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中城城跡レポ(またはバスレポ)

 土曜日、バスで1時間半かけ、北中城村にある中城城跡へ行ってきた。

 前から気にはなっていたのだが、職場の同期が世界遺産巡りをしていて、既に中城城跡と今帰仁城跡は行ったと言うので、俄然行く気になった。
 とはいえ車持ちの同期と違い、私には公共交通機関を駆使する以外の選択肢は無い。

 行きはバスターミナルから高速バスに乗り、北中城村役場向かいにあるバス停でコミュニティバス「ぐすくめぐりんバス」を待って、乗って、到着した。
 高速の途中にある誰も降りないバス停で降りたので、もしこれでバスの乗り継ぎに失敗して「ぐすくめぐりんバス」に置いていかれたらどうしよ…って死にかけていた。ちゃんと間に合ったので良かった。

 「ぐすくめぐりんバス」は最近試行的に走り始めたコミュニティバスらしく、大型のバン?くらいの大きさしかなくて、白い。現金のみの支払いで、多分お釣りとか出てこなさそうなローカルっぷりに、手持ちがあるか焦った。
 初めて乗るし、初めての場所に行くし、バスの中には誰もいなくて、乗り込んだ時ちょっとだけ心細いというか気まずい気持ちになった。運転手のおじさんの真後ろの席に座った。
 バス、というか車の中にはラジオが流れていて、無音だと余計居心地悪かったと思うから、助かった。そういや、夫が「バス車内でもラジオ流してくれたら良いのにな」ってこの前話してたような、と思い出した。
 途中駅でぬっ、とオバアが現れて、運転手さんはもう既にオバアと顔馴染みらしく、私の時とは違って行き先を訊くことはせず、まいど的な挨拶を交わしていた。めっちゃコミュニティバス!って感じがした。
 降りる時、私もオバアに倣って運転手さんに挨拶した。

 入場料を払って中城にいよいよ登ろうとすると、坂道が急だからか、無料で入り口まで送ってくれる6人乗りカートと運転手のオジイがいた。私の他に5人家族が居て、私は家族と一緒に、オジイの隣の席に座った。
 坂道というよりは斜面をぐんぐん登っていくカートに、後ろから子供達のはしゃぐ声が聞こえてきた。私もふふ、と、ちょっとウケた。

 中城は非常に素敵だった。

みっしりと石が積まれた壁

 独特の石垣に緑が繁茂し、御嶽が至る所にある。
 海と街とを見はるかすことのできる展望の良さ。遺跡ならではの不思議に満ちた空間は、ダンジョンの中を探検して時空間旅行に出ているようだった。
 ただし、風が強いし坂道なのに、浮かれて買ったばかりのミニワンピを着て行った私は非常に馬鹿だったことは申し添えておかないといけない。他の観光客もちらほら居たけど、ワンピが捲れてないか気掛かりでそそくさと離れざるを得なかった。
 まいっか。

火神(ヒヌカン)の御嶽

 問題は帰りのバスだ。コミュニティバスを乗り継ぐのも効率が悪そうだったので、復路は30分くらい坂道を下ったところにある(一応)最寄りの「伊舎堂」というバス停まで出ることにした。墓の中や草の生い茂った歩道をざかざかと歩かねば辿り着けず、苦労した。
 復路のバスを待つ間、もしバスが来なかったらわたしゃ北中城村の道端で置き去りか…。と考えてヒヤヒヤした。

 復路のバスの運転手さんは地元の人に愛されているのか、「あなたに会えてよかった」的なことを乗客のオバアに言われていた。私も降りる時、「遠くからお疲れ様」って言ってもらえた。

 帰宅後、タイツに草がつきまくって足に刺さるので、そのタイツは捨てた。
 ちょっとした一人旅であり、冒険だった。
 満足して帰宅後、妙な時間に寝落ちした。