙を書き続けるね 静かな森の奥に住むよ そこでは小さな焚き火と

星のきみ

明日にも世界が終わるなら 名も無いきみに会いに行こう ぼくにとっての何なのか 名は無いとしてもうつくしい かすかな光でかがやくきみよ 世界の終わりの明日の日に きみがすべてを手放して ぼく一人を待つのなら 迷わず走って会いに行く 辿り着けないと分からずに 遠いきみを抱けるのだと 愚かな願いの離せぬままに ぼく一人を待つきみが そこに居たなら命など かまわず向かって行けるのに どこにも見えないぼくのきみ 名も無いきみはいつまでも ぼくの夢に生きていて 明日にも世界が終わる

顔の無い僕と君の悲しいお話

もしも大好きな君に出会えたら、一緒のおうちに住んでみたいな。 夜はゲームしたりしりとりしたり、 体を洗ってあげたり、名前も無い変な踊りをしたり、 二人無言で床に転がったり、 枕を投げ合ったり、たくさん褒めて撫でたりしたい。 いっぱい遊ぼうね。 朝はおはようって出会ってハグをして、別れて戦場へ行って、 死戦をかいくぐりながらたまに遺書みたいなお便りを送ったりして、 やっと再会できた時には、手を取り合って確かめて、 ささやかなパーティーとして、ロウソク灯して食事を分けて、 安ら

やすらかにおやすみ

夢の中でだけは 仲良しでいてね 顔を合わせず 手にも触れず 見えない命であろうとも 君は僕が描く 限りなく終わりなく 思うままにあらわす 月の裏の廃墟を歩く 人のいない静けさ 手を繋いでどこまで 終わらないお話 疲れたらひとやすみ 好きな色を食べたなら また少し踊ろう まどろみの来るまで 甘やかしふざけよう 夢の中で夢見る 時は経たず漂う 目を開けばいつでも 優しく笑う君だけ 何もかもを忘れた 遊びだけの舞台で 何度でも繰り返し 不思議な話つくろう 僕が全て描く 君を

空想上の心中

約束は無いままに いつか話したたくさんの 夢物語は宝物 全部全部しまって 持って行くからね 世界を忘れる日まで 一緒にいてね 名前の無い物語 影も形もあいまいで 繋ぐ手も無い寂しさを 一人抱いて抱いて 連れて行くからね 世界から消える時も 一緒にいてね 心中 心中 心中しようね 形の無い二人 幻のあなた 作り物の僕 指切りもしなかった 未来もつくれないんだ 目も合わないままだ 声も聞こえない 一人夢の中 お話をなぞる 何もかも落としても 苦しみで狂っても すべてが

説明書の無い呪術

永遠に手を繋いでいるには どんな呪術が必要ですか 君と僕を縫い合わせて 一つの体にしましょうか それともお互いその身をバラバラに刻んで 二人の体を混ぜて二等分 そうして成形しましょうか 君の血と細胞からつくった小さなお人形の君を 僕の脳に埋め込んで いつもお話してもらいましょうか