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車いすユーザーがイオンシネマで感じた嫌な思いはどうすれば防げたのか

あえて該当のポストを引用することはしないが、「車いすで映画館に来場して嫌な思いをした」という投稿を見た。

「今まで車いすから座席に移るのを従業員に手伝ってもらっていたが、今後それはできないと言われた。また、伝え方もとても傷つくものであった」という内容だ。

映画館側が公式に謝罪文を公開するまでの騒動となっており、両者の投稿に対して賛否の声が飛び交っている。ざっと見る限りでは映画館側を擁護する意見が多い印象を受けた。

私の意見としては、投稿者が悲しい思いをしたことに間違いはないし、従業員の伝え方がよくなかったという意見も納得できる。映画館としては、すぐに謝罪文を出したことは良かったかもしれないが、内容はもう少し多方面に配慮できたのではないかとも思う。

それとは別に個人的に思ったことを書き記しておく。

映画館で車いすから座席への移動を従業員はサポートするべきか

私は映画館で三年間アルバイトをしていた。

その際の対応としては、要望があれば車いすを押すのはOKだが、座席へ移られる場合はお客様に触れてはいけないというものだった。手を貸して怪我をさせてしまうことを避ける為のルールだったと記憶している。

自分が働いていた側の人間であるからかもしれないが、個人的にはリスクを考慮して、座席への移動はサポートするべきではないと思う。

今回の騒動はなぜ起こってしまったのか

従業員の発言で不快な思いをさせてしまったことが騒動のきっかけである。では、そこに至るまでの原因はどのようなものだろうか。

あくまで私の推測だが、その劇場でも車いすから座席に移るのを手伝ってはいけないというルールがあったと考える。しかし従業員が自分の判断で手伝っていることが今回になって発覚したのではないだろうか。そして、支配人が次回から手伝えない旨を伝えたのだ。

なぜそう考えるのか。

先に述べたルールは、実際に私がそのシチュエーションに遭遇した時、先輩から教えてもらったものである。講習を受けたりマニュアルが配られていたわけではない。(私が覚えていないだけかもしれないが)

そんなこともあって、そのルールを知らない従業員は普通にいた。実際に手を貸した後にルールを教えたこともある。そして、私自身も顔見知りのお客様に頼まれてルールを知った上で手伝ったことがある。

その結果、「今まではそんなこと言われたことがない」「前はしてもらった」という状況が生まれてしまうのだ。

どうすれば防げたのか

ルールを細かく作る、従業員にそれを周知する。そうすることでトラブルを予防することはできるかもしれない。だが、ルールを100%守るということほど難しいことはない。

さらにいうのであれば、それができたとしても予想外の事態に柔軟に対処することはできない。問題は「なぜそうするべきなのか」だからである。

今回の状況は、サービス業に限らず、あらゆる仕事で遭遇することではないだろうか。経験したことがあるという人も多いはずだ。

「前はマスタードとバーベキュー両方もらえたけどな」
「この作業は前からそっちの部署でしてもらってるよ」

ルールに従って要望を断った時、そのような言葉が返ってきて上手く対応できる人ばかりではない。たとえ誰もが善人であったとしても、少しのいら立ちや時間の制約でコミュニケーションエラーは起こってしまうのだ。

そういった状況の全てにルールやマニュアルを設けるのは、現実的に考えて不可能である。だからこそ、月並みな表現ではあるが、相手の気持ちを考えることが必要となる。

「相手はなぜそのような発言をしたのか?」
「自分がこれを言うと相手はどう思うのだろうか?」

簡単ではないがシンプルな方法で、トラブルをなくすことはできなくても減らすことはできるはずだ。

最後に

私は今回の当事者について、どちらも批判するつもりはない。ただ勘違いがあっただけだと思っている。ただもう少しお互いに配慮があれば、ここまで大きな話にはならなかったのではとも思っている。

そして、SNSで攻撃的な意見を見るのは辛い。全く関係ない私がそう思うのだから、当事者の気持ちは推し測ることすらできない。文章を書くのであれば、読む人のことを考えて発信してほしい。送信するまでに考える時間は充分にあるはずなのだから。

そしてそれは、私自身も他山の石として常に心がけなくてはならない。


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